いずれ訪れる円高局面。外国株投資を行っている投資初心者は為替変動を想定すべし
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月5日 6時0分
![いずれ訪れる円高局面。外国株投資を行っている投資初心者は為替変動を想定すべし](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_162865_0-small.jpg)
米国株や米国の株式型投資信託で投資をしている方は多いように思います。特に投資初心者の場合、今のようにドル/円レートが急激に円安になっている局面で「株価が下がっているのに、どうして評価額が下がってないのか?」と思われている方もいるかもしれません。 そこでこの記事では、その仕組みについて説明していきたいと思います。なお、この記事は2022年9月18日時点の情報を基に執筆しています。
ドルベースと円ベースで見た、S&P500のチャート
理屈としては簡単ですが、チャートの見方を切り替えれば、すぐにその答えは出ます。
図表1のチャートは、アメリカを代表する株価指数であるS&P500の日足ですが、ドルではなく円換算ベースのチャートです。
図表1
〇S&P500(日足、円換算)
出典:TradingView Inc. TradingView
※解説を目的に使用
同じS&P500の日足を、図表2のドルベースのチャートでも確認してみましょう。
図表2
〇S&P500(日足、ドルベース)
出典:TradingView Inc. TradingView
※解説を目的に使用
両者を見ると一目瞭然ですが、ドルベースのS&P500では、2022年に入ってから下降トレンドを描いています。これに対して円換算ベースのチャートでは、どちらかといえば右肩上がりで、最高値を更新しました。理由はもちろん、ドル/円レートが円安・ドル高になっているからです。
円安ということは、一方ではドルが高くなっているということで、米国株や米国の株式型投資信託に投資している人にとってはドル資産が上昇していることになり、今のところは評価額がプラスになっているはずで、アメリカに投資してよかったと思っている人も多いでしょう。
円安・ドル高はいつまでも続かない
ドル/円レートが円安・ドル高になっている理由は、アメリカが利上げし、日米の金利差が拡大しているからですが、外国株に投資をする際は、このような為替変動を念頭に置きながら行う必要があります。現在のような局面では、幸いにしてアメリカへの投資はプラスに働いていますが、問題はドル/円レートが円高に巻き戻される局面です。
相場というものは、いつまでも一方向で進むわけではありません。右肩上がりになることもあれば、右肩下がりになる場合もあります。もし、今のような円安・ドル高の局面が解消されたら、円換算ベースのS&P500はこれまでとは真逆の動きになります。ドルの価値が下がるので、保有しているドル資産は目減りしていきます。
本来、こういった状況も想定して外国株への投資を行っていく必要がありますが、投資初心者の場合、まずは「長期」「分散」「積立投資」を基本として実践することが多いと思うため、おそらく為替変動によるリスク(不確実性)にまで意識を向かわせることは難しいかもしれません。投資経験者にとっては当たり前のように思うかもしれませんが、これが投資初心者と慣れている人の違いであるといえます。
それでは、ドル/円レートが円高に振れる場合、どのようなシナリオが描けるのでしょうか。例えばアメリカだけでなく、世界経済全体が悪化し、世界中で景気後退がさけばれるような局面では、売り浴びせが顕著になることが考えられます。このとき、日本円に対する回帰行動が現れますが、これが次にくる円高・ドル安局面でしょう。
世界中の株価が下がり、なおかつ円高になるわけですから、必然的に保有しているドル資産は目減りします。そして、どこかの時点で再びアメリカが金融緩和を行い、金利が下がっていくと、ドル/円は円高基調で進んでいきますが、米国株などが上昇するため、保有している資産は徐々に回復していきます。
その過程で、円高による資産価値の目減りと外国株の上昇がねじれるタイミングがあり、ドル資産を保有している人にとっては、そこからが本格的な外国株投資に戻していく時期となります。
まとめ
外国株投資などでは、為替ヘッジを掛けない場合、為替変動を想定しながら運用する必要があります。
今回はS&P500のチャートを用いて、円換算ベースとドルベースでのチャートの違いを確認しました。ひと目でその違いが分かったかと思いますが、これだけでもリスクヘッジ(損失回避)の意味を何となくイメージできたのではないでしょうか。
出典
TradingView Inc. TradingView
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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