「生涯現役社会」って現実的? 老後は年金だけで暮らしたい人は、どのくらいの割合いる?
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月22日 22時20分
![「生涯現役社会」って現実的? 老後は年金だけで暮らしたい人は、どのくらいの割合いる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_160325_0-small.jpg)
少子高齢化による労働人口の減少や平均寿命が延びていることなどから、「生涯現役社会」の実現に向けて国や自治体が動いています。しかし、老後は現役から退き、年金で穏やかに暮らしたいと考えている方もいるはずです。 生涯現役社会は現実的なのか、老後の就労を希望しない人はどれくらいいるのか、老後の在り方について考えてみます。
生涯現役社会とは
生涯現役社会とは人生100年時代を見据え、就労意欲のある高齢者がこれまでの経験などを生かし、年齢に関係なく生涯現役で活躍していける社会のことです。
生涯現役社会の実現により、少子高齢化に伴う労働人口の低下に歯止めをかけるほか、高齢者が培ってきた経験や能力を社会により長く貢献させることができます。
また、生きがいや社会とのつながりできることから、高齢者の心身の健康の維持による医療費の削減、過疎化する地域での社会の支え手の確保などにも期待がされています。
生涯現役社会の実現は、今後の日本が直面する労働力不足、高齢者の孤立、地域社会の維持、医療費や社会保障負担の増加といった問題を解決するための対策の1つといえます。
生涯現役社会は現実的なのか
現状の善しあしはともかくとして、既に生涯現役社会は実現に向かいつつあるといえる状況です。
令和3年4月以降、企業は65歳までの定年の引き上げ、本人の希望により継続雇用を行う雇用確保の義務化だけではなく、70歳までの就業機会の確保措置を講じることが努力義務となっています。
また、老齢年金の繰り下げ受給の開始年齢も最長75歳まで拡大されるなど、老後も長く働き続けられるように制度の整備・変更が行われているからです。
一方で、老後は健康上の問題も無視することはできません。厚生労働省が公表している健康寿命(日常生活に制限がない期間)は年々延び続けているとはいえ、令和元年で男性は72.68歳、女性は75.38歳となっています。
生涯現役を希望する高齢者を受け入れるのは企業や地域社会です。高齢者には現役時代の経験がある一方、加齢による衰えにより、仕事の内容や雇用する側の状況によっては受け入れづらいという面もあります。
こうした点を踏まえると、完全な生涯現役社会の実現は容易にできるとはいえない状況にあり、今後も国や自治体による追加の施策は必須といえるでしょう。
生涯現役を望まない人の存在
生涯現役社会に向けて社会環境の整備が進められていますが、もちろん世の中のすべての高齢者が生涯現役を望んでいるわけではなく、老後は働かずに暮らしたいと考える方も多くいます。
出典:ディップ総合研究所 「少子高齢化の今、55~64歳は約6割が‟定年後も働きたい” そのうち半数以上が同業種・職種を希望」
ディップ総合研究所の調査によると、定年後の就業の意向について、これから定年を迎える55歳から64歳では「どちらかと言えば働きたくない」「働きたくない」と回答した方が全体の22.8%を占め、およそ4人に1人は定年後に働きたくないと考えているようです。
既に定年を迎えた60歳から79歳では35.4%と定年前の方よりも多く、約3人に1人が定年後は働きたくないと回答しています。
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生涯現役社会の実現は課題も多い
生涯現役社会が現実的であるのか、健康寿命などを基にかんがみると、70歳くらいまでならともかく、それ以降も現役を続けるというのはなかなか難しいところもあるといえるでしょう。
アンケート調査の結果でも、定年後は働きたくないと回答した現役の方が約4人に1人、定年退職した方では約3人に1人となっていることも加味すると、生涯現役については今後も妥当性や方向性について十分に考えていく必要があります。
これからの時代をひとくくりに生涯現役社会とするのではなく、個人のライフプランや健康状態などに応じて、老後の生き方の選択肢が増えるような社会環境の構築が求められるのではないでしょうか。
出典
厚生労働省 生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会報告書
ディップ総合研究所 少子高齢化の今、55~64歳は約6割が‟定年後も働きたい” そのうち半数以上が同業種・職種を希望
厚生労働省 健康寿命の令和元年値について
執筆者:柘植輝
行政書士
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