「在職定時改定」がいよいよスタート!65歳以降も働く人にどんなメリットがある?
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月1日 23時20分
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65歳以降の高齢期でも、就労を継続する人は年々増えています。そこで、2022年4月から導入されたのが「在職定時改定」です。65歳以降に働いた分の厚生年金保険が、早期に年金額に反映されるようになりました。65歳以降も就労を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
「在職定時改定」とは?
「在職定時改定」とは、65歳以降も厚生年金保険に加入しながら働き、かつ老齢厚生年金を受給している方の年金額を、毎年10月に改定し、それまでに納めた保険料を早期に年金額に反映する制度です。
2022年10月分の年金額から反映されるようになり、2022年10月分については、65歳の誕生月から2022年8月までの厚生年金に加入していた期間も含めて、年金額が改定されます。10月と11月分の年金の支払月は12月となるため、12月に受け取る年金額から反映されます。
今までは……
では、「在職定時改定」導入前は、どのようになっていたのでしょうか。退職した後に受け取る年金額、もしくは70歳に到達した後に受け取る年金額に、65歳以降に納めた年金額が反映されていました。
つまり、働いている間(65歳以降70歳まで)は、受け取る老齢厚生年金の金額は変わらないということです。厚生年金(報酬比例部分)は、平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者の月数で計算されます。
例えば、65歳から70歳まで平均標準報酬額(月額+賞与を12ヶ月で割ったもの)が20万円で働いた場合、年間約1万3000円、5年分で約6万5000円の増額となります。70歳になり、老齢年金を受け取るタイミングで、増額分が加算されるのです。
2022年4月以降は……
「在職定時改定」の導入により、厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受給している65歳以上70歳未満の方の年金額が、基準日の9月1日において被保険者であるときは、前年9月から当年8月までの被保険者期間を算入し、翌月の10月分の年金額から見直しされます。つまり、毎年年金額が増額されるということです。
例えば、上記の例と同じように65歳から70歳まで平均標準報酬額20万円で働いた場合、年間約1万3000円の増額です。この場合、「在職定時改定」における年金額増額分を計算すると、総額が約13万円であり、今までの年金制度よりも、65歳から70歳までの間で、およそ13万円多く老齢厚生年金を受給できるということです。
なお、今回計算したのは概算であり、誕生月や平均標準報酬額によっても、それぞれ金額が変わりますので、注意してください。
在職定時改定と在職老齢年金
「在職定時改定」は、65歳以降も厚生年金に加入しながら働く方にメリットがありますが、注意も必要です。受け取る加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額と、総報酬月額相当額(1ヶ月の標準報酬月額と以前1年間の標準賞与額の合計を12ヶ月で割った金額)の合計が47万円を超える場合、47万円を超えた部分の2分の1の額が「支給停止」となります。
また「在職定時改定」は、在職中の老齢厚生年金受給者が対象となっているため、65歳以降、年金の繰下げ受給を申請する場合には、「在職定時改定」導入のメリットはありません。この点も踏まえ、65歳以降の年金の受け取り方と、働き方を考える必要があります。
まとめ
老後、余裕のある生活を送るには、年金収入のみではなかなか難しいかもしれません。65歳以降も、可能な範囲で働き、年金額を増やす方が安心です。
「在職老齢年金」の導入で、65歳以降も厚生年金に加入しながら働く方に、年金受給のメリットが増えたことになります。老後の生活について、65歳以降のライフプランと経済設計をあわせて、考えてみてください。
出典
日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました
厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP
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