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残業代ってどうやって計算するの? 計算方法を解説

ファイナンシャルフィールド / 2022年10月26日 11時20分

残業代ってどうやって計算するの? 計算方法を解説

残業代ってどのように計算されているのか、ご存じでしょうか。残業といってもいくつか種類があり、それぞれ計算方法が異なります。本稿では、残業代についてわかりやすく解説します。

残業の考え方

会社のルールで決めた、1日の所定労働時間を超えたところが残業となります。例えばAさんの会社は、就業規則で1日の所定労働時間が7時間とされています。この場合、7時間超えたところから残業となります。
 
上記例の場合、7時間超から8時間までの1時間は所定外労働時間といい、残業となりますが、この1時間は割増賃金の支払いは生じません。ただし、1日8時間を超え就労すると8時間超えたところから法定外労働となり、割増賃金の支払いが生じます。
 
労働時間については、労働基準法の中で定められています。労働基準法は労働条件に関する最低基準を定めた法律です。この法律の第32条には次のように定められています。
 

<労働時間>

第32条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
(出典:労働基準法より一部抜粋)
 
原則、1日の法定労働時間である8時間を超えて働くことはできません。ただし、会社の業務等によっては8時間を超えてしまうこともあります。法定時間外に労働するには書面による労使協定(36協定)を締結し、これを行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出た場合に、時間外労働や休日労働ができます。
 
36協定は、「時間外労働・休日労働に関する協定」のことをいい、労働基準法第36条に規定があることから、通称「36協定(さぶろくきょうてい)」と呼ばれています。労働基準法第36条には次のとおり定められています。
 

<時間外および休日の労働>

第36条
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては ~略~ 労働時間、休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
(出典:労働基準法より一部抜粋)
 

割増賃金の考え方

前段より、36協定の届け出をしていない会社は、法定労働時間を超えて働くことはできません。36協定を締結していても時間外労働には上限規制があります。残業できたとしても、法定労働時間を超えて残業した場合、会社は割増賃金を支払わなければいけません。
 
割増賃金は法定時間外労働だけでなく、法定休日に働いたり、深夜時間に働いたりすると、割増賃金の支払いが発生します。割増賃金には3種類あり、割増率は次のとおりとなっています。
 

 
(出典:東京労働局ホームページより)
 

残業代を実際に計算してみましょう

Bさんを例に計算します。Bさんの会社は、変形労働時間制、フレックスタイム制などの採用がない、1日8時間、1週40時間の会社です。
 
Bさんの1ヶ月(諸手当なし)
 

基本給 20万円
1日の所定労働時間 8時間
1週間の所定労働時間 40時間
1ヶ月の残業時間 20時間
1ヶ月の深夜時間 5時間
法定休日出勤 8時間
1ヶ月平均所定労働時間 160時間

 
(筆者作成)
 

1時間あたりの賃金:20万円÷160時間=1250円
残業手当:1250円×1.25×20時間=3万1250円(法定時間外残業)
深夜手当:1250円×1.5×5時間=9375円(法定時間外残業+深夜)
休日手当:1250円×1.35×8時間=1万3500円(法定休日労働)

 
すでに大企業では、月60時間を超えて残業すると、60時間を超えた時間は1.5(1.25+0.25)以上で計算し、深夜まで働いた場合は1.75(1.25+0.25+0.25)以上で計算します。また、法定休日に深夜まで働いた場合は1.60(1.35+0.25)以上で計算します。中小企業も2023年4月からは大企業と同様に計算することになります。
 
※変形労働時間制(1週間単位、1ヶ月単位、1年単位、フレックスタイム)を採用している会社は、残業代の計算方法は異なります。
 

まとめ:長時間労働の是正

長時間の残業は、働いた分、生産性が向上するということではなく、むしろ生産性は低下し、労働災害につながる恐れもあるため、働き方改革により、長時間労働を防止するための制度が見直されました。仕事と生活の調和(ワークライフバランス)を実現するためにも必要な取り組みです。
 
労働時間について最低限守らなければならない、労働基準法に定められたルールを正しく理解し、残業した場合、残業代が適切に支払われているか、給与明細等で確認しましょう。
 

出典

東京労働局 しっかりマスター労働基準法

e-GOV 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法

 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

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