「家内労働者等の必要経費の特例」ってどんな制度?
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月29日 10時20分
![「家内労働者等の必要経費の特例」ってどんな制度?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_166577_0-small.jpg)
働き方の多様化が進んでいますが、主に内職など、家内労働者として従事している人を対象にした特例があるのをご存じですか? 「家内労働者等の必要経費の特例」を適用すると、所得に対して一定の必要経費の計上が可能です。そのため、税制面のメリットがあり、手取り収入の増加につながることがあります。 今回は家内労働者等の必要経費の特例について解説します。
そもそも家内労働者等とは? どういう仕事が該当する?
厚生労働省によると、家内労働者は次のように定義付けられています。
家内労働者とは、通常、自宅を作業場として、メーカーや問屋などの委託者から、部品や原材料の提供を受けて、一人または同居の親族とともに、部品の製造や加工などを行い、その労働に対して工賃を受け取る人をいいます。
厚生労働省 家内労働について より引用
つまり、家内労働者とは自宅を作業場にすることから、内職をしている人を指します。内職をする家内労働者と、仕事を依頼する委託者は、家内労働法という法律で、主に賃金面や安全面のルールが定められています。
家内労働者等の必要経費の特例の具体例
なお、国税庁によると、家内労働者等の必要経費の特例では、上記の家内労働者に加えて、次の仕事をしている人も対象となります。
●外交員
●集金人
●電力量計の検針人
●そのほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人
つまり、電力メーターの検針員、新聞集金や公共放送の受診料集金を仕事としている人は、「家内労働者等」に含まれるということです。
家内労働者等の必要経費の特例とは
通常、事業所得や雑所得の金額は、総収入金額から必要経費を差し引いた金額です。
内職など家内労働者等に該当する場合には、必要経費として、一律55万円を所得から控除してよいとされています。これを「家内労働者等の必要経費の特例」といいます。
家内労働者等の必要経費の特例に関する注意点
仮に必要経費が55万円に満たない場合でも、一律55万円を経費として控除できます。このため、実際の必要経費が55万円以下である場合には、大きな節税効果になります。
しかし家内労働者等に当たる人が、これにより得た収入以外に給与所得がある場合は、注意が必要です。
給与の収入金額が55万円以上ある場合には、この特例の適用は受けられません。給与の収入金額が55万円未満の場合、55万円からその給与にかかる給与所得控除を差し引いた残額と、事業所得や雑所得の実際にかかった経費を比べて高い方を経費とします。
つまり、給与所得控除額が55万円以上ある場合には、この特例は受けられないということになります。
実際に家内労働者等の必要経費の特例を受けられるかどうか不明な場合は、国税庁Webサイトに計算書が公開されています。そちらに記入しながら、該当するかどうか判断すると、分かりやすいでしょう。
まとめ
家内労働者等の必要経費の特例を受けるためには、まず家内労働者等に該当するかどうかを確認しましょう。
その上で、特例の適用対象になる場合には、国税庁Webサイト上で公開されている計算書を用いて、実際に適用されるかどうか判断しましょう。
不明な場合には、内職の委託者や雇い主に確認するか、税務署などの専門機関へ尋ねることをおすすめします。
出典
厚生労働省 家内労働について
厚生労働省 家内労働法の概要
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1810 家内労働者等の必要経費の特例
国税庁 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例の適用を受ける場合の必要経費の額の計算書
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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