コロナ禍で重要さが分かった保健師の仕事。仕事内容と年収、資格取得方法は？

新型コロナウイルスの感染が拡大する状況下で、患者への指示や情報の管理・発信などに奮闘する保健師の仕事に、改めて注目した人も多いのではないでしょうか。   保健師は、地域住民などの健康をサポートする重要な職業です。本記事では、保健師の仕事内容や年収、保健師の国家資格の取得方法など、基本的な情報を紹介します。ぜひこの機会に、保健師という職業についてよく理解しましょう。

保健師の仕事内容

　
保健師は主に市区町村や各自治体の保健所などに勤務する資格職です。保健、医療、福祉、介護などの分野において、地域住民を対象に保健サービスを提供することを仕事としています。
 
保健師の主な業務には、次のようなものがあります。
 

●生活習慣病対策：生活習慣病予防のための教室の開催など
●たばこ対策：喫煙者への保健指導など
●母子保健対策：乳幼児健診、両親学級の実施など
●健康相談：家庭訪問による個別相談など
●地域保健関連施策の企画・立案・実施・評価

 
これらのほかに地域特性を生かした健康なまちづくりや災害対策など、住民の健康的な生活を支援するための活動全般に携わっています。
 
また、企業や学校などに勤務し、ストレスチェックや健康相談の実施、健康診断結果の通知など、社員や生徒の健康管理を仕事とする保健師もいます。
 

保健師の平均年収

　
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、10人以上の企業（施設）規模で働いている保健師の平均年収は約481万円です。全産業の平均年収は約489万円なので、全体の平均年収をやや下回る数字ということになります。男女別の平均年収は、男性が約495万円、女性が約480万円と、男性のほうが高い数字です。
 
また、同調査の結果から、保健師の年齢別におおよその平均年収と平均勤続年数を図表1にまとめました。
 
【図表1】
 

年齢	平均年収	平均勤続年数
20～24歳	398万円	1.1年
25～29歳	410万円	3.4年
30～34歳	397万円	5.9年
35～39歳	487万円	7.3年
40～44歳	522万円	11.6年
45～49歳	494万円	6.8年
50～54歳	574万円	11.7年
55～59歳	551万円	12.2年
60～64歳	356万円	6.7年
65～69歳	278万円	26.7年

 
出典：厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 職種 表番号5」より筆者作成
 
年齢や勤続年数に応じて平均年収が高くなる傾向があり、ピークは50代前半です。また、60代では平均年収が大きく下がっているのも特徴です。
 

保健師国家資格の取得方法

　
保健師になるには、保健師国家試験に合格し、資格を取得する必要があります。しかし、その前もしくは同時に看護師資格を取得することが必須条件です。
 
保健師国家試験を受験するには、看護系の大学や短大、専門学校などで保健師養成課程を修了していなければなりません。また、保健師国家試験と看護師国家試験を同時に受験するか、先に看護師資格を取得してから保健師国家試験を受験するという2つの方法があります。
 
具体的には、保健師国家試験を受験するためには、次のいずれかの進路を選択することが必要です。
 

■保健師国家試験と看護師国家試験を同時受験する進路

1．高校卒業後、看護系大学・短大・専門学校（3～4年課程）に進学し修了する
2．看護師国家試験を受験し、資格を取得する
3．看護系大学院（2年課程）または看護大学・短大専攻科、保健師養成所（1年課程）に進学し修了する
4．保健師国家試験を受験し、資格を取得する

 

■看護師資格取得後に保健師国家試験を受験する進路

1．看護系大学（4年・保健師選択課程）に進学し修了する
2．看護師国家試験、保健師国家試験を受験し資格を取得する

 

保健師は地域住民に保健サービスを提供する資格職

　
保健師は、主に勤務する自治体の地域住民に必要な保健サービスを提供する資格職です。また、企業や学校などに勤めて、社員や学生などの健康管理を担うのも、保健師の働き方のひとつです。
 
高齢者の健康維持や働く人のストレス管理などが重要視されるなか、健康な生活をサポートする保健師の仕事は、今後ますます注目を集めると考えられます。
 

出典

厚生労働省 jobtag 保健師

厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 職種 表番号5

厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 産業大分類 表番号1

厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 職種 表番号1

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部