ねんきん定期便には何が書かれている? もし受給額が予想以上に少ない場合、どうすればよい?
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月20日 5時20分
![ねんきん定期便には何が書かれている? もし受給額が予想以上に少ない場合、どうすればよい?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_159818_0-small.jpg)
毎年の誕生日月に送られてくる「ねんきん定期便」に書かれている内容は、50歳未満と50歳以上で異なります。ねんきん定期便にはどのようなことが書かれているのか、また記載されている受給額が予想していたよりも少ない場合の対処法について解説します。
50歳未満のねんきん定期便(※1)
50歳未満の人に届くねんきん定期便には、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています、また、最近の納付状況も記載されているので、漏れや誤りがないかを確認しましょう。
もし、もれや誤りがあった場合は、速やかに年金事務所に問い合わせましょう。
50歳以上のねんきん定期便(※2)
50歳未満の人に届くねんきん定期便の内容が、これまでの加入実績の内容がメインであるのに対し、50歳以上の人に届くねんきん定期便は、現在の年金制度に60歳まで加入した場合に、65歳から受け取ることができる年金見込額が表示されています。さらに、受け取り開始を70歳まで遅らせた場合と、75歳まで遅らせた場合の年金見込額も記載されています。
その他、最近の月別加入状況や、これまでの年金加入期間、保険料納付額、老齢年金の種類と見込額が記載されています。50歳以上のねんきん定期便では、「これまでの加入期間が10年を超えているか」を必ずチェックしましょう。
また、自分が受け取れる年金の種類と見込額も併せて確認することが大切です。
同じ加入期間なのに見込額が異なる理由
国民年金部分(老齢基礎年金)は、同じ加入期間であれば基本的に同じ金額になります。しかし、厚生年金部分(老齢厚生年金)については、加入期間の収入によって金額が異なるため、いくら同じ加入期間だったとしても、収入の違いによって見込額は異なります。
■厚生年金には上限がある
では、現役時代の収入が高い人ほど、多くの老齢厚生年金を受け取れるのでしょうか。確かに、厚生年金保険料は収入に応じて決まっており、会社と折半で払っていくものですが、等級は標準報酬月額に応じて32等級(※3)までとなっており、32等級以上の収入があったとしても、同じ保険料を支払います。つまり、厚生年金には上限があるということです。
ちなみにもっとも保険料の高い32等級の標準報酬月額は63万5000円以上です。年間の標準報酬月額の合計が762万円以上の人は、1000万円であろうと2000万円であろうと、その期間の厚生年金額は同じということになります。
■賞与額の保険料も上限がある
賞与がある場合は、標準報酬月額とは別に、1000円未満の端数を切り捨てた賞与額(標準賞与額)に保険料率(18.3%)を乗じて計算します。もちろんこの場合も労使折半です。
さらに、この標準賞与額にも上限があり、厚生年金保険と子ども・子育て拠出金の合計については、1ヶ月150万円までとなっています。つまり、いくら賞与を多くもらったとしても、上限以上の部分については年金額には反映されません。
見込額が少ないと感じた時は
65歳から受け取れる見込額を確認したときに、思ったよりも少ないと感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、厚生労働省が発表している令和2年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、年金受給者の平均額(※4)は、老齢基礎年金と老齢厚生年金合わせて年間約181万円となっており、月額にすると約15万円です。
2人分の合算額は夫婦共働きか、専業主婦(夫)かで変わってきますが、老後の生活を送っていく上で不安を感じるかも人もいるかもしれません。
<60歳以上も働く>
ねんきん定期便に記載されている見込額は、現在の加入状況のまま60歳まで働いた場合に65歳から受け取れる額です。そのため、60歳以降も働くことで年金の受取額を増やすことができます。
企業では、70歳までの雇用機会を設けることを努力義務とされており、70歳までとは行かなくても、年金受け取り開始年齢までは働くことを考えてもよいでしょう。
<運用を取り入れる>
まだ運用を始めていない人は、ぜひ運用を取り入れで資産形成を考えてみましょう。NISA枠を利用することで、その範囲内の金額については、配当や譲渡益について非課税で運用ができるため、まだ利用していないなら、活用してもよいでしょう。
また、不労収入を確保する目的で不動産投資を始める人もいます。自分にどのような投資方法が合っている考え、早めに始めておくことが大切です。
まとめ
年金だけでは生活が苦しいという方もいらっしゃると思います。確かに、物価の上昇に年金額の上昇がついていかないことも想定され、生活していくためには、年金収入以外の収入減もしくは貯蓄額を準備しておく必要があります。
老後も働ける人なら、ぜひ働いて収入を得ることをおすすめしますし、老後はゆっくり過ごしたいと考えているなら、老後に必要な資金はどのくらいかを試算し、それに向けて資産形成を行っていきましょう。
出典
(※1)日本年金機構 令和4年度「ねんきん定期便」(ハガキ)の見方 50歳未満の方
(※2)日本年金機構 令和4年度「ねんきん定期便」(ハガキ)の見方 50歳以上の方
(※3)日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
(※4)厚生労働省年金局 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年12月) P.8
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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