「残業命令」は拒否できる?強制された時の対処法
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月2日 23時0分
「定時後に予定がある日に限って残業を命じられた」そんな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。また、そういった経験から「残業を断ることはできないのか」と考えたことはありませんか? 実は、「残業命令は拒否できる場合と拒否できない場合がある」のです。拒否できるケースを知っておくことで、いざという時はプライベートを優先することができるでしょう。 今回は、残業を強制された時の対処法について解説します。
36協定の締結がポイント
36協定とは「時間外・休日労働に関する協定届」のことをいい、一般的に「サブロク協定」と呼ばれています。
労働基準法第36条により、会社は法定労働時間である「1日8時間、週40時間以内」を超えて従業員に労働させる場合には、「労働基準法第36条に基づく労使協定の締結」と「所轄労働基準監督署長への届け出」が義務付けられている制度です。
よって、会社と36協定を締結している場合には、原則として残業命令を断ることができません。反対に、36協定を締結していない状態での残業命令は違法であり、従う必要はありません。
36協定の締結を確認する方法
労働基準法には、36協定や就業規則に対して「周知義務」があります。会社は、それらに関する書類を、従業員がいつでも確認できるようにしておかなければならないということです。書類の場所が分からない場合には、会社に遠慮なく請求しましょう。
正当な理由があれば例外的に拒否できる
36協定を締結していたとしても、いかなる時も残業を拒否できないというわけではありません。「正当な理由」がある場合には、拒否することができます。
正当な理由とは
正当な理由は労働基準法に規定されており、次の通りとなっています。
●妊娠中
●出産後1年未満
●3歳未満の育児
●要介護状態にある家族の介護
妊娠中と出産後1年未満の従業員に対しては、残業命令が禁止されています。育児や介護がある従業員については、本人から請求があった場合には残業命令することはできません。
体調不良に関しては労働基準法に定めはありませんが、労働契約法第5条において、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と規定されています。つまり、会社は従業員の体調に配慮する義務があるということです。
なお、定時後に友人と会う約束をしているなどは、残念ながら正当な理由にはなりません。
正当な理由があるのに残業を強制される場合の対処方法
正当な理由があるにもかかわらず、会社に残業を強制される場合には、外部へ相談しましょう。相談先として労働基準監督署と弁護士があります。労働基準監督署は会社に指導や勧告を行ってくれますが、踏み込んだ解決はあまり期待できないでしょう。証拠集めなども自身で行う必要があります。
それに対して弁護士は、相談した側の絶対的な味方として動いてくれます。正式に依頼すれば、代理人として会社と直接やり取りしてもらえるため、迅速に解決することができるでしょう。
ただ、労働基準監督署は公的機関であり無償ですが、弁護士は有償です。自身が置かれている状況に応じて使い分けましょう。
まとめ
36協定の締結がある場合には、原則として残業を拒否することはできませんが、正当な理由がある場合には拒否できます。違法な残業命令をしてくる会社に対しては、無理に耐える必要はまったくありません。しかし、会社と直接戦うには限界があるため、外部へ頼るようにしましょう。
出典
厚生労働省 36(サブロク)協定とは
厚生労働省 労働基準行政の相談窓口
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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