日本のGDPは世界3位!でも「1人当たり」でみると27位のワケ
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月19日 2時40分
![日本のGDPは世界3位!でも「1人当たり」でみると27位のワケ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_164600_0-small.jpg)
戦後に劇的な経済復興を果たした日本は、国の経済力を表す指標であるGDP(国内総生産)で世界3位という高い順位にあります。 しかし、バブル崩壊以降、日本経済は長い低迷期に入り、諸外国に差を大きく詰められていることも事実です。特にGDPを国民の総数で割った「1人当たり」GDPは、もはや経済大国とはいえない水準と見なされています。 では、日本の「1人当たり」GDPは、どの程度の地位にあるのでしょうか。
日本のGDPは世界3位の水準
GDPとは、その国で一定期間に稼ぐお金の総額を表す指標です。ある国で1年間にどれだけのもうけがあったのか、それを数値化したものがGDPとなります。名目GDPや実質GDPなど、細かい指標の違いはありますが(本記事では断りがない限り名目GDPを指します)、GDPは基本的にその国の経済規模をわかりやすく捉える指標として扱われています。
IMF(国際通貨基金)が発表している統計に基づく2021年における日本のGDPは、約4.9兆ドルです。これは米国、中国に次ぐ世界3位の規模です。
ただし、米国や中国との差は大きく、トップの米国のGDPは約23兆ドル、2位の中国でも約17.5兆ドルです。逆に4位のドイツのGDPは約4.2兆ドルとなっており、日本との差は決して大きくありません。特に、日本とドイツの経済成長率などを比較すると、近い将来、日本はドイツに抜かれて世界GDPランキングの4位に転落することも十分に考えられます。
世界3位という地位は誇り高いものかもしれませんが、その地位は決して安泰とはいえない状況であることも事実なのです。
日本の国民1人当たりGDPは世界何位?
GDPは国内総生産と訳される通り、国全体がどれだけ生産し、どれだけもうけを出したのかを表す指標です。
GDPはその国の人口と相関関係が強く、人口が増えればGDPの数値も必然的に押し上がります。人口が1000万人の国で、国民1人が3万ドルのもうけを出すとすれば、GDPは単純計算で3000億ドルとなります。人口が2倍に増えれば、GDPも2倍に増えることになるでしょう。
逆に人口が減少すれば、それだけ生産に携わる労働力がいなくなるため、GDPの数値も減ってしまいます。つまり、人口の多さはそのまま経済規模の大きさに直結するわけです。その視点でみると、日本は世界でも有数の人口規模を誇る国です。要するに、人口が多いからこそ、GDPの世界ランキングで世界3位の地位を維持できているともいえるわけです。
では、人口の多さとは関係ない日本の経済規模は、世界的にみてどの程度になるのでしょうか。それが、「1人当たりGDP」という指標から読み取ることができます。
1人当たりGDPは、GDPをその国の人口で割った指標です。この1人当たりGDPの世界ランキングで、日本は世界27位に甘んじています。ちなみに、1人当たりGDPの世界1位はルクセンブルク、2位はアイルランドです。そのほか、トップ10には主に米国を含む欧米諸国が並び、日本はそうした先進諸外国から大きく水をあけられているという現状なのです。
【図表1】
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2022/10/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715-15.jpg)
「IMF World Economic Outlook Database, October 2022」の情報を基に編集部が作成(データ閲覧日2022年10月18日)。米ドルへの換算は各年の平均為替レートベース
GDPとの順位とは大きな隔たりが! 日本の1人当たりGDPはどうなる?
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2022/10/S_202210_84.jpg)
日本はGDPの世界ランキングでは3位にもかかわらず、1人当たりGDPでは世界27位と、日本がランクインしているこの2つの指標には大きなギャップがあるといえます。
特に日本では既に人口が減り始めており、この先高いGDPを維持し続けることができなければ、1人当たりGDPもさらに順位を下げてしまうかもしれません。1人当たりGDPでは、先進諸国だけではなく、いわゆる途上国といわれている国とも差を詰められています。
この指標が今後どうなっていくのか、さらに注視が必要だといえるでしょう。
出典
IMF World Economic Outlook Database, October 2022
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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