フレックスタイム制ってどんな働き方? 残業はどう計算するの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年9月27日 9時0分
職種の多様化やコロナ禍などの影響もあって、働き方も多様化してきました。介護や育児をしながら共働きで働く人も増えてきています。また、リモートワークやリモート会議といった言葉を、ニュースなどで耳にすることも多くなりました。 このような働き方の多様化の中で、期待されているのがフレックスタイム制です。フレックスタイム制は、定時に出社し定時まで働くという、従来のイメージの働き方とは異なります。残業の計算方法も異なるので、難しく感じる人も多いかもしれません。 そこで本記事では、フレックスタイム制についてと、その残業の計算方法について解説していきます。
フレックスタイム制とは
あらかじめ決められた総労働時間の範囲内であれば、労働者が自由に働く時間を決めることのできる勤務形態が、フレックスタイム制です。
定時に出社し定時に退社するという従来の働き方とは異なり、労働者に合わせた柔軟な働き方ができます。
それでは、フレックスタイム制にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
フレックスタイム制のメリット
労働者の生活に合わせて仕事をすることができる点がメリットです。
例えば、子どもを保育園や学校に送ってから出社する、介護の時間に合わせて仕事をする、というように、労働者の生活に合わせて時間を調節することができます。
また、総労働時間の範囲内であれば自由に働く時間を決められるので、仕事とプライベートのバランスの取りやすさも魅力といえるでしょう。企業としても、労働者が長く職場に就いてくれることが期待できるので、この点も大きなメリットといえますね。
フレックスタイム制のデメリット
デメリットは、出社の時刻や退勤の時刻が労働者によって異なるので、時間を合わせた仕事をするのが難しい点です。コミュニケーションを取らなければいけない仕事の場合は、それぞれのスケジュールが合うように調整が必要です。
また、総労働時間の範囲内で仕事ができているかどうかの管理も労働者任せになってしまうので、働く時間の管理にも注意が必要だといえます。労働時間の管理が適切でないと、時間にルーズになったり、正しい労働時間に働かないようになってしまう恐れもあるからです。
そのため、企業としては労働者一人ひとりとコミュニケーションを密にして、時間を合わせて共同で行う労働や、労働時間を適切に管理できるような仕組み作りが大切です。
フレックスタイム制の残業について
通常の残業については、法定労働時間以上働いた場合に残業とみなされます。この法定労働時間は、1日8時間、1週間で40時間以内です。
しかし、フレックスタイム制ではこの基準は使われません。そこで、どのような場合に残業となるのか解説します。
清算期間の考え方
フレックスタイム制では、「清算期間」を単位にして労働時間を判断しています。
清算期間とは、労働者が調整することのできる労働期間のことです。清算期間は1ヶ月以内の場合と1ヶ月以上3ヶ月以内の場合とがあり、残業の計算方法がそれぞれ異なります。
清算期間が1ヶ月の場合
まず、清算期間が1ヶ月の場合は、法定労働時間以上になると残業となります。この労働時間の計算式は、清算期間の月の日数÷7日×40時間です。
例えば、200時間働いた場合、月の日数が30日だとすると171.4時間となります。この時間を200時間から引くと28.6時間となります。
清算期間が1ヶ月以上3ヶ月以内の場合
下記2点で判断します。
(1)1ヶ月の週平均の労働時間が50時間以上になっているか
(2)清算期間全体で法定労働時間以上になっているか
この2点の法定労働時間の計算式は、それぞれ異なるので注意が必要です。
清算期間の月の日数÷7日×50時間
清算期間の月の日数÷7日×40時間
例えば、1月、2月、3月の労働時間の内訳が、それぞれ180時間、210時間、160時間だとします。法定労働時間は清算期間の月の日数÷7日×50時間に当てはめると、それぞれ221.4時間、200時間、221.4時間になります。
1月については221.4時間を超えていないため残業はありません。2月は10時間となっているのでこの部分が2月分の残業です。3月は221.4時間を超えていないため残業はないことになります。
そして、清算期間全体の法定労働時間以上なのかを確認します。清算期間全体の法定労働時間は、清算期間の月の日数÷7日×40時間を3ヶ月分で計算すると514.2時間です。3ヶ月の労働時間の合計から2月分の残業を引き、さらにそこから514.2時間を引くと25.8時間となります。
まとめ
本記事では、フレックスタイム制についてと、その残業の計算方法について解説してきました。介護や育児をしながら共働きで働く人も増えてきているので、フレックスタイム制はとても魅力的です。
また、企業としても、労働者が長く職場に定着してくれることが期待できるので、今後さまざまな企業で採用されることが考えられます。
しかし、コミュニケーションの問題や働く時間の管理、残業の管理などの新たな問題もあるので、労働者も企業も正しい知識を持つことが大切です。メリットもデメリットもあるので、採用したい企業は慎重に考える必要がありますが、今後の働き方のスタンダードになるかもしれません。皆さんもこの機会に内容を学んでおきましょう。
出典
厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き
厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署 時間外労働の上限規制わかりやすい解説
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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