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アスベスト飛散防止に対する規制強化の内容とは?

ファイナンシャルフィールド / 2022年9月29日 10時0分

アスベスト飛散防止に対する規制強化の内容とは?

2021年4月以降、アスベストの飛散を防止することを目的に規制強化が図られています。これらの規制強化は、私たちが住む一般住宅などにも影響があるのでしょうか?   2022年4月から義務化された事前調査結果の報告対象となる工事など、アスベスト関連の規制強化の内容を確認してみたいと思います。

アスベストとは

アスベストとは、石綿(せきめん・いしわた)ともいわれる天然の繊維状の鉱物です。
 
耐熱性や防音性に優れており、加工がしやすく、かつ安価で入手できることなどを理由に、2006年以前(1955年頃~2006年)は建材として建築物のさまざまな部分に使用されてきました。
 
アスベストは繊維が極めて細いため、工事作業などにより飛散しやすく、知らないうちに人が吸入してしまうというリスクがあります。そして、肺などに吸い込まれたアスベストの繊維は長期間の潜伏期間を経て、じん肺、悪性中皮腫、肺がんを引き起こすなど、人体に重篤な影響があることが判明しており、現在では建築時に使用されることはなく、アスベストを含む製品の製造や輸入なども禁止されています。
 
しかし、2006年以前の約50年間に建てられた多くの建築物には、アスベストを含む建材が使用されている可能性があるため、建物の解体やリフォーム、増改築などの工事の際にアスベストが飛散し、周囲の住民や工事関係者に影響を及ぼすことが想定されます。
 

規制強化の内容

以上のような状況を踏まえ、2021年4月以降、法改正によってアスベストに関連する規制強化が図られています。
 
当然ながら、私たちが住む一般住宅についても適用の対象となりますが、主な内容は以下の3つです。
 

(1)事前調査結果の報告義務化(2022年4月1日施行)

解体部分の床面積が合計80平方メートル以上の解体工事、請負代金の合計が100万円以上(税込み)の改修工事などを行う場合には、アスベスト含有建材の使用の有無にかかわらず、施工業者(元請け事業者)には事前調査結果の報告が義務付けられました。
 
なお、事前調査について、2023年10月以降の工事からは厚生労働大臣が定める講習を修了した者が行うことが義務化されます。
 

(2)規制対象の建材の拡大(2021年4月1日施行)

従来までの吹き付けアスベスト、アスベストを含有する断熱材、保温材および耐火被覆材に加えて、2021年4月からはアスベスト含有の成形板等(スレートボード、ビニール床タイルなど)、アスベスト含有仕上塗材も規制対象となりました。
 

(3)罰則の適用(2021年4月1日施行)

アスベストの飛散を防止するため、2021年4月以降はアスベスト除去を法律で定める方法で行わなかった場合、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになっています。
 

事前調査、除去工事に関する補助金制度

民間事業者が実施するアスベスト調査に対して、地方公共団体を経由した限度額25万円/棟の国による補助金制度が用意されています。
 
また、アスベスト除去工事に対しては、地方公共団体の補助額の2分の1以内(かつ全体の3分の1以内)の補助率で国の補助を受けられることがあります。
 
ただし、地方公共団体によっては補助制度がない場合もあるので、詳細を含めて厚生労働省の「石綿総合情報ポータルサイト」や担当窓口での確認が必要です。
 

まとめ

アスベスト調査の結果報告については、すべての建物を対象に義務化されているわけではなく、アスベストが飛散する可能性がある一定の工事(2022年4月以降、床面積80平方メートル以上の建物の解体工事や請負金額100万円以上の改修工事など)を行う場合には、一般住宅においても事前調査結果の報告義務が生じます。
 
また、中古建物の売買・交換(賃借)の際、契約前に説明を受ける重要事項説明書には、「建物についての石綿使用調査結果の記録に関する事項」の記載があります。調査記録がある場合には、石綿の使用の有無や使用されている箇所などが記載されているので、事前に確認しておくことをお勧めします。
 

出典

厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト 補助金制度
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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