【年金が少ない人必見!】「年金生活者支援給付金制度」を分かりやすく解説
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月27日 22時50分
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国民年金だけで老後の生活を送れる人は少ないといわれています。国民年金よりも年金受給額が基本的に多いとされる厚生年金でさえ、十分ではないといわれていますので国民年金加入者の心配は尽きません。 そこで消費税が引き上げられた2019年10月1日を機に、受給額が少ない国民年金加入者のために新たなセーフティーネットができました。それが「年金生活者支援給付金制度」です。
年金生活者支援給付金制度の受給要件
年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入金額や他の所得が一定の基準以下の場合に、生活支援を図ることを目的に公的年金に上乗せされる支給金のことです。
年金生活者支援給付金はあくまでも「給付金」であることから、通常の公的年金とは別ものと捉えなくてはなりません。一方で給付金であることから当然、返済義務もなく、安心して利用できる点がメリットといえるでしょう。ただし、次の人は該当しないので注意が必要になります。
1.日本国内に住所がないとき
2.年金が全額支給停止されているとき
3.刑事施設等に拘禁されているとき
年金生活者支援給付金の対象者と受給額は次のとおりですが、年金の種類ごとに若干異なります。
老齢基礎年金受給者
・65歳以上である
・同一世帯全員が住民税非課税である
・前年の公的年金等の収入とその他所得の合計額が88万1200円以下である
なお、受給額の算出例の詳細については後述します。
障害基礎年金受給者
・前年の所得が472万1000円以下である
なお受給額は、障害等級2級は月額5020円、障害等級1級で月額6275円となっています。
遺族基礎年金受給者
・前年の所得が472万1000円以下である
受給額は基本的に月額5020円です。
障害基礎年金受給者、遺族基礎年金受給者ともに前年の所得が472万1000円以下の場合は支給されますが、扶養親族等の人数によってその金額は変わります。また障害基礎年金や遺族基礎年金などの非課税部分の収入は、生活者支援給付金の判定基準収入には該当しません。
年金生活者支援給付金の受給額の算式
老齢基礎年金受給者に年金生活支援給付金が支給される場合、次の(1)と(2)の合計額で計算します。
(1)保険料納付済期間に基づく額(月額)=5020円 × 保険料納付済期間÷被保険者月数480月
(2)保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万802円× 保険料免除期間÷被保険者月数480月
また前年の年金収入と所得の合算が78万1200円を超え88万1200円以下である人には、(1)に一定の割合を乗じて算出された「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。保険料納付済期間、前年の年金収入額そして他の所得額の合計の影響を受けて給付額が変わってきます。
ちなみに補足的老齢年金生活者支援給付金は次の算式で算出されます。
月額5020円×保険料納付済期間÷被保険者月数480月×調整支給率
※調整支給率=(88万1200円-前年の年収とその他所得の合計額)÷(88万1200円-78万1200円)
具体例で年金生活者支援給付金の支給額を計算してみましょう。
被保険者月数480月のうち納付済月数が480ヶ月、全額免除月数が0ヶ月の場合は以下のとおりです。
(1)5020円×480月÷480月=5020円
(2)1万802円×0月÷480月=0円
合計(1)+(2)=5020円(月額)
分母の480月については、1917年4月1日以前に生まれた人から1941年4月1日までの間に生まれた人は480月を下回るように修正が入りますので注意が必要です。
なお、これらの算式に組み込む保険料納付済期間等は、日本年金機構ホームページの「ねんきんネット」で確認できます。
年金生活者支援給付金の注意点
年金生活者支援給付金制度は、基本的に手続きは非常にシンプルです。ただ、基本的に添付書類は不要ですが、所得の確認が取れない場合などは証明書類の提出が求められます。
要件を満たしている場合は2年目以降の手続きは原則不要です。しかし年金生活者支援給付金が要件を満たさなくなった場合、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が送られてきますので、書類の提出が求められる点だけは注意が必要です。
なお、年金生活者支援給付金の受給額は毎年度物価変動の状況により見直されることも覚えておきましょう(物価スライド改定)。
まとめ
消費税を増税したことによる財源の一部は、年金生活者支援給付金に充てられています。一定の所得以下の人には、年金生活者支援給付金が支給されるようになりセーフティーネットが拡充したとの見方もできます。
しかし、年金生活者支援給付金額の算出例で分かるように、いくら年金生活者支援給付金制度ができたとはいえ、年金不安を払拭(ふっしょく)するまでのものではありません。老後生活の資金準備に関して、公的年金制度に頼りすぎないことが求められる時代になったといえそうです。
出典
厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
日本年金機構 「ねんきんネット」によるご自身の年金記録の確認
執筆者:茂野博起
AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士
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