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図書館職員「非正規」はなぜ増えた?国家資格があっても年収200万台になる理由とは?

ファイナンシャルフィールド / 2022年10月20日 2時40分

図書館職員「非正規」はなぜ増えた?国家資格があっても年収200万台になる理由とは?

2022年9月に、非正規職員として働く図書館司書の待遇改善を求める署名サイトが話題を集めました。   国家資格である図書館司書となるには専門の勉強をしなければならない一方、正規の公務員として働ける図書館司書は一握りで、職員の非正規化が進んでいるといわれます。   それでは、図書館司書の年収はどれぐらいなのでしょうか。また、なぜ待遇改善を求める声が大きいのか、解説します。

図書館司書の仕事とは? 図書館司書のなり方

図書館司書は公立図書館で働く専門職員のことです。多くは公立図書館で働いていますが、中には学校や大学の図書館で働く人もいます。図書館司書の仕事というと、資料の貸し出しや返却対応といった貸し出し業務を思い浮かべるかもしれません。しかし、それ以外にも書籍の選定や分類・整理、目録の作成、さらには利用者に対する情報提供などがあり、その仕事内容は多岐にわたります。
 
図書館司書の資格をとるためには、大学(短大)で司書資格を取得するための単位を取った上で卒業する必要があります。すでに大学・短大を卒業した人は、2ヶ月間の司書講習を修了することで資格を取得できます。また、司書補として3年以上の勤務経験があれば、司書講習を受講できるので、資格を取れます。
 
司書講習は文部科学省が指定する大学で受講する必要があり、2ヶ月程度、15万円ほどの費用がかかります。なお、一般教育訓練給付講座などで条件によっては費用が戻ってくる場合があります。国家資格ではあるものの、資格そのものは決して取りにくいとはいえません。
 

図書館司書の待遇改善が求められる理由

図書館司書の中には正規公務員として働く人もいますが、その割合は年々減少傾向にあります。その背景の一つに2003年から始まった「指定管理者制度」があります。指定管理者制度が始まったことで、図書館や公民館、保育園などの公共施設を民間企業やNPO法人に管理してもらえるようになりました。
 
自治体にとっては公共施設の運営にかかるコストを削減できますし、ノウハウのある民間企業やNPO法人が施設を管理することで利用者にとっての利便性が向上します。
 
一方、指定管理者が運営することによって、公立図書館で働く正規公務員の割合が減り、嘱託職員やパートなどでの募集が増えるようになりました。その結果、非正規雇用が増えていったのです。
 
非正規職員の割合は年々増加傾向にあり、2015年時点で6割以上が非正規職員というデータもあります。最も正規職員の割合が少ない県は長崎県で、82.4%が非正規職員となりました。最も正規職員が多いのは青森県ですが、39.3%は非正規職員です(いずれも2015年時点)。
 

図書館司書の年収は?

図書館司書の平均年収は584万4000円で平均年齢は43.3歳ですが、正規職員と非正規職員で差が大きく、非正規職員の中には150万円~200万円ほどの年収で働いている人もいます。
 
非正規雇用が一般的になる中、一部の図書館では図書館司書が定着せず、人材不足に悩まされています。かつては正規の公務員として働く図書館司書を目指す人もいましたが、なかなか正規職員になれないため、図書館司書として働くのを諦め、別の仕事に就く人も少なくありません。
 
非正規雇用が当たり前になってしまうと、図書館司書を目指す人が減ってしまい、人材不足によって運営が難しくなる図書館が出てくるおそれもあります。このようなことから、図書館司書の待遇改善は喫緊の課題といえるでしょう。
 

正規職員の募集が少なく非正規職員の年収が低い


 
図書館司書の年収は584万円ですが、正規職員と非正規職員とで差が大きく、非常勤職員として働く人の中には年収200万円ほどの人もいます。
 
正規職員と非正規職員の仕事の内容に違いがないのに不合理な待遇格差があれば、「同一労働同一賃金」を掲げる働き方改革関連法に違反していることになります。図書館司書の給料が少なく長く働ける環境でないと、良い人材が育たず、図書館司書の数が不足してしまい、図書館の正常な運営が難しくなります。
 
私たちの生活に欠かせない図書館ですが、それを守るためには図書館司書が長く働ける環境をつくることが大切だといえます。
 

出典

CHANGE.ORG 私は最低賃金+40円・手取り9万8千円で働く非正規図書館員です。図書館の今を知り、未来のために署名をいただけませんか?
日本図書館協会図書館政策企画委員会 図書館における指定管理者制度の導入等の調査について 2020(報告)
職業情報提供サイト(日本版O-NET) 図書館司書 – 職業詳細
文部科学省 令和4年度司書及び司書補の講習について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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