ドル/円レートは本当に1ドル=160円を目指すのか。ドル/円レートのテクニカル分析
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月5日 5時30分
![ドル/円レートは本当に1ドル=160円を目指すのか。ドル/円レートのテクニカル分析](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_162847_0-small.jpg)
前回の記事「『良い円安』『悪い円安』は、議論をしても意味がない!? 円安は本当に悪いのか?」でお伝えしたように、投資をするうえでは、このような議論に巻き込まれることなく、自分で考え方を組み立てていく必要があります。 以前、テクニカル分析について、どのようにチャート分析を行っていくか説明したことがありますが、前回の記事でドル/円レートについて言及したので、この記事では、ドル/円レートのテクニカル分析を行っていきたいと思います。なお、この記事は2022年9月18日時点の情報を基に執筆しています。
ドル/円相場を月足チャートで俯瞰する
図表1のチャートは、月足のドル/円相場が目先で1ドル=147円を目指す展開になっています。この水準は1998年7月につけた値ですが、およそ24年ぶりの水準といえます。
チャートでは、この水準で上値のトレンドラインを横に引いていますが、強力な上値の抵抗ライン(レジスタンスライン)になる可能性が高く、一足飛びに1ドル=150円を目指すかといえば多少疑わしいかもしれません。
図表1
〇ドル/円レート(月足)
出典:TradingView Inc. TradingView
※解説を目的に使用
テクニカルツールとして、チャートの中段には相場の傾向を探るために用いる「MACD」、下段には相場が買われ過ぎか、売られ過ぎかを判断するための「RSI」を示していますが、月足のMACDは上昇トレンドを描いており、またRSIではすでに割高感が強く出ています。
この点を考慮すると、ドル/円は1ドル=147円近辺で、いったん押し戻される可能性をみておく必要があると思われます。仮に、この水準を突破すると、1990年につけた1ドル=160円が視野に入ってきます。最近、ささやかれている1ドル=160円説は、単純にこれが根拠になっています。
ただし、「本当にここまで円安が進むのか?」という疑問はあります。なぜならば、日本の金融当局が急激に進む円安について比較的、強い警戒感を示したからです。これを受けて、直近では一時的に少しだけ円高に振れていますが、2022年9月20・21日開催のFOMC(米国連邦公開市場委員会)を前に、いったん値を戻した形です。
また、FOMCでアメリカのFFレートが金利中立レベルを超えてくる可能性が高いため、投資家の間でいよいよアメリカの景気後退を本格的に想定する動きが出やすくなることが考えられます。この場合、リスクオフの円買いが起こる可能性を視野に入れておく必要があります。
今後は、円安と円高のどちらに振れるとしても、ボラティリティー(価格変動率)が高い動きを想定することが求められますが、現在のような水準は、そういった意味で今後のドル/円を占ううえで重要な節目にあるといえるでしょう。
週足チャートで上値のめどを探る
ドル/円チャートを週足に切り替えて、エリオット波動理論に基づいた価格計測ツールの「フィボナッチ・リトレースメント」を示してみます。
おおむね、1ドル=150円手前の水準が直近の上昇めどになっているため、やはり、1ドル=147円近辺の水準は強い抵抗ラインになるであろうと考えることができます。
図表2
〇ドル/円レート(週足)
出典:TradingView Inc. TradingView
※解説を目的に使用
日足チャートで軌道を想定してみる
月足、週足の状況を確認したうえで、日足チャートでシナリオを作成すると図表3のようになります。あくまでも一つのシナリオに過ぎませんが、テクニカル分析においては、このようなシナリオは一応成り立つであろうと考えられます。
図表3
〇ドル/円レート(日足)
出典:TradingView Inc. TradingView
※解説を目的に使用
可能性としては、1ドル=150円近辺が節目になり、そこから円高に反転するだろうというのが目先のシナリオです。その後は1ドル=140円を下回ってくると、さらに円高が進んで1ドル=130円を目指すパターンか、1ドル=140円を下回らなければ再び円安となり、1ドル=150円を目指した後、1ドル=160円を狙いにいくパターンです。
もちろん、こうしたシナリオとならずに1ドル=160円を狙うことも考えられますが、1ドル=150円手前の強めのレジスタンスラインがそれを阻む可能性があり、すんなりとその水準を抜けていくとは考えにくいかもしれません。
まとめ
今のドル/円は、非常にボラティリティーが高く、今後もそのような動きが続きやすいと思われるため、決め打ちで円安・ドル高だと考えるのは、このタイミングでは早計かもしれません。
テクニカル分析的には、仮に今後、さらに円安になるだろうと考えるならば、ドル買い(円売り)のタイミングは1ドル=150円近辺のレジスタンスラインを突破したときで、短期的に仕掛ける程度で考えたほうがいいでしょう。この場合、手仕舞い(買いに対して売ること、売りに対して買うこと。反対売買)は比較的すぐに行う必要があります。
逆に、その水準を抜けずに円高への巻き戻しが起こる場合、目先で1ドル=140円近辺がサポートライン(下値支持線)になっているため、この水準でいったんドルを買い戻すという方法もあります。
いずれにせよテクニカル分析としては、長期的な円安波動は今のところ見えないため、慎重なトレードが求められます。
出典
TradingView Inc. TradingView
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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