「おひとりさま」の老後に必要なお金って? 生活費をシミュレーションしてみよう!
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月16日 6時0分
![「おひとりさま」の老後に必要なお金って? 生活費をシミュレーションしてみよう!](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_164261_0-small.jpg)
2019年に金融庁がまとめた報告書では、老後資金として2000万円程度が必要だと記されており、当時は「2000万円問題」としてニュースなどでも大きく取り上げられました。 しかし、当該報告書は、高齢夫婦無職世帯をベースにシミュレーションした結果であり、いわゆる「おひとりさま」と呼ばれる単身世帯にそのまま当てはまるわけではありません。 では、単身世帯はどの程度の老後資金が必要なのでしょうか? 一緒に考えていきましょう。
単身世帯が老後にかかる生活費の目安はどれぐらい?
必要な老後資金を考えるうえで大切になるのは、「いつまで、どれぐらいの生活費がかかるか」です。
まず、「いつまで生活費がかかるか」については、平均寿命を参考にすれば、ある程度の目安となります。厚生労働省がまとめている「令和3年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳でした。つまり、仮に65歳で定年を迎えた場合、男性は約17年、女性は約23年分の生活費が必要になる計算です。
一方、「老後にどれぐらいの生活費がかかるか」の目安については、総務省統計局の「2019年全国家計構造調査」が参考になります。
同調査によると、65歳以上の高齢無職単身世帯における毎月の支出は、男性16万2603円(うち、非消費支出1万9249円)、女性14万9146円(うち、非消費支出8538円)でした。つまり、年間でかかる生活費の目安は男性が195万1236円、女性が178万9752円になるでしょう。
以上のことから、単身世帯が老後資金として必要になる金額の目安は、男性が3317万1012円、女性が4116万4020円になります。
ただし、この数字はあくまでも老後資金として必要になる金額であって、すべてを貯蓄で賄わなければいけない金額ではありません。老後であっても年金などの収入が見込めるため、実際に必要になる貯蓄は上記の金額よりも少なくて済むケースが多いです。では、実際にどれぐらいの貯蓄が必要になるのでしょうか。
おひとりさまはそんなに老後資金を貯めておく必要はない?
総務省統計局の「2019年全国家計構造調査」には、高齢無職単身世帯の実収入の平均値も記載されています。それによると、男性16万3492円、女性14万1646円が実収入の平均です。
つまり、老後であっても平均寿命までに男性は3335万2368円(16万3492円×12か月×17年)、女性は3909万4296円(14万1646円×12か月×23年)の収入が期待できます。高齢単身世帯が必要になる老後資金と比べると、男性はほぼ同額、女性は200万円ほど足りないという計算です。
以上のことから、単身世帯の場合、平均値だけを比較すれば、老後資金はそれほど多くのお金を用意していなくても生活できると考えられるでしょう。
ただし、ここで注意しておきたいのは「得られる年金額や必要になる毎月の生活費は、個人によって大きく異なる」ということです。
例えば、厚生労働省の「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均受給額は厚生年金が月額14万6145円であるのに対して、国民年金は月額5万6358円しかありません。
また、厚生年金は現役時代に得ていた給与などの報酬によって、得られる年金受給額が変わるため、基本的には年収が多かった人ほどたくさんもらえる仕組みになっています。
そのため、年金だけで老後の生活費を賄える人は、実際にはそれほど多くないと考えておきましょう。自らの生活スタイルを振り返ってみて、毎月どれぐらいのお金がかかりそうかを事前にシミュレーションしておき、老後に備えることが大切です。
老後に必要なお金は人それぞれ異なる!まずは自分がいくら必要なのかを確認することから始めよう
今回紹介した公的資料からは、おひとりさまの場合、老後の収入や支出が平均値に近ければ、それほど多くの老後資金を用意しておかなくても何とかなりそうなことが分かりました。
しかし、少子高齢化が進む日本では将来的な年金の減額や受給年齢の引き上げも予測されているので、貯めておく老後資金は多ければ多いほどよいのは確かです。
インターネット上には、年金がどれぐらいもらえるか、また、老後に必要な生活費をシミュレーションできるサイトがたくさんあります。まずはそうしたシミュレーターなどを上手に活用して、自分がどれぐらい貯蓄しておいた方がいいか、あらかじめ確認することから始めるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
総務省統計局 2019年全国家計構造調査 家計収支に関する結果
厚生労働省 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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