【世界遺産】「姫路城」の修復にはいくらかかった?建設費はどのくらい?
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月9日 11時10分
姫路城は正平元(1346)年に赤松貞範(あかまつさだのり)によって建設されたという説が一般的です。ただ、姫路城が現在に近い姿になるまでには、それから260年もの歳月が必要でした。 その間に天守の建設や大改築が行われたことから、完成までには膨大な数の人手や資材が投入されたと考えられます。ところで、そんな姫路城の建設費は現代のお金に換算するといくらなのでしょうか。
姫路城ってどんな城なの?
姫路城(兵庫県姫路市)は、1951年に国宝指定、1993年には法隆寺(奈良県)とともに世界文化遺産にも登録されている日本を代表する城の一つです。
瓦屋根から壁までが真っ白なため、別名「白鷺(はくろ、しらさぎ)城」とも呼ばれています。国内に数多い城の中でも天守が現存する12基のうち、高さ約31.5メートルの姫路城が最高です。
・姫路城の歴史の概要
姫路城の歴史は、赤松貞範が姫山に城を建設したのが始まりです。その後、豊臣秀吉によって3層の天守閣が築かれた姫路城は1601~08(慶長6~14)年、築城の名手・池田輝政(いけだてるまさ)の大改築によって近世城郭の姿へと変貌します。
昭和6年(1931)に「姫路城天守閣」として国宝に指定されるまで、600年近くにわたって戦災などに遭うことなく美しい姿をとどめてきた数少ない城です。
・2度の本格的な修復工事
国宝に指定されるまでは小規模な補修を繰り返してきた姫路城でしたが、昭和31年(1956)と平成21年(2009)に本格的な修復工事を行っています。「昭和の大修理」と呼ばれる1回目の修復では、天守閣を解体して補修するという大掛かりな工事でした。
工期に8年の歳月をかけた当修復の費用約5億円は、全額国費でまかなわれています。「平成の修理」と呼ばれる2回目の修復では、経年劣化が目立っていた大天守の補修が目的でした。
また、同時に耐震補強も施されています。工期は5年半で費用は約28億円。費用のうち約18億円は国が、約10億円は姫路市が負担(全国からの寄付を含む)しています。
姫路城の建設費を現在のお金に換算するといくら?
赤松貞範が姫路城を建設した当時の資料はほとんど残されていません。また、豊臣秀吉や池田輝政による改築費用についても同様です。
そもそも、お城の建設費に関する資料がほとんど残っていないため、当費用について知りたい場合は専門家の試算を参考にするしかありません。ただ、姫路城の建設費に関する専門家の試算は見当たらないため、本記事では大阪城に関する試算を参考にしました。
・姫路城の建設費は780億円?
株式会社大林組の試算によると、1928~1931(昭和3~6)年に復元した大阪城の総工費は781億4200万円でした。その内訳は、土木工事費が560億円で建築工事費が221億4200万円です。
この試算結果から、姫路城の建設費も同程度かそれ以上であると考えられます。もちろん、当時と現在の人件費や資材費を単純に同一視できませんが、現在のお金に換算すれば超高層ビル1棟分の建設費と同程度の金額と考えて間違いないでしょう。
高い修復費を拠出するだけの価値がある
大阪城の復元を参考にすると、姫路城の建設費は最低でも780億円を超える可能性があります。これは、超高層ビル1棟分の金額と同じです。
また、大阪城は大阪市が維持管理していた当時は毎年4000万円ほどの赤字経営でしたが、2015年から指定管理者による民間運営に転換したことで年間2.5億円の黒字経営に変わりました。
姫路城の建設当時は、すべての作業が肉体労働でした。建設に駆り出された人たちの苦労を思うと、高い費用を捻出してでも補修し続けていく努力が求められます。
出典
姫路城公式サイト トップページ
姫路城公式サイト 知るほどはまる姫路城トリビアン Part1
大林組プロジェクトチーム 現代技術による 豊臣期大阪城の復元と積算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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