トラックドライバーの働き方が変わる?「2024年問題」について解説!
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月4日 10時40分
![トラックドライバーの働き方が変わる?「2024年問題」について解説!](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_162551_0-small.jpg)
トラックに乗ってさまざまな場所へ荷物を届けるトラックドライバー。しかし、とりわけ中長距離ドライバーは、長時間かつ夜間勤務が多い職種です。体力的にハードなイメージもあり、業界における慢性的な人材不足や、それによる長時間労働などが問題になっています。 本記事では、上記のような課題の解決にもつながる「物流の2024年問題」を解説します。2024年問題のデメリットや、ドライバーと企業に与える影響についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
トラックドライバーの長時間労働を国が問題視
トラックドライバーは、長時間労働が慢性化している業種です。国もトラックドライバーの長時間労働を問題視しています。
2022年8月1日には、厚生労働省が「トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター」を開設しました。労務管理や荷主との関係性の改善への支援を実施しています。
トラックドライバーは時間外労働の上限がない
昨今、健康の確保や女性のキャリア形成、男性の家庭・育児への参加などを目的に働き方改革が進んでいます。労働基準法も改正され、年間720時間を超える時間外労働は法律で禁止されました。大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から適用が始まっています。
ただし、以下の業種は実態があまりにかけ離れ、改正法の施行時からの実行が困難と判断され、適用を5年間(2024年3月末まで)猶予されました。
●建設事業
●自動車運転の業務
●医師
●鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業
そのため、自動車運転の業務に該当するトラックドライバーには、時間外労働時間の上限はありません。
2024年4月より時間外労働の上限が960時間に
トラックドライバーへの改正法適用の猶予期間は2024年3月末までです。そのため、2024年4月より時間外労働の上限時間が設けられます。このことを一般的に「2024年問題」と呼び、運送業界で注目されています。
もちろん、時間外労働に上限が設けられることで、トラックドライバーの働き方改革や、長時間労働で体力面の負担が大きいといったイメージの払拭(ふっしょく)が期待できます。ただし、企業としてはメリットばかりではありません。
ドライバー1人当たりの労働時間が制限されることで、今まで1人のドライバーに依頼していた仕事を他のドライバーに依頼しなくてはなりません。ただし、いきなりドライバーが増えるわけではないので、新しいドライバーを雇う必要があります。
現状、トラックドライバーは人材不足が続いており、採用は簡単ではありません。また、新しく人を雇うことでコスト負担が増えます。運送業者はこれらの問題への対応を迫られており、重大な経営判断が必要です。
2023年4月からは月60時間超への割増賃金は50%に
2024年問題に加え、2023年4月からは時間外労働への割増賃金にも変更が生じます。現在、中小企業の時間外労働に対する割増賃金率は25%です。そのため、時間外労働をすれば通常の賃金よりも25%高く賃金がもらえます。
2023年4月からは、月に60時間を超える時間外労働に対しては、割増賃金率が50%となります。ドライバーにとっては給与が増えるというメリットですが、企業にとっては多大なコスト負担となります。
運賃を上げられるかが鍵
解説したように、これから待ち受ける改定はトラックドライバーにとって働き方改革につながりますが、企業にとってはコストの増加です。根底には企業とトラックドライバーの問題だけでなく、そもそも取引相手が適正な価格で運賃を負担しないといった問題もあります。
企業としては事業を継続するために売り上げを増やすだけでなく、働きやすさといった面での取り組みも必要です。また、顧客である荷主に対して運賃の値上げができるかどうかも鍵となります。値上げは簡単な話ではないですが、企業の存続のためには、運送業界だけでなく、取引業者や消費者など、関わる人・企業全体が運送コストなど、課題解決のために取り組む必要があるでしょう。
出典
厚生労働省 「トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター」を8月1日に開設
厚生労働省 トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト
厚生労働省 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
東京労働局 しっかりマスター労働基準法割増賃金編
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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