「月収16万円」で生活が苦しいです…国民年金の「全額免除」は可能でしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月7日 22時30分
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国民年金には、保険料の免除制度があります。収入の少ない人が、将来年金を受け取れなくなることを防ぐための措置です。免除には「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4段階あり、前年の収入に応じていずれかの免除が適用されます。 また、免除と似た制度で納付猶予制度もありますが、免除制度とは大きく異なる点があります。
国民年金保険料の免除制度と納付猶予制度とは
国民年金は20歳以上60歳未満の国内在住者に加入が義務づけられていますが、収入は人によってさまざまで、年金保険料を納付するのが難しいという人もいます。そのため国民年金には、保険料の納付を免除する制度と、猶予する制度があります。
免除は、本人、世帯主、配偶者の前年の所得額が一定以下であったり、失業したりして納付が困難な場合に認められます。免除制度は4段階あり、「全額免除」、「4分の3免除」、「半額免除」、「4分の1免除」となります。
一方の納付猶予は、50歳未満の本人とその配偶者の前年の所得額が一定以下の場合に認められます。また学生納付特例制度では、学生本人の所得が一定以下の場合に猶予が認められるもので、学生の家族の所得額は関係ありません。納付猶予には免除のような所得による段階分けはありません。
なお、免除期間も納付猶予期間も、年金受給資格を得るために必要な「受給資格期間」に加えられます。
免除制度と納付猶予制度の大きな違いとは
免除と納付猶予の大きく異なる点は、年金額に反映されるかどうかです。免除の場合、保険料の納付を免除された期間のうち、一定期間が「保険料納付済み期間」として年金額に反映されます。
2009年4月以降に全額免除が認められた場合は、免除期間のうち2分の1の期間は保険料納付済み期間とされます。そのため、40年間保険料が全額免除だった人でも、40年間全額納付した人が受け取る満額受給額の半額を年金として受給できることになります。
同様に、4分の3免除では8分の5、半額免除では8分の6、4分の1免除では8分の7の期間が、保険料納付済み期間として計算され、年金額に反映されます。一方の納付猶予では、免除のように未納期間が納付済み期間として計算されることはありません。未納期間分はそのまま年金額が減ってしまうという点で、免除よりも厳しいと言えます。
月収(額面)16万円なら、全額免除は無理でも半額免除は可能
収入が給与だけで月収は16万円、本人が世帯主として独立しており、配偶者や扶養親族はいないものとして、年金保険料の免除を受けられるか考えてみましょう。まず、年金保険料の免除や納付猶予の可否を判定する「所得」を計算します。
年収は、月収16万円の12ヶ月分で192万円です。一方、年収192万円の場合の給与所得控除額は「192万円(年収)×30%+8万円=65万6000円」ですので、「192万円(年収)ー65万6000円(給与所得控除)=126万4000円(給与所得)」となります。
全額免除の条件は、本人、配偶者、世帯主の前年の所得が「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」の範囲内であることです。ここでは本人=世帯主で配偶者もいないので、計算すべき所得は本人の「126万4000円」のみです。
また扶養親族はいないので「扶養親族等の数」は「0」です。計算の結果、所得が「67万円」までなら全額免除になります。ですが、所得が「126万4000円」であるため全額免除は適用されません。
一方、半額免除の条件は、本人、配偶者、世帯主の前年の所得が「128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」の範囲内であることですので、半額免除の条件には当てはまります。
もし、社会保険料控除や扶養親族等控除に該当するものがある場合、より年収が多い場合でも半額免除に当てはまる可能性があります。なお、免除や納付猶予の判定で使われる「所得」の数字は、「前年の数字」ですので注意してください。
免除と納付猶予、どちらも該当するなら免除が有利
「免除」と「納付猶予で追納しない」では、年金の受給額に大きな違いが出てしまいます。追納できないようであれば免除を受けておく方が良いでしょう。
保険料の負担に耐えられない場合は、納付猶予でも構いません。追納ができるように、未納のまま放置せずに免除か納付猶予を申請しておくべきです。もし、自分が免除や納付猶予の対象か判断がつかないときは、年金事務所で相談してみましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
国税庁 No.1410 給与所得控除
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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