女性の方が平均寿命が長い! 夫が亡くなった後、年金で生活できる?
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月30日 4時0分
![女性の方が平均寿命が長い! 夫が亡くなった後、年金で生活できる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_166638_0-small.jpg)
厚生労働省によると、男性の平均寿命は81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳です。女性の方が平均寿命が長く、長生きする確率が高いのです。ここでは、高齢の夫婦で、夫が亡くなった後の妻の年金について解説します。
男性と女性の平均年金額の違い
公的年金には、国民年金と厚生年金の2種類があります。まず、厚生労働省の厚生年金保険・国民年金事業の概況(2020年度)で、それぞれの男性と女性の平均年金額を見ていきます。
老齢基礎年金(国民年金)
老齢基礎年金の男女別年金月額の平均は、男性5万9040円、女性5万4112円となっています。男性と女性の差は5000円程度です。ちなみに、2022年度の老齢厚生年金の満額は6万4816円です。
年金月額の階級を細かく見てみると、男性は6~7万円が合計人数の約6割なのに対し、女性は6~7万円が3割程度であり、月額階級にバラつきがみられます。特に女性は、人により多くもらえる人と、少ない人の差があるということがわかります。
老齢厚生年金
老齢厚生年金の男性の平均年金月額(老齢基礎年金含む)は、17万391円です。一方女性は、10万9205円となっています。男性と女性では、約6万円の差があります。
これは、男性と女性で、標準報酬額や加入期間に差があるためです。
さらに、厚生年金保険の被保険者数は、女性と男性で910万人の差があり、男性に比べ女性は、厚生年金に加入している人が少ないこともわかります。
共働き世帯が増え、女性も男性と同じように働く人が増えていますが、年金制度においてはまだ、男女で大きな差がみられます。
夫が亡くなった後の公的年金
では、65歳以降、先に夫が亡くなった後の公的年金はどうなるのでしょうか。夫や妻の加入している年金によって、いくつかのパターンに分けられます。
夫が国民年金に加入
自営業の人は国民年金に加入しており、老後は老齢基礎年金を受給することになります。老齢基礎年金を受給している夫が亡くなった場合、夫の受給していた年金は支給されなくなります(未支給年金はのぞく)。
遺された遺族に支給される遺族基礎年金は、死亡した人によって生計を維持されていた18歳到達年度の末日までの子ども(障害等級1級または2級の場合は20歳未満)のいる配偶者、または18歳到達年度の末日までの子ども本人に支給されます。
そのため、年金生活をしている高齢の夫婦では、当てはまる人は少ないでしょう。
夫が厚生年金、妻が国民年金に加入
会社員や公務員などの人は、厚生年金保険に加入します。夫は老後、老齢基礎年金に加え老齢厚生年金を受給できます。妻は、ずっと専業主婦もしくは自営業などで、厚生年金保険の加入記録がない場合、老齢基礎年金を受給することになります。
このケースでは、夫が亡くなった場合、妻は自身の老齢基礎年金に加え遺族厚生年金を受け取ることができます。遺族厚生年金の額は、夫が受給していた老齢厚生年金の4分の3の金額です。例えば、夫の老齢厚生年金が10万2000円の場合、妻が受け取る遺族厚生年金は7万6500円となります。
妻の老齢基礎年金を満額の6万4816円(2022年度)受給できるとすると、合算して14万1316円という計算になります。
夫婦共に厚生年金に加入
共働き世帯などで、夫婦共に老齢厚生年金を受給している場合はどうでしょう。老齢厚生年金を受給している夫が亡くなった場合、妻が受け取れる厚生年金(遺族厚生年金+老齢厚生年金)の額は次のうち、一番高い金額となります。
●夫の老齢厚生年金の4分の3の額
●夫の老齢厚生年金の2分の1と妻の老齢厚生年金の2分の1を合計した額
●妻自身の老齢厚生年金の額
例えば、夫の老齢厚生年金が10万2000円、妻の老齢厚生年金が4万円だとします。
夫の厚生年金の4分の3の金額は、7万6500円です。夫の老齢厚生年金の2分の1と妻の老齢厚生年金の2分の1を合計した額は、7万1000円となります。妻の老齢厚生年金の額は、4万円なので、一番高い金額である7万6500円が厚生年金として受け取ることのできる額になります。
妻の老齢基礎年金を満額の6万4816円(2022年度)受給できるとすると、妻が受け取る年金額は14万1316円です。
夫が亡くなった後、遺された妻がどのくらいの年金を受給できるのかは、加入している保険や現役時代の働き方、年収によって大きく異なるため、それぞれで計算する必要があります。
場合によっては、加算されるケースもありますので、自身の年金額で調べてみてください。
自身の老後資金をできるだけ増やす努力を!
総務省統計局の統計データ(家計調査、2022年4~6月期)によると、65歳以上の女性の1ヶ月の生活費は、15万1477円となっています。
賃貸住まいや高齢者施設に入所するなど、生活スタイルによってはさらに生活費は高くなるでしょう。
男性よりも女性の平均寿命が長いことを考えると、老後、豊かな生活を確保するためにも、女性は特に、自分自身の年金を増やすことが大切です。厚生年金保険に加入する、個人型確定拠出年金(iDeCo)や企業型確定拠出年金、つみたてNISA、保険などを活用するなど、老後資金をしっかりと準備しておきましょう。
特に、主たる生計者が夫である既婚者の女性は、夫が亡くなった後の自身の経済設計についてもしっかり考えておくと良いでしょう。
出典
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況 1 主な年齢の平均余命
厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和2年度)
厚生労働省 年金制度の仕組み 年金制度のポイント
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計収支編 単身世帯 四半期 2022年4~6月期 男女,年齢階級別
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP
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