年金制度の改正、知っていますか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月3日 23時40分
![年金制度の改正、知っていますか?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_157831_0-small.jpg)
2020年に年金制度改正法が成立しました。そして、この年金制度改正法は2022年4月に施行されています。また、2022年10月、2024年10月にも一部分が随時施行されていきます。年金制度はこれまでも何度か改正されていますが、その度に内容を覚えるのは大変です。 しかし、年金制度は老後の生活において必要不可欠なもので、今回の改正も多くのメリットがあります。また、年金制度を知ることは老後の生活設計にも役立ち、豊かな老後生活を送るためにも知っておきたいところです。 そこで本記事では、年金制度改正法について解説していきます。
なぜ年金制度改正法が成立したのか?
そもそもなぜ年金制度の改正をすることになったのでしょうか。ここでは、年金制度を改正する理由と改正する内容について紹介します。
年金制度を改正する理由
年金制度の改正理由は社会と経済の変化に合わせるためです。少子高齢化によって現役世代が減少し、高齢者が増加しました。これによって、若い世代では働き手が不足し、高齢者も長い間就労する人も増えています。
また、雇用形態も多様になり、アルバイトやパート、非正規雇用で働く人も増えてきました。これまでの年金制度では、このような雇用形態の多様化による働き方の変化や高齢者でも働きたいという意見とずれが生じていました。
そして、社会や経済の変化にかみ合っていない部分もあり、不都合が生じる場合も多くあったのも事実です。そこで、社会や経済の変化に年金制度を合わせるために年金制度の改正が行われることが決まりました。
改正する内容
それでは、改正する内容について見ていきましょう。改正する主な内容は4つです。
(1)被用者保険の適用範囲が拡大
(2)在職中の年金受給の在り方の見直し
(3)受給開始時期の上限の変更
(4)確定拠出年金に加入しやすくなった
以上、4つになります。
被用者保険の適用範囲が拡大
まず、被用者保険の適用範囲が拡大されました。つまり、アルバイトやパートなどの短時間労働者が厚生年金保険や健康保険に加入しやすくなったのが大きな変化です。
会社員や公務員の人しか厚生年金に加入できなかったのが、短時間労働者の人も加入しやすくなりました。年金の受取額にも関わってくるので、将来的には大きな違いが出てくると考えられます。
また、厚生年金保険や健康保険に加入すると、保険料が給料から天引きされるので手取りは少なくなってしまいますが、将来の年金額が増加するメリットがあります。
パートやアルバイト、非正規雇用といったさまざまな雇用形態の労働者が増えたため、このような労働者にも多く年金が受け取れるように改正されたといえます。
在職中の年金受給の在り方の見直し
65歳以降も就労する人が増加していますが、今までの年金制度ではこの間に厚生年金保険料を払っていたとしても増加分が反映されるのは、仕事を辞めるか70歳以降になった時まで待たなければいけませんでした。
しかし今回の改正では、65歳以降に厚生年金保険料を支払っているとその増加分がすぐに反映されるようになりました。働きながら年金額を増やすことができるのは改善点といえます。
受給開始時期の上限の変更
これまでの年金制度でも年金の繰下げの請求が可能でしたが、その年齢は70歳まででした。しかし、今回の改正で上限が75歳までになり、その間は受給額がさらに増加することになりました。
70歳以降も就労を考えていて、働いている間は年金を受け取らなくてもよいと考えている人にとっては、繰下げ受給が75歳までに伸びたのはメリットです。そのため、繰下げ受給の選択肢が広がったといえます。
確定拠出年金に加入しやすくなった
そもそも、確定拠出年金制度は私的年金の1つで、企業や個人から拠出された掛け金とその運用収益との合計額によって年金額が確定する年金制度です。今回の改正では、この確定拠出年金に中小企業も加入しやすくなりました。
公的年金だけでは老後の生活を送ることは難しいので、私的年金によって補填する人も多くなってきました。そのような中で、私的年金の1つである確定拠出年金に多くの中小企業が加入しやすくなったのは大きなメリットです。
年金制度についてこれからも学んでいきましょう
年金制度はこれまでも何度も改正されてきましたが、今回の改正は特にメリットも多く、社会や経済の変化に対応したものになっています。そのため、改正によって良くなった部分やその背景については覚えておきたいところです。
また、今後も年金制度は社会や経済の変化によって改正されることが考えられます。その度に内容を覚えることは難しいですが、今後も注視することが大切です。
出典
年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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