【年金】払うと損は本当?「元が取れる年齢」や「もらえる金額」を試算してみた!
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月15日 22時30分
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「年金は支払うだけ損」こんな意見を聞くこともありますが、これは本当なのでしょうか。 国民年金も厚生年金も、65歳で受け取りを開始してから一定期間が経過すると、それまでに受け取った給付金が過去に支払った保険料を上回るタイミングがあります。今回は、実際に何歳ごろから上回ることになるのか、計算してみましょう。
「国民年金」いつ元が取れる?
最初に、国民年金を「損得」の観点から改めて考えてみましょう。
日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人は国民年金への加入が義務付けられています。日本年金機構によると令和4年度の国民年金保険料は、月々1万6590円です。つまり、1万6590円×12ヶ月×40年で、約800万円の国民年金保険料を支払うことになります。
次に国民年金保険で受け取る給付金額を把握します。
国民年金の受取金額は、40年間欠かさず保険料を収めていれば、年間約78万円を受け取ることができます。つまり、10年間国民年金保険料を受け取れば、約777万円、10年3ヶ月で約800万円になり、給付金額が支払った保険料を超えます。65歳から給付を受けるとすると、このときの年齢は75歳。高齢者にあたりますが、まだまだ元気に活動できる年齢と言えます。
また、繰上げ受給や繰下げ受給をした場合についても考えてみましょう。国民年金の繰り上げを行うと、月々0.4%、最長の60ヶ月だと24%の減額率になります。
77万7800円×0.76で年間の受給額は約60万円。
受取額が納めた保険料を超えるには13年6ヶ月の月日が必要です。60歳から受給を始めると、73歳で保険料の元が取れることになります。繰り下げを行うと月々0.7%、75歳までで最長の120ヶ月だと84%の増額率になります。
77万7800円×1.84で年間の受給額は約140万円。
納めた保険料を超えるには5年6ヶ月の月日が必要です。75歳から受給を始めると、80歳で保険料の元が取れることになります。
※支払記録の内容などによって受取額は変わる場合があります。
「厚生年金」はいつ元が取れる?
次に厚生年金の「損得」について考えてみましょう。
厚生年金は加入年齢に決まりはなく、70歳に達するまでが支払期間になりますが、ここでは比較のために国民年金と条件を合わせ、20歳から60歳までの40年間加入したとして計算します。保険料は標準報酬月額によって変わりますが、ここでは標準報酬月額30万円として、会社負担分を除いた月額2万7450円で試算します。
2万7450円×12ヶ月×40年で保険料の総額は、約1300万円になります。
厚生年金保険の給付金額は、これまでの条件で40年間保険料を収めていれば、年間78万円、老齢基礎年金の77万円と合計して156万円を受給できます。1317万円の元を取るためには、8年4ヶ月が必要になります。65歳から年金を受給し始めたとすると、73歳になります。
繰上げ受給、繰下げ受給をした場合について考えてみましょう。
最大5年の繰上げ受給を行うと、156万円×0.76で年間の受給額は約120万円。支払った保険料を超えるために11年2ヶ月が必要で、年齢は71歳になります。最大10年の繰下げ受給を行うと、156万円×1.84で年間の受給額は約290万円。
支払った保険料を超えるために4年6ヶ月が必要で、年齢は79歳になります。
※支払記録の内容などによって実際の受取額は変わる可能性があります。
「高齢・障害・遺族」リスクに備えられる年金
国民年金と厚生年金、それぞれ支払った保険料の元を取るために、どれくらいの日数が必要になるのかシミュレーションを行いました。
その結果、国民年金の場合は75歳、厚生年金の場合は73歳となりました。令和3年の日本人の平均寿命が男性81.47歳、女性87.57歳であることを考えると、多くの人は国民年金・厚生年金の「元を取る」ことができると考えてよいでしょう。
また、年金は老齢年金のほか、障害を負ってしまったときのための障害年金、一家の大黒柱が亡くなってしまったときのための遺族年金の機能も備えています。誰に発生してもおかしくないリスクに備えられる点も含めて、年金保険料を支払う「損得」について理解を深めるきっかけとしてみてください。
出典
日本年金機構 国民年金・厚生年金保険被保険者のしおり(令和4年度版)
執筆者:木元泰徳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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