「高給取りほど将来の年金は多い?」そうはならない理由を解説!
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月10日 2時40分
![「高給取りほど将来の年金は多い?」そうはならない理由を解説!](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_163279_0-small.jpg)
老齢年金のうち、厚生年金から支給される老齢厚生年金は、加入月数に加えて加入者の収入によって保険料と将来の年金額が変動します。 加入月数が同じなら、収入が多い人の方が年金額は多くなりますが、収入が多ければそれに応じて年金額もどんどん増えていくというわけではありません。年金支給額がどのように決まっているのかを知れば、その理由が垣間見えるでしょう。
国民年金の保険料や年金支給額には、収入の多寡は関係がない
老後受け取る年金には、国民年金から支給される「老齢基礎年金」と、会社員などが加入する厚生年金から支給される「老齢厚生年金」があります。このうち、国民年金の保険料には年収による差はありません。
また、480ヶ月分の保険料を納めた人は、老齢基礎年金として満額の年間「77万7800円」(令和4年度現在)を受け取ることができます。そのため、収入が多い人でも受け取れる年金が増えるわけではありません。
ただし、「付加年金」を任意で利用するかどうかで年金額に差がつくことはあります。付加年金は第1号被保険者だけの制度で、毎月の国民年金保険料に月額400円を上乗せして納付することにより、老齢基礎年金の年額に「200円×付加年金加入月数」分が加算されます。
老齢厚生年金の計算方法
厚生年金加入者の月収は等級で区分され、その区分で定められた額を「標準報酬月額」といいます。保険料や老齢厚生年金の支給額は、この標準報酬月額で計算されます。この等級方式のため、実際の月収よりも標準報酬月額が多かったり、少なかったりするのが特徴です。
例えば、月収が14万6000円から15万5000円の間の人は、厚生年金の保険料や年金額を計算する際には「9等級」に区分され、標準報酬月額「15万円」で計算されるのです。標準賞与額とは、月々の給与のほかに支給される賞与の1000円未満を切り捨てた額をいいます。1年に3回まで、1回の支給額のうち150万円が上限になっています。老齢厚生年金の支給額を求める式は、次のようになります。
老齢厚生年金支給額=平均標準報酬額×1000分の5.481×加入期間の月数
この計算式は、2003年4月以降のものです。式中の「平均標準報酬額」とは、加入全期間の毎月の標準報酬月額と標準賞与額を加算した後、加入期間の月数で割ったものです。この式からもわかるように、収入が多い人ほど、加入期間が長い人ほど年金支給額は多くなります。
ただし、加入全期間の月収が平均されて年金支給額が決定されるため、現在の月収が多いからといって必ずしも年金支給額が多いとは限りません。
老齢厚生年金の支給額にも上限がある
収入が多いほど年金支給額が増える老齢厚生年金ですが、厚生年金の等級は延々と続くわけではなく、32等級が上限となっています。32等級には月収が「63万5000円以上」の人が該当し、標準報酬月額は「65万円」となっています。
月収が63万5000円の人も、100万円の人も、保険料や年金支給額を計算するときには「65万円」として計算されるのです。このため、月収63万5000円より上では月収にかかわらず年金支給額の増加幅は同じになります。
高給取りほど老齢厚生年金は増えるが、上限がある
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2022/10/S_202210_21.jpg)
国民年金から支給される老齢基礎年金では収入による支給額の差はありません。一方、老齢厚生年金では加入期間が同じならば、総収入の差で年金支給額にも差がつきますが、月収が一定以上になると、どんなに稼いでいても年金支給額の増加幅は頭打ちになります。また、今の月収が多い人でも過去に月収の少ない期間があると、思ったほど年金支給額は多くないということもあり得るのです。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 は行 標準報酬月額
日本年金機構 は行 平均標準報酬月額
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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