障害年金の受給……対象となる病気やけがとは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月27日 7時20分
病気やけがを患った時に受給できる障害年金。現役世代も受けることができる年金で、もしもの時に経済的な助けになりますよね。 では、支給の対象となる病気やけがとはどのようなものなのでしょうか。また、子どもの頃から持病がある人でも受給できるのでしょうか。
障害年金制度とは
公的年金には、老齢年金、障害年金、遺族年金の3種類があります。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代も含めて受け取ることができる年金です。障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金と障害手当金がありますが、障害手当金は、一時金です。
障害基礎年金を受け取るには、次の要件があります。
1. 初診日(障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診察を受けた日)が、国民年金の加入期間あるいは、20歳前または、60歳以上65歳未満
2. 障害の原因となった病気やけがによる障害の程度が障害認定日、または20歳に達した時に、障害等級1級または2級に該当していること
3. 初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上であること(注:20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要です)
障害厚生年金または障害手当金を受け取るには、次の要件があります。
1. 初診日が厚生年金の被保険者期間であること
2. 障害の原因となった病気やけがによる障害の程度が、障害認定日に、障害等級1級から3級に該当していること。そして、障害手当金の場合は、障害の原因となった病気やけがが、初診日から5年以内に治り、その治った日(症状が固定して、これ以上治療の効果が期待できない状態になった日も含まれます)に障害の程度が障害手当金を受け取れる程度であること
3. 初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間と保険免除期間を合わせた期間が3分の2以上であること
(出典:日本年金機構 障害年金ガイド 令和4年度版)
支給の対象となる病気やケガの種類
障害年金の対象となる病気やけがは、手足の障害などの外部障害のほか、精神障害やがん、糖尿病などの内部疾患も対象です。
外部障害としては、眼、聴覚、肢体などの障害、精神障害としては、統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など、内部障害としては、呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなどがあります(※2)。
障害等級は、重いほうから、1級、2級、3級です。
障害等級1級は、体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状によって、日常生活ができない程度のもの(他人の介助を受けなければ自分の身のまわりのことができない程度)とされています。
障害等級2級は、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働により収入をえることができない程度)とされています。
障害等級3級は、日常生活にはほとんど支障はないが、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとされています(※1)。
(注:身体障害者手帳の等級とは異なります)
子どもの頃から障害があっても支給できるのか
先天性の病気や子どものときの病気やけがによって障害を負ってしまった場合は、年金に加入して保険料を納めていなくても、障害等級1級または2級であれば障害基礎年金を受け取ることができますが、厚生年金に加入していても障害厚生年金の対象にはなりません。
この「20歳前障害」は、国民年金に加入している状態でもらえる障害基礎年金と違い、所得制限があります。障害基礎年金の対象となっていても、成人して多くの所得を得ていた場合は、支給が半額になったり、もっと多ければ全額停止になったりします(※3)。
なお、通常の障害年金は、初診日から1年6ヶ月が経過した日が「障害認定日」になりますが、「20歳前障害」は、満20歳になった日が「障害認定日」です。
まとめ
障害年金の対象となる病気やけがは多岐にわたっています。
自分や家族が病気やけがによって生活が制限されるようになったら、障害基礎年金、障害厚生年金の対象となるかを年金事務所、年金相談センター、あるいは(障害基礎年金の場合のみ)住所地の市(区)役所や町村役場に問い合わせてみましょう。
出典
(※1)日本年金機構 障害年金ガイド 令和4年度版
(※2)日本年金機構 Q 障害年金の対象となる病気やケガにはどのようなものがありますか。
(※3)日本年金機構 20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者
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