定年後は誰でもそのまま働けるの?お得な給付についても解説
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月14日 9時40分
![定年後は誰でもそのまま働けるの?お得な給付についても解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_159172_0-small.jpg)
「高年齢者雇用安定法」は2013年と2021年にそれぞれ改正されました。2013年の改正ポイントは「65歳までの雇用確保」、2021年の改正ポイントは「70歳までの就業確保」です。段階的な改正により、希望すれば原則70歳までの継続雇用、事業主は定年の引き上げなどの措置を講じるよう努めることが定められました。それでは、実際に企業の定年年齢はどう変わったのでしょうか。 本記事では、定年後は誰でもそのまま働けるのかについてと再就職や再雇用となった時のお得な給付について解説していきます。
定年する年齢は何歳が多いのか
高齢者雇用安定法が改正され、70歳までの定年の導入や70歳までの継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれかをすることが義務付けられました。それでは、実際に定年後は誰でも働けるのでしょうか。
厚生労働省の高年齢者の雇用状況によると、60歳が定年の企業では「継続雇用」が85.5%、「継続雇用を希望しない定年退職者」が14.4%、「継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者」は0.2%となっています。そのため、働きたいと思っている人の多くは、定年後の継続雇用の制度を利用して働いていることがわかります。
定年を迎えてからの勤労者としての主な選択肢は、「再雇用」と「再就職」があります。それぞれメリットとデメリットがあるほか、要件を満たすと給付を受け取ることもできます。それぞれ見ていきましょう。
再雇用と給付について
再雇用は、定年後も同じ企業で継続して働くことです。企業の継続雇用制度を利用することで、定年後も同じ企業で働けます。前述のように、定年後も働きたい人の多くが再雇用制度を利用しているようです。
メリットは、職場環境が変わらないためストレスを感じにくい点や就職活動をしなくても良い点です。長年続けてきた仕事から急に違う仕事をすることは大きなストレスになることも考えられ、新しく仕事を覚えるのは難しいことも多いです。また、就職活動においても職種が限定的であったり、就職がなかなか決まらなかったりすることも考えられます。
特に就職が決まらない場合は、収入がその間は無くなってしまうので金銭的にも大きな負担となりますね。そのため、職場環境が変わらないことや就職活動をしなくても良いことは大きなメリットです。
しかし、同じ仕事だったとしてもこれまでとは異なるポジションや業務になってしまうことも多く、給料が下がったり、部下と同じ待遇になったりするデメリットがあります。特に部下と同じ仕事をしなければならない場合は、息苦しさを覚える人もいるのではないでしょうか。再雇用になると自分の立ち位置はどのようになるのかをシミュレーションしておきましょう。
再雇用で継続して働くことが決まった場合には、要件を満たせば給付金を受け取ることができます。それが、「高年齢雇用継続基本給付金」です。60歳以降の給料が60歳時点の給料の75%未満になった状態で働き続けることが要件です。支給額は給料の低下率によって異なります。
例えば、60歳時点の給料が月額30万円であった場合、60歳以後の給料が15万円になると、1ヶ月当たりの賃金15万円の15%に相当する額の2万2500円が支給されます。支給期間は60歳に達した月から65歳に達する月までです。
再就職と給付について
再就職は再雇用と異なり、今までの企業とは別の仕事をすることになります。
メリットとしては、やりたかった仕事や自分の好きな仕事をするチャンスとなることが挙げられます。定年になるまで働いた仕事であっても、自分のしたかった仕事ではない人もいると思います。そのような人にとっては再雇用よりも再就職にメリットを感じるかもしれません。
しかし、再就職の場合は就職活動をしなければならず、仕事に就けない可能性があることはデメリットといえます。再雇用の解説でも触れましたが、職種に制限があったり、希望の職種に就けなかったりすることも考えられます。雇用対策法により、求人・採用における年齢制限の禁止が義務化はされています。
しかし、ハローワークなどの求人募集でも同法が認めている「該当事由」で年齢制限を設けている企業があり、職種によっては自分のしたい仕事に就けない可能性があることも考慮しなければなりません。また、就職できたとしても、新たに仕事を覚えなければならないことや、職場環境も変わります。これらのことを考慮して定年後の再就職先を選んでください。
再就職が決まった人も要件を満たせば給付金を受給することができます。「再就職手当」と「高年齢再就職給付金」です。この2つの給付金は両方を受け取ることができないので、どちらかを選ぶ必要があるので注意してください。
再就職手当は年齢に関わらず、退職後に失業給付金を受けながら就職活動をし、早期に再就職が決まった人が受給することができます。失業給付金の残り日数を基に給付金額が決定します。
60歳以降の人が再就職することになった場合には、高年齢再就職給付金も対象の可能性があります。再就職後の各月に支払われる給料が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となった人が3つの要件に該当した場合に支給が決定します。
基本手当についての算定基礎期間が5年以上あること、
再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること、
1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に就いたこと
の3つです。
まとめ
本記事では、定年後は誰でもそのまま働けるのかについてと再就職や再雇用となった際の給付について解説してきました。再雇用を選ぶのか、再就職を選ぶのかについては人によって考え方が異なりますが、どちらが自分に合っているかを今からシミュレーションしておきましょう。
また、再雇用も再就職も給付金が受け取れる可能性があります。受給要件を満たせば誰でも受給できるので、自身が受給できるのか計算してください。人生90年や100年と言われるようになった時代では、定年後の人生は長いです。ぜひこの機会に60歳以降の働き方について考えてみましょう。
出典
厚生労働省 令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果を公表します
ハローワークインターネットサービス 雇用継続給付
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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