【例えば和菓子】単品よりも箱入りが割高なのは普通。でも、必ず箱入りでなければいけないの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月6日 12時0分
ギョーザ専門店での話。ギョーザの価格は単品だと何個でもずっと同じ。ところが、定食になると個数によって価格バランスが変わる。 そんなことを以前に書きましたが、今回はある和菓子店の店頭で見かけた価格についてです。価格バランスに少しだけ気になるところがありました。
単品だと150円、箱入りだと単価が微妙に変わる……
その和菓子店があるのは、早稲田通り沿い。高田馬場駅と早稲田大学早稲田キャンパス(大隈重信の銅像や大学本部のあるところ)の中間あたりに位置します。売っているのは「ぜんざい最中」だけという専業店です。
この最中、単品の価格は150円(税込み、以下同)。これが箱入りで包装されると単価の面では少し高くなります。箱代や包装代がかかるので当然でしょう。ここまでは普通の話ですが、おもしろいのは個数と各単価のバランス。
店頭の価格表示は次のようになっていました。なお、( )内の◇は1個当たり単価を、◎は単品価格との総額の差額を計算したものです。
<5個入り> 900円(◇180円、◎150円)
<8個入り> 1450円(◇181.25円、◎250円)
<10個入り> 1750円(◇175円、◎250円)
<15個入り> 2530円(◇168.67円、◎280円)
<18個入り> 3000円(◇166.67円、◎300円)
<20個入り> 3300円(◇165円、◎300円)
<30個入り> 4800円(◇160円、◎300円)
<40個入り> 6400円(◇160円、◎400円)
<50個入り> 7900円(◇158円、◎400円)
◎は[1個150円×個数]の計算額との差額、いわば箱代と包装代です。個数が増えると箱が大きくなり包装面積も増えるので、この金額が増えていくのは当然でしょう。8個と10個、18個・20個・30個、40個と50個は、それぞれ同じ数字。それ以外のところで段階的に増額していきます。
一方、◇は箱代・包装代も含めての単価ですが、8個入りだけが微妙に割高になっています。15個入りで2530円という半端な金額設定がありますので、8個入りの価格も例えば「1420円」だったら、単価177.5円でうまく全体の流れがバランスするのに。余計なお世話かもしれませんが、思わずそう考えてしまいました。
“包装のためのコスト”。自家用だったら避けられるのに
品物が箱に入って、キチンと包装もされている。これは贈答品の場合、当たり前の状態だといえるでしょう。また箱代や包装代など“包装のためのコスト”が売り場に明示されているケースは、とても少ないと思います。
たまたま単品など「バラ売り」が設定されている場合、先述のような計算をして比較すると、包装のためのコストは結構高くついている。そのことを改めて実感させられます。
余談ですが、筆者が会社員時代に担当した23区内の再開発事業区域内で開発開始前のこと。贈答品を入れる高級な紙箱をプレス等で加工製作している個人工場がありました。和菓子用で百貨店などがお客さんだとご主人から聞きましたが、それなりの高価で納入していたのでしょう。箱代も決して安くないことが推察されるエピソードでした。
一方、バラ売りを選べる場合、自家用ならば包装のためのコストをわざわざ負担しないことがおトクにつながります。今回のような最中だと、買い物バッグに無造作に放り込むと皮が崩れたりしないか。そんな心配があるかもしれませんが、あとで箱をバラして捨てる手間もなく省資源でエコなやり方は、時代の流れにも沿っているように思えます。
まとめ
20年近く前のものですが、ある地域情報サイトのバックナンバーの中に「大学のそばに最中あり」という記事を見つけました。東京大学の赤門近くの店の「大学最中」、慶応大学の正門近くの店の「秋色(しゅうしき)最中」と共に、今回の「ぜんざい最中」も紹介されていました(※)。
こちらの店は正門からかなり離れていて“門前”の風情ではありませんが、それなりの存在だったことは少々驚きでした。創業は1958年。ほぼ同年代の筆者も学生時代、店の前をしょっちゅう通っていたはずなのですが、残念ながらこの店の記憶がほぼありません。
菓子だったら和菓子よりは洋菓子だし、そもそも菓子店よりも食堂や居酒屋へ。そんな若き日の行動様式なり嗜好なりがこの店をベールで覆い隠していたのかな……。思わずそんな苦笑いをしてしまいました。
とはいえ、以来半世紀近くもたった後に、包装のためのコストはかなり高くつくこと、そして箱や包装をカットできれば省資源でエコにつながる。そんなことを改めて考えるきっかけを与えてくれたことには、不思議な縁を感じています。
出典
(※)地域情報サイト「プチ・ぶんか村」~「特集 最中は文化を語る」(2002年10月号)
(本件関連は、後段の「大学のそばに最中あり」を参照)
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
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