「時短ハラスメント」をされて、残業をしても残業代がほぼゼロです。どうしたらいいですか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年10月31日 13時10分
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職場で上司に業務時間の短縮を強要され、残業が発生しても残業代が支払われないというハラスメントが行われることがあります。このような場合、社員はどのように対応したらいいのでしょうか。 会社に対してどのような要求をするべきか、また、将来訴えることを考えてどのような準備をしておくべきかなど、対処方法について説明してきます。
時短ハラスメントとは
時短ハラスメントとは、経営者や上司などが従業員に対して、業務時間の短縮を強要するハラスメントです。どのように手間のかかる仕事でも「必ず業務時間内に終わらせろ」と強く圧力をかけ、終わらない場合も残業を認めないといった対応が時短ハラスメントにあたります。
長時間労働を是正する「働き方改革」が進む中で、「残業時間の短縮」を経営者側が都合よく考え、業務負担の経験などなしに業務時間の短縮だけを一方的に求めるというようなことが起こりました。これによって、従業員は仕事が終わらないのに残業もできず、結果的に残業代の出ない「自宅残業」などを強いられるのです。
このような時短ハラスメントは、従業員の働き方をゆがめ、職場に大きな弊害をもたらします。表面的には残業は発生しておらず、したがって残業代も出ない一方で、業務量は減らず、事実上の長時間労働は残っている状態です。
そのため、従業員のモチベーションは著しく下がります。また、適正な労働時間管理も行われていないので、労働者が過重な負担の下で健康を害する可能性もあります。
上司や経営者に何を要求するべきか
時短ハラスメントが起きる根本原因は、各職場に適切な業務量が配分されておらず、業務時間内に処理しきれないことにあります。したがって、適切な業務量の再配分を求めることが大切です。
また、業務効率が上がるような施策、例えば必要な端末やソフトウエアなどの導入を要求するのも効果があります。上司や経営者が現場業務の実際を把握していないことで起こる時短ハラスメントについては、従業員からのこのような突き上げで解消することも可能です。
正しい残業代を請求するために
経営者や上司の無理解から時短ハラスメントが起きているのであれば、業務の改善で解決する可能性はあります。しかし、業務量を減らすつもりはなく、表面的な時短だけを装い、残業代を支払わないことを意図しているブラック企業の場合は、業務改善要求が意味を持つことはほとんどありません。
このような場合は、泣き寝入りせず正しい残業代を請求するのが効果的です。ただし、このような企業ではタイムカード上は退勤しているのに実際には残業しているといったことが横行していますので、従業員自ら残業時間の証拠を取っておかなければなりません。
そのためには勤務時間のメモを取ることが有効です。出退勤の時間、休憩時間を正確にメモし、残業がない日も含めて毎日記録します。まとめて記録するような仕方ではなく、日々地道に記録を取り続けることが大事です。業務内容もあわせて記録するなどすれば、証拠としての価値はより上がります。
時短ハラスメントに負けないように防衛を
時短ハラスメントは、経営者の「働き方改革」への無理解や都合のいい解釈によって生まれます。ひどい場合には、長時間労働を強いておきながら残業代を払わないようにするため、表面的な時短実現だけを目的に行われている場合すらあります。
そのままでは、従業員のモチベーションが下がるだけでなく、健康被害が生じる可能性があり、放置はできません。従業員も業務改善を要求したり、正しい残業代を請求したりして自己防衛をすることが大切です。
また、自分だけで解決しようとせず、労働基準監督署をはじめとする国などの機関に相談することも考えてみましょう。
出典
厚生労働省 相談機関紹介
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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