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「強制参加の飲み会」に残業代は請求できる?賃金が発生するポイントについて確認

ファイナンシャルフィールド / 2022年10月30日 10時10分

「強制参加の飲み会」に残業代は請求できる?賃金が発生するポイントについて確認

新年会や忘年会、歓送迎会や慰労会など、飲み会が年に何度もあるという会社は少なくありません。従来は、社員同士の親睦を図り、仕事を円滑に進めるために必須だと考えられてきた会社の飲み会ですが、最近は若手社員を中心に敬遠する人も出てきています。人によっては、「飲み会も仕事のようなもの」と感じる場合もあるかもしれません。   そこで、本記事では強制参加の飲み会に残業代は発生するのかについて説明します。

飲み会にも残業代が発生する場合がある

そもそも、賃金が発生するのは労働時間に対してです。したがって、強制飲み会に残業代が発生するのは、飲み会が労働時間だとみなされる場合となります。ただ、法律には労働時間については明確な定義がありません。
 
もっとも、最高裁判所が「三菱重工業長崎造船所事件」で、労働時間かどうかは、「会社の指揮命令下」に置かれたものかどうかで判断するとしています。後に厚生労働省が出した労働時間に関するガイドラインでも同様の考え方です。「会社の指揮命令下」というのは、会社が従業員に対して指示を出し、従う義務がある場合だと考えれば良いでしょう。
 
したがって、飲み会が「会社の指揮命令下」にあるといえるのは、会社が飲み会に参加することを指示しているかどうかで決まります。指示しているのであれば労働時間に該当し、指示していなければ労働時間には該当しません。この指示は「飲み会参加は業務命令である」というような明示的なものである必要はなく、実質的に参加を強制するようなものであれば指示があったとみなされます。
 
例えば、自由参加が名目になっているものの、飲み会に参加しなかった人は昇格させない、または給与を上げないなど、不利益を与えるような場合です。
 
あるいは、飲み会に参加しないことで仲間外れにされたり、上司からパワハラを受けたりするような場合も該当します。これらは、表面上は自由参加といっても、参加しなければ不利益を被るのですから、実質的には強制参加といえるのです。
 
このように強制参加である場合、飲み会も労働時間に該当するものとして残業代が発生します。通常、勤務時間終了後に行われる飲み会は、自動的に時間外労働となり残業代支給の対象となるのです。これを避けたければ飲み会を任意参加にしなければなりません。任意参加とするためには、飲み会への参加が従業員の完全な任意に委ねられており、欠席しても何ら不利益を受けることがないことが必要です。
 

飲み会の強制でトラブルを起こさないためには

会社で強制参加の飲み会を多数行っていると、従業員から多額の残業代を請求される可能性があります。したがって、職場で飲み会の強制が起こらないようにしなければなりません。
 
そのためには、特に管理職に対して、飲み会に関する意識を変える教育を行う必要があります。管理職が、飲み会も仕事のうちで参加するのは当たり前だという価値観を持っていると、飲み会の強制はいつまでもなくならないでしょう。また、会社のメンバーで飲み会を実施する際には、参加はあくまでも自由であることを広く知らせることが大事です。
 

もはや飲み会は強制できない


 
会社のメンバーで飲み会を行うことは決して悪いことではありません。しかし、従業員の中には、飲み会が苦手な人、会社が勤務時間外に影響を及ぼすことに強い抵抗を示す人など、さまざまな人がいます。
 
したがって、従来のように「全員参加すること」といった指示を出して飲み会をやることは避けなければなりません。飲み会も会社の指示で参加が義務付けられているのであれば労働時間であり、残業代支給が必要となります。管理職をはじめ従業員全員に、飲み会を強制しないという意識を育てていくことが大切です。
 

出典

裁判所 裁判例結果詳細
厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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