【外国人観光客】インバウンド顧客の受け入れにより見込める経済効果とは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月26日 13時10分
2022年6月から一部の国や地域に限り、外国人観光客の受け入れが再開されています。これに伴うインバウンド顧客(訪日外国人旅行客)の受け入れに前向きな事業者は決して少なくはなく、一定の経済効果も見込まれています。 今回は、外国人観光客による経済効果のほか、アンケート調査を基にした今後の飲食店の対応について解説します。 ※この記事は2022年7月末時点の情報を基に執筆しています。
インバウンド顧客がもたらす経済効果の大きさ
日本においてインバウンド顧客がもたらす経済効果は、飲食業界でも非常に大きなものとなっています。
新型コロナウイルス感染症が流行する前の2019年は、10月から12月期の訪日外国人の旅行消費額は1兆2128億円、そのうち飲食費は2617億円となっており、全体の割合では買い物代の32.7%、宿泊費の30.1%の次に多い21.6%を占めています。
一方、コロナ禍の2021年暦年(参考として10月から12月期の結果を用いた年間の試算値)では、訪日外国人旅行消費額は1208億円と大きく落ち込んでいます。
政府は2022年6月1日から、1日当たりの入国者数の上限を約1万人から倍の2万人に引き上げ、6月10日からは外国人観光客についてもこの枠内で受け入れを再開しています。
新型コロナウイルスの流行前を基に考えると、今後、インバウンド顧客が再び増加していくことで見込まれる一定の経済効果に期待ができます。
インバウンド顧客の受け入れに多くの飲食店は前向き
東京都23区内の飲食店を対象に行われたアンケート調査(※)の結果によると、3店舗以上を運営している飲食店の38%、2店舗以下の運営では20%の飲食店が、今後のインバウンド顧客の獲得に対して積極的に考えているようです。
出典:PRTIMES 「東京23区の約8割の飲食店がインバウンド顧客受け入れに前向きの姿勢」 飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べ
店舗数が多い飲食店ほどインバウンド顧客の獲得に積極的なようですが、国内の顧客と同様に考えているという回答も含めると、調査対象のおよそ80%の飲食店がインバウンド顧客の受け入れについては前向きであり、来店への期待が高いことが分かる結果となっています。
こうした回答の理由としては、売り上げをコロナ前以上に回復させたいなど、主に売り上げの拡大が挙げられています。
インバウンド顧客の獲得に消極的な飲食店も
外国人観光客の受け入れ再開を機に、インバウンド需要による売り上げの回復や増加を多くの飲食店が期待している一方で、インバウンド顧客の獲得には消極的な飲食店も存在しています。
その理由としては、常連客の獲得を優先しているという経営方針に基づくものもありますが、インバウンドを当てにしているとコロナ禍のような有事の際の不安が大きい、新型コロナウイルスが再び世界的にはやったときに売り上げが減少するなど、コロナ再流行に対する懸念などが挙げられていました。
これらの回答から、例えばコロナ禍においてインバウンド顧客に頼らない経営方針に切り替えたり、リピート率が高い常連を大切にして、少ない来客数でも利益を確保できるような経営を行ったりしている飲食店は、インバウンド顧客の獲得や受け入れに消極的であるとも考えられます。
インバウンド顧客については、コロナ禍で飲食店がどのように営業を続けてきたか、また経営の方向転換を行ったかなどによって対応が分かれる部分がありそうです。
インバウンド顧客による今後の経済効果に期待
外国人観光客の受け入れ再開によってインバウンド需要が再び高まり、国内の経済の活性化が進むことが期待されています。特にコロナ禍で来客者数が大きく減少した飲食店にとっては、売り上げを回復する絶好の機会といえます。
飲食業界のほか、観光関連業界では新型コロナウイルスの感染対策と同時に、インバウンド顧客の動向とその対応が重要になっていくことでしょう。
出典
PRTIMES 東京23区の約8割の飲食店がインバウンド顧客受け入れに前向きの姿勢
観光庁 【訪日外国人消費動向調査】2021年の訪日外国人旅行消費額(試算値)
観光庁 【訪日外国人消費動向調査】2019年10-12月期の全国調査結果(確報)の概要
※2022/9/27 出典に一部誤りがあったため、修正いたしました。
執筆者:柘植輝
行政書士
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