日本企業の定年年齢は何歳が多い? 定年後の再雇用の割合は?
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月21日 21時20分
![日本企業の定年年齢は何歳が多い? 定年後の再雇用の割合は?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_160185_0-small.jpg)
高齢化社会と若年労働者の減少を受けて高年齢者雇用安定法が改正され、70歳まで定年を引き上げることや定年の廃止などの措置を講じることが企業に対する努力義務として定められました。 こうした背景を受けて、今後定年年齢を引き上げる企業や定年を廃止する企業が増える可能性があります。そこでこの記事では、日本企業の定年年齢は何歳が多いのか、定年後の再雇用制度を設ける企業の割合はどれくらいかを紹介します。
高年齢者雇用安定法の目的や改正のポイント
高年齢者雇用安定法は、急速な少子高齢化の進展と労働人口が減少するなかで経済活動を活性化させるために、働く意欲がある高年齢者が能力を発揮できることをめざし、活躍できる環境を整備することを目的とした法律です。
これまでの高齢者雇用安定法では60歳未満の定年が禁止され、65歳までの定年引き上げ、定年制の廃止、65歳までの継続雇用制度の導入が求められていました。これに加えて65~70歳までの就業機会の確保を目的として高年齢者雇用安定法が改正され、令和3年4月より施行されています。
その結果、事業主は70歳まで定年を引き上げること、定年制の廃止をはじめとして70歳まで従業員が働けるような措置を講ずるよう求められるようになりました。ただし、これらの措置を講ずることは努力義務であり、違反したからといって罰則規定があるわけではありません。
日本企業の定年年齢は60歳が圧倒的に多い
厚生労働省の「平成29年就労条件総合調査結果の概要」によれば、定年制を定めている企業は95.5%で、そのうち一律定年制を定めている企業は97.8%、職種別に定めている企業は2.2%でした。
一律定年制を定めている企業が圧倒的に多い状況です。一律定年制を設けている企業の79.3%が60歳を定年としており、2番目に多い65歳を定年とする企業は16.4%でした。
企業規模別では60歳を定年とするのは1000人以上の企業が90.6%、300~999人までの企業が87.2%、100~299人までの企業が84.1%、30~99人までの企業が76.7%です。65歳を定年とするのは1000人以上の企業が6.7%、300~999人までの企業が9.4%、100~299人までの企業が12.5%、30~99人までの企業が20.5%となっています。
大企業ほど60歳を定年とする企業が多く、中小企業のなかでも従業員数が少ない企業ほど65歳を定年とする企業が多い傾向がみられました。なお、令和2年「高齢者雇用状況」によれば、65歳を定年とする企業は18.4%(大企業が11.9%、中小企業が19.2%)と、わずかに増加傾向がみられます。
84%の企業が定年後の再雇用制度を設けている
厚生労働省の「平成29年就労条件総合調査結果の概要」によれば、一律定年制を定めている企業のうち、92.9%の企業で勤務延長制度や再雇用制度を設けています。
内訳は、勤務延長制度のみを設けている企業は9.0%、再雇用制度のみを設けている企業は72.2%、両方の制度を併用する企業が11.8%です。勤務延長制度のみの企業は中小企業、再雇用制度のみの企業は大企業、両制度を並行するのは中小企業が多い傾向がみられました。
制度がない企業は33~99人の規模では8.7%でしたが、100人以上の規模では3%程度にとどまっています。両制度を並行する企業も合わせると、全体の84%が再雇用制度を設けている状態です。
なお、令和2年「高年齢者雇用状況」によれば、65歳までの雇用確保措置を講じている企業は99.9%となっており、66歳以上で働ける企業は33.4%、70歳以上で働ける企業は31.5%となっています。
定年は60歳・定年後は再雇用という企業が圧倒的多数
平成29年度の段階では60歳を定年とする企業が圧倒的に多く、特に大企業ほどその傾向が強くなっています。逆に、65歳定年は規模の小さい企業ほど導入率が高い傾向です。
定年を迎えた人に対する措置としては、企業の規模の大小に関わらず再雇用のみを設けている企業が多くみられました。大企業ほど再雇用制度のみを設けている割合が高く、規模の小さい企業ほど勤務延長制度と再雇用制度を併用している割合が高いのも特徴です。
出典
厚生労働省 高年齢者雇用安定法改正の概要
厚生労働省 令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果を公表します
厚生労働省 就労条件総合調査結果の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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