残業45時間で残業代は「2万円」でした…時給だと「444円」で少ないと思うのですが請求できますか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月6日 23時0分
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都内の会社に勤めるAさんは年度末、45時間も残業しましたが、残業代として支給されたのは2万円でした。 時給に計算すると約444円ですが、これは東京都の最低賃金の半額にも達しません。Aさんは最低賃金との差額を会社に請求できるでしょうか。もし、残業代が「固定残業代 2万円」としてあらかじめ決まっていたとしたら、請求できないでしょうか。 本記事では、これらの問題について解説します。
最低賃金と残業代
・最低賃金制度
労働者が不当に安い賃金で働かされることを防ぐため、各都道府県は最低賃金額を決定しています。例えば、2022年10月現在、東京都は最低賃金額を時給1072円としていますが、これは全国で最も高い額です。
これに対し、最も安いのは青森県、秋田県、鹿児島県、沖縄県などの853円です。なお、Aさんのように都内で働いている人には東京都の最低賃金が適用されます。
・適正な残業代
最低賃金は基本給だけではなく残業代にも保障されます。そのため、残業代を最低賃金より安く設定することは許されません。もし、残業代がそれを下回るようなときは、会社に差額を請求することができます。
それではAさんについて検証してみましょう。都内で働くAさんの場合、最低賃金額との差額は628円(1072円ー444円)です。Aさんは45時間残業していますので、2万8260円(628円×45時間)の支払いを会社に請求することができます。
しかし、会社にはより多くの支払いが義務付けられています。なぜなら、残業代は割り増しして支給する必要があるためです。
例えば、正規の勤務時間が終わった後に継続して働かせるときは25%以上、また、休日に働かせるときは35%以上割り増しし、残業代を支給することが法律で義務付けられています。そのため、Aさんの時給が1500円で、Aさんは休日に45時間、残業したとする場合、残業代は9万1125円(1500円×45時間×1.35)以上でなければなりません。
しかし、Aさんは2万円しか残業代をもらっていませんので、その差額の支払いを会社に請求することができます。
なお、月給制の人の時給は年間の基本給を年間の労働時間数で割って決定します。例えば、基本給が24万円、1日8時間、年間240日働く人の時給は1500円です。
(24万円×12ヶ月)÷(8時間×240日)= 1500円/時間
これはすべての都道府県の最低賃金を上回っており違法ではありません。
固定残業代が設定されている場合
毎月の残業代があらかじめ決まっていて、実際の残業時間数にかかわらず残業代が支給される場合があります。例えば、「固定残業代3万円(20時間の残業を含む)」と定められている場合です。
これを「固定残業代」ないし「みなし残業代」といいますが、このような場合であれ、残業代には割り増しが必要です。例えば、時給が1500円で、残業が15時間に設定される場合、固定残業代は2万8125円以上(時給の25%以上割増)でなければなりません。
なお、ひと月あたり45時間を超える残業は法律で禁止されています。また、年間で360時間を超えてもいけないため、毎月の固定残業代として設定できる残業時間数は最大30時間(360時間÷12ヶ月)です。そのため、Aさんの固定残業代が45時間に設定されているとすれば、法律に違反します。
Aさんの時給が1500円の場合、残業代は1時間あたり1875円以上(25%以上の割増)でなければならないため、固定残業代の2万円に含まれる残業時間数は10時間程度です。したがって、Aさんは35時間分の残業代を会社に請求することができます。
残業代は基本給や最低賃金を割り増しして請求できる
45時間の残業で2万円、つまり、1時間あたり444円の残業代は最低賃金を下回り、違法です。このような場合、労働者は最低賃金との差額ではなく、割り増しした最低賃金との差額を請求することができます。
なぜなら、休日出勤には通常より35%以上のように、残業代は割り増しして支給されるからです。基本給が最低賃金の水準を上回っているときは、基本給を基に残業代を決定し、実際に支給された残業代との差額を請求することができます。
なお、使用者は残業代を固定することで残業代を最低賃金より安くしたり、残業代の割り増しを逃れたりすることはできません。
出典
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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