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4・5・6月に残業して社会保険料が増えた。いつまでこの金額が続くの?

ファイナンシャルフィールド / 2022年9月5日 10時0分

4・5・6月に残業して社会保険料が増えた。いつまでこの金額が続くの?

4~6月に残業して、9月から社会保険料が高くなってしまったものの、いつまでこの金額が続くのか疑問を抱いている人もいるかもしれません。   本記事では、支払う社会保険料が高くなる期間をはじめ、支払う社会保険料はどのように計算して決まるのか、標準報酬月額が上がることのメリットなどについて解説します。

支払う社会保険料の算出方法と支払期間

給与体系は企業や働き方によって異なりますが、勤めている会社から受け取る給与明細書に、基本給と各種手当の合計金額である「総支給額」と、税金や社会保険料などを差し引いた「差引支給額」が記載されているケースが多いでしょう。そのうち「手取り」といわれる、実際に給与として受け取れる金額は後者の差引支給額です。
 
社会保険料の支払額が多くなり、総支給額から差し引かれる金額が増えると手取りが減ってしまいます。社会保険料の金額を左右するのは「標準報酬月額」です。
 
標準報酬月額は毎年7月1日現在で4~6月の支払基礎日数が17日以上ある月の総支給額を合計して算出した平均額を「標準月額」として、あらかじめ決められている50の等級から該当する区分に当てはめて決定されます。
 
ここで決定された金額が、その年の9月~翌年の8月までの標準報酬月額となるのです。そのため、4~6月の残業で総支給額が増えて、等級区分が変わり標準報酬月額が上がることで差し引かれる社会保険料の金額が増えてしまいます。
 
その結果として、その年の9月~翌年の8月の手取り額が減ってしまう仕組みです。なお、会社での社会保険料の納付時期によっては9月ではなく10月から手取り額が減る場合もあります。
 
また、標準報酬月額は厚生年金保険の被保険者の報酬が、昇給や降給などにより大きく変わるときは改定が必要とされます。これを「随時改定」といいます。随時改定は以下3つの条件をすべて満たす人が対象となります(日本年金機構「随時改定(月額変更届)」より引用)。
 

(1)昇給または降給等により固定的賃金に変動があった
 
(2)変動月からの3ヶ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた
 
(3)3ヶ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である

 
手続きは、会社側が「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届 厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届」に記入し、速やかに日本年金機構へ提出します。
 

標準報酬月額が上がることのメリット

4~6月に残業が多くなり標準報酬月額が上がると、その年の9月もしくは10月からの手取り額が減ってしまうため、損をしたように思う人も多くいるでしょう。たしかに、標準報酬月額が上がると手取り額は減ってしまいますが、標準報酬月額が上がることによるメリットもいくつかあります。
 
まずは、厚生年金保険料が上がります。厚生年金保険料は「標準報酬月額×保険料率(令和4年8月現在18.3%)」で計算するので、標準報酬月額が上がると支払う厚生年金保険料も上がります。
 
一見デメリットのようにみえますが、厚生年金保険料を多く払うことで、老後にもらえる年金額が増えるというメリットになります。
 
受給額の計算は複雑ですが、「平均標準報酬額×5.481(令和4年8月現在)÷1000×平成15年4月以降の加入月数」で大体の額を把握できます。
 
また、受け取れる傷病手当金が増えることが挙げられるでしょう。傷病手当金とは病気やけがで会社を休まなくてはいけない場合、3日間連続で休んだあと4日目以降の欠勤した日に対して支給されるものです。
 
支払われる傷病手当金は1日あたり、最初に傷病手当金が支給された日から12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額を30日で割った金額の3分の2になります。なお、傷病手当金は最長で1年6ヶ月間受け取ることが可能です。
 
さらに、出産手当金が増えることもメリットとして挙げられます。出産手当金は出産のために会社を休み、その間の給与支払いを受けなかった場合、出産日(実際の出産が予定日以後に出産した場合は出産予定日)以前の42日、出産の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間に対して支払われるものです。
 
支払われる金額は傷病手当金と同様で、最初に出産手当金が支給された日から12ヶ月間の各標準報酬月額を平均して30日で割った金額の3分の2になります。
 

4・5・6月に残業して社会保険料が増えると、1年間手取り金額が少なくなる

4~6月に残業して標準報酬月額の等級が変わり、給与の総支給額から差し引かれる社会保険料が増えると、その年の9月(もしくは10月)から翌年の8月までの手取り金額が少なくなってしまいます。標準報酬月額は毎年7月に見直されますので、毎年4~6月に残業を減らせば、手取り金額は多くなります。
 
ただし、一見すると損をしたように感じるかもしれませんが、本記事で紹介したように標準報酬月額が上がることで厚生年金の受給額や傷病手当金、出産手当金が増えるなど、メリットもある点も理解しておきしょう。
 

出典

日本年金機構 定時決定(算定基礎届)

全国健康保険協会 協会けんぽ 標準報酬月額・標準賞与額とは?

日本年金機構 随時改定(月額変更届)

全国健康保険協会 協会けんぽ 傷病手当金

全国健康保険協会 協会けんぽ 出産で会社を休んだとき

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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