「専業主夫」だと遺族年金がもらえない場合もある?「専業主婦」との違いは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月8日 3時0分
![「専業主夫」だと遺族年金がもらえない場合もある?「専業主婦」との違いは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_163141_0-small.jpg)
かつて日本では、男性が外で働き女性は家庭のことを担うのが主流という時代がありました。しかし、多様な選択が可能になりつつある現代では、専業主婦だけでなく、専業主夫も増えてきています。 それでは、もしも家計を支えていた女性が亡くなったとき、専業主夫が受け取れる遺族年金は、専業主婦と同じ内容なのでしょうか。本記事では、「専業主夫」が受け取れる遺族年金について解説します。
「専業主婦」と「専業主夫」では、遺族年金の受け取り条件が違う
家計を支えている人が亡くなったとき、遺された人の生活を支えるために支給されるのが「遺族年金」です。遺族年金には「遺族基礎年金」、「遺族厚生年金」があり、企業などで厚生年金に加入していた人の遺族は、「条件を満たせば」両方を受け取れます。
ところが、遺族年金を受け取る条件は、受け取る人の性別によって違いがあるのです。家庭で家事に専念する男性、いわゆる「専業主夫」が、亡くなった妻の遺族年金を受給する場合には、受け取れないものがあったり、受給可能な年齢が主婦よりも高いことがあったりするのです。
以下、「専業主婦」と「専業主夫」の、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を受け取るときの条件の違いを見てみましょう。
専業主夫は、遺族基礎年金の「寡婦年金」を受け取れない
遺族基礎年金は「18歳になって最初の3月31日を迎えるまでの子、または20歳未満の障害等級が1級または2級の子」か、「前述の条件に該当する子を持つ配偶者」に支給される年金です。
基本支給額に、条件に該当する子の人数に応じた加算があります。遺族基礎年金の支給対象が「配偶者」となっているため、家計を支えている妻が亡くなった場合、条件に該当する子があれば専業主夫でも受け取ることができます。また、遺族基礎年金には、前述の年金とは別に「寡婦年金」というものがあります。
この年金は、国民年金の第1号被保険者だった「夫」の保険料納付済み期間と保険料免除期間が合計10年以上で、その夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受給することなく亡くなった場合、「夫との婚姻期間が10年以上ある妻」が、60歳から65歳になるまで受け取れる年金です。「寡婦」という名称の通り、専業主夫は受け取ることができません。
専業主夫は、遺族厚生年金の受給開始が遅く、「中高齢寡婦加算」がない
家計を支えていた人が厚生年金の被保険者だった場合は、遺族厚生年金を受け取ることができます。もし、家計を支えていたのが夫で、受け取るのが専業主婦である妻だった場合は、手続きをすれば年齢に関係なく受給できるようになります。ただし、妻が「30歳未満で、なおかつ子がいない」場合は、遺族年金の受給期間は5年だけになります。
一方、専業主夫が妻の遺族厚生年金を受給するためには、妻が亡くなったときの年齢が55歳以上でなければなりません。55歳以上だった場合でも、受給できるのは60歳になってからです。例外として、夫が「遺族基礎年金」を受給している場合には、年齢に関係なく受給することができます。
また、遺族厚生年金には「中高齢寡婦加算」というものがあります。「夫」が亡くなった時点で「40歳以上65歳未満だった妻」のうち、遺族基礎年金の受給資格がなかったり、遺族基礎年金の受給資格を喪失したりした人に対して、遺族厚生年金に加算して支給されます。しかし、専業主夫は「寡婦」に当たらないため、中高齢寡婦加算はありません。
時代は変わっても、古い家族観が残る年金制度
時代は大きく変わり、性別による生き方の垣根は取り払われつつあります。
それにもかかわらず、日本の年金制度にはかつての「夫は外で働き、妻は家で家事に専念する」という家族観を反映した給付条件が残っています。今後の年金制度においては、男女を問わず、個人のさまざまな生き方に寄り添ったものに変わっていってほしいものです。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 寡婦年金
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 た行 中高齢寡婦加算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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