親から子に伝えたい、10~20代向けの金銭学習
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月31日 9時0分
![親から子に伝えたい、10~20代向けの金銭学習](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_166842_0-small.jpg)
今年は高校の家庭科の授業で「資産形成」の授業が始まるなど、若い世代への金融教育が話題となっています。 今まで、お金や資産形成のことは個人まかせで、社会人としてスタートした後に、自力で学ぶことが多かった金銭学習ですが、今回は、親から子供たちに伝えたい金銭学習についてまとめてみました。
金融庁による「基礎から学べる金融ガイド」
金融庁が2021年1月に改訂した「基礎から学べる金融ガイド」(※)というものがあります。40ページ程度のもので、図やイラストを多用して分かりやすい構成になっているので、金銭学習のスタートにおすすめです。大きな項目は次の6つです。
「家計管理」「生活設計」「預貯金」「株式・債券・投資信託」「生命保険・損害保険」「クレジット・ローン」
ほかに、より具体的な知識とトラブル防止については、以下の項目に分かれています。
「その他の金融サービス・用語の説明」「各種相談窓口(外部知見の活用)」「トラブル対応(特殊詐欺や海外保険など)」
これらは、誰にでも必要な情報・知識と言えます。読むだけではなかなか身に付かないと思いますが、社会に出た後、実際に体験しながら金銭について学んで行くときに、大いに役に立つのではないでしょうか。
学び方はさまざまですが、実際に身に付けて行くときには、ガイドブックの順通りにはなりますが、次のような3つのステップで進んでいけばよいと思います。
金銭学習の第1ステップ
家計管理
10~20代の人にとって、これから続く70年-80年の生涯で最も大事なことは、家計の収支を考える習慣を早期に身に付けることではないでしょうか。収支を把握するためには、少し前までは家計簿を付けるのが第一でした。
しかし、チマチマと支出をメモすることは面倒だと放置してしまうことも多いと思われます。家計簿を放置した結果、無駄遣いをしてしまい、結局家計簿に戻るということはよくあったのですが、スマホ家計簿アプリの登場で状況は一変しました。
収支管理の単純で絶対的な基本は、あとから見返して収支を確認できることです。その一つの方法として、スマホ家計簿アプリは手軽で便利なツールです。
生活設計
生活設計とは、ライフイベントをどう考えるかということです。20代以降に迎える主要なライフイベントは、結婚、出産、住宅取得、教育資金、リタイアの5つであり、それに伴う資金をどのように確保するかは大事です。
人それぞれの生き方や価値観、家族状況によって違いはあると思いますが、この5つの出費についてその概算額を把握しておくことは、決してマイナスにはならないことです。
さらに踏み込んでキャッシュフロー表を作成し、それに基づいて20年~30年の収支を時系列で考えるとき、行き当たりばったりの生き方と比べると、大きな差が生まれるのではないでしょうか。
金銭学習の第2ステップ
金銭学習の第2ステップは、金融資産についての知識を得ることです。日本人の金融資産配分は、アメリカ等と比較して現金預金偏重になっていますが、金融資産に対する正しい知識を得る機会が少ないこともその理由の一つかもしれません。
そのため、「株式・債券・投資信託」等の金融資産に対して正しい知識を持つことが大切です。
日本では、30年間収入が増えない時代が続いており、その理由はさまざまな意見がありますが、株式や投資信託への資産配分の比率が低いことが一因と言われることもあります。
金銭学習の第3ステップ
高齢者の特殊詐欺などの被害件数が高止まりを続ける一方で、若者がリスクの高い金融商品(FX、暗号通貨、クレジットカードなど)で多重債務者になってしまう例も多くあります。
リスクに対して正しい判断を持つための知識を持つことと、結果として大きな損やリスクを抱えた場合に、脱出するための各種相談窓口(外部知見)を知ることが大切です。
親の立場で
学習の順序などはさまざまな意見があると思いますが、単にこの「金融ガイド」を若者に提供して済むものではありません。
親は、金融資産などの学習が大切であることを「気付かせること」、「関心をもたせること」「正しく理解させること」も大切ではないでしょうか。そのため、適切と思われるタイミングで、自分の経験を含めて子どもに伝えることも必要と思われます。
まとめ
金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」の概要を3つのステップに分けて整理してみました。折に触れて、お金とライフプランの大切さを親の口から話すことは大事です。その際の参考になればと思うところです。
出典
(※)金融庁 基礎から学べる金融ガイド
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP
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