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残業し過ぎたら過労死する? 過労死ラインの基本的な考え方を解説

ファイナンシャルフィールド / 2022年8月31日 14時30分

残業し過ぎたら過労死する? 過労死ラインの基本的な考え方を解説

残業を命じられると、「はい! 喜んで」と言って進んで仕事をする方は少ないはずです。残業をし続けると、われわれの心身は疲れ、年齢を重ねるとさらに疲労を感じやすくなります。   業務における過剰な負荷は心臓や脳の身体疾患や心理的プレッシャーによる精神疾患を引き起こすことも公表されています。   「どういったケースが過労死のリスクが高まるのか」「過労死の認定ラインはどれぐらいなのか」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。   残業に対する理解を深めることで、「残業」とうまく付き合っていきましょう。

そもそも過労死とは

過労死等防止対策推進法第二条によると、「過労死等」は次のように定義されています。

(1)業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
(2)業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
(3)死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

 

過労死などの現状

令和3年版過労死等防止対策白書によると、業務上の過重な負荷により「脳・心臓疾患」を発症したとする労災請求件数は、2020年度で784件と前年度比152件の減少になっています。
 
勤務問題を原因・動機とする自殺者数は、2020年は1918人と前年比31人の減少となっています。過労死などの発生件数は減少傾向にあるといえそうです。
 
業種別でみると、2020年度の労災請求件数ベースで「運輸業・郵便業」が158件(20.2%)、「卸売業・小売業」が111件(14.2%)、「建設業」が108件(13.8%)となっています。
 
年齢別でみると、同じく2020年度の労災請求件数ベースで「50~59歳」が264件(33.7%)、「60歳以上」が261件(33.3%)、「40~49歳」が204件(26.0%)の順に多くなっています。
 
時間外労働時間別でみると、労災認定件数ベースで評価期間が1ヶ月間の場合、「100時間以上120時間未満」が27件、「120時間以上140時間未満」が14件、「140時間以上160時間未満」が8件の順に多くなっています。
 
業種別、年代別の発生順上位3位は図表1のようになります。
 

 
こちらのデータからみると、働き盛りの50代の運輸業・郵便業に従事している方で、月間100時間以上の時間外労働をしている(1日換算すると平均5時間以上の時間外労働をしている)場合は高い過労死リスクにさらされているといえます。
 

過労死ラインの考え方


 
「過労死ライン」とは、次のような労災認定の基準のことを指します。

●発症前1ヶ月に時間外労働や休日労働が月間100時間を超える
●発症前2ヶ月から6ヶ月の間の平均時間外労働や休日労働が80時間を超える

 

20年ぶりに過労死基準が見直しされました

上記時間外労働や休日労働の時間の基準は変わりません。これに加え、2021年9月以降は時間外労働などの時間が基準に達していなくても、その他負荷要因があれば労災認定を受ける可能性が高まりました。より労働者の立場に立った基準になったといえます。
 
長期間の過重業務の評価方法の改定は図表2のようになります。
 

 

まとめ

ここでは、労災認定基準である「過労死ライン」について紹介してきました。
 
長時間の残業は時間的な基準を満たしていなくても、心身へのさまざまな負荷が伴えば労災の認定が可能になりました。
 
働き盛りのみなさんの世代にとっては「残業は美徳」であるかもしれません。しかし「残業」と「過労死」とは背中合わせであることも忘れずに、今後の政府の働き方改革を注視していきましょう。
 

出典

厚生労働省 過労死等防止対策
厚生労働省 令和3年版過労死等防止対策白書 (本分)
 
執筆者:羽田直樹
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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