定年後の給与が「30万」から「15万」に…「高年齢雇用継続基本給付金」はいくらもらえますか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月14日 3時0分
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高齢になっても健康に働き続ける人が増えています。定年後でも嘱託職員などとして同じ会社で働き続ける場合もありますが、それをきっかけに給与が大幅に下がることも、現実によく起きてしまう出来事です。 こうした場面で、高齢者の生活を下支えするのが「高年齢雇用継続基本給付金」という制度です。 もし、定年後の給与が「30万円」から「15万円」に下がった場合、高年齢雇用継続基本給付金はいくらもらえるのでしょうか。
高年齢雇用継続基本給付金とは?
高年齢雇用継続基本給付金とは、雇用保険制度が用意している「高年齢雇用継続給付」の一種です。まだ雇用保険の基本手当を受け取っておらず、働き続けている60歳以上65歳未満の被保険者につき、その給与が下がってしまった場合に、下がってしまった分の給与を補填(ほてん)する制度となっています。
一般的に定年後は、現役時代に比べて働き方などが変わり、給与も少なくなる傾向にあります。そのため、そういった場合にもできるだけ変わらない生活水準を保障し、国民の暮らしを支える目的があるのです。
高年齢雇用継続基本給付金を受け取るための条件として、まず一般被保険者であり、年齢が満60歳以上65歳未満であることが挙げられます。満65歳の誕生日をすでに迎えた場合は、対象となりませんのでご注意ください。そして、原則として満60歳時点の給与と比較して、60歳以後の給与が75%未満となっていなければなりません。
つまり、60歳を迎えたことをきっかけに、給与が25%以上減少してしまった場合が高年齢雇用継続基本給付金の対象となるのです。
そして、雇用保険の基本手当をまだ受け取っていないことも条件となります。基本手当とは、労働者が失業した場合に支給される給付で、一般的に広く「失業保険」として認識されているお金です。もし、基本手当に加えて高年齢雇用継続基本給付金まで受け取れば、生活を保障する目的を超えるお金が渡ることになるため、社会全体の公平を図る観点から認められていません。
年金から再就職手当などを受け取っている場合も、基本手当を受け取っているのと同等とみなされ、高年齢雇用継続基本給付金の受給資格がありませんのでご注意ください。
さらに、雇用保険の被保険者として雇用されていた期間が5年以上あることも条件です。会社に勤務していない期間は、原則として雇用保険の被保険者とはなりません。ただし、過去に離職から1年以内で再就職でき、しかもその間に求職者給付や就業促進手当を受け取っていない場合には、求職のために働いていなかった期間も「被保険者であった期間」として通算されます。
なお、高年齢雇用継続給付の申請手続は、原則として、事業主を経由して行う必要があります。ただし、被保険者本人が希望する場合は、本人が申請手続きを行うことも可能です。
高年齢雇用継続基本給付金は、いくら受け取れる?
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高年齢雇用継続基本給付金の支給額は、支給率によって算定され、支給率は給与の低下率によって決まります。
給与の低下率は「支給対象月に支払われた賃金額」÷「60歳到達時の賃金月額」×100で算出され、単位は%です。60歳到達時の賃金月額は原則として、60歳に到達する前6ヶ月間の総支給額(保険料等が控除される前の額で、賞与は除きます)を180で除した賃金日額の30日分の額です。
60歳以上65歳未満の人で、もし定年後の給与が「30万円」から「15万円」に下がった場合、給与の低下率は50%となります。低下率61%以下であれば、支給率は一律で15%です。つまり、高年齢雇用継続基本給付金の支給額は15万円×0.15=2万2500円と算出されます。
現代では定年後も働き続けることがスタンダードに
かつては、定年後に悠々自適の年金暮らしをすることがスタンダードとされていました。
しかし時代は変わり、年齢を重ねても働き続けて社会に貢献することを生きがいにする考え方が広まりつつあります。会社にとっても、年齢を重ね経験やノウハウが豊富な人材が働き続けることにはメリットが大きいです。
ただ、定年後に給与が大幅に下がるなど、待遇面で十分に応えられない会社があるのも事実。そのような厳しい現実を下支えするのが高年齢雇用継続基本給付金ですので、大いに活用しましょう。
出典
厚生労働省 Q&A~高年齢雇用継続給付~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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