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【負担は国から自治体に!?】「高額療養費制度」の廃止って結局どういうことなの?「高額療養費制度」との違いは?

ファイナンシャルフィールド / 2022年11月10日 22時40分

【負担は国から自治体に!?】「高額療養費制度」の廃止って結局どういうことなの?「高額療養費制度」との違いは?

病気やけがの治療には、時として莫大(ばくだい)な医療費が発生する場合があります。医療行為を受けた場合、対象となる個人には健康保険が適用され、負担の上限が定められています。   本記事では、補助制度である「高額医療費負担金」と「高額療養費制度」の違いについて解説します。

高額医療費負担金とは?

財務省は2022年7月26日に「令和4年度 予算執行調査の調査結果の概要(7月公表分)」という文書を公表しました。その中で、高額医療費負担金の大幅縮減について、廃止までの道筋を工程化すべきと主張しています。
 
この「高額医療費負担金」とは、国民健康保険加入者の治療において、医療費が高額に至った場合に関係するしくみの話です。高額医療費の大部分を負担する主体としての国民健康保険の財政負担を軽減するために、国と都道府県が対象額の4分の1ずつを負担することになっています。
 
要するに、この「負担金」とは「国民健康保険加入者」の負担の問題ではなく、その保険金を支払う組織としての「国民健康保険」に対して、国が払う補助金の話なのです。財務省が提案しているのは、このような国民健康保険への補助金を廃止して、自治体負担にするということなのです。そのため、「一般の保険加入者とは直接関係がない」と思う人もいることでしょう。
 
しかし、「国が払う補助金」が減ってしまうと、結局は自治体がその分を負担しなければなりません。都市部などの予算が潤沢にある自治体であれば問題はないかもしれませんが、地方であれば負担が難しく、加入者の支払う保険料の値上げだけでなく、受けられる医療について、都市部と地方の差が今以上に拡大してしまう可能性もあります。
 

高額療養費制度とは?

国民健康保険や協会けんぽなどの保険種別に関わらず、保険加入者の医療費負担に直接関係するのが「高額療養費制度」です。これは、医療機関や薬局の窓口で支払った金額が、あらかじめ定められた上限額を超えた金額が支給される制度です。上限額は70歳以上と69歳以下で分けられており、さらに加入者の所得水準によっても異なります。
 
また、70歳以上の場合は、外来だけの上限額も設けられています。なお、この制度の対象には、入院時の食費負担や差額ベッド代などは含まれないことになっています。
 

・事例:70歳以上で年収が約370万円から770万円の保険加入者の場合

上記の条件に当てはまる人が病気になり、100万円の医療費が発生した場合を考えましょう。70歳以上の場合、基本的には2割負担、現役並み所得者は3割負担です。今回は3割負担で考えてみましょう。まず、医療機関の窓口で100万円の3割である30万円を払うことになります。
 
ここに高額療養費制度が適用されると「8万100円+(100万円−26万7000円)×1%」という計算式により、自己負担の上限額が8万7430円となります。最終的に、すでに支払った30万円とこの上限額の差額21万2570円が「高額療養費」として支給されるのです。
 

似たような名称による勘違いが混乱の原因


 
財務省の発表については名前が似ていることから、保険加入者向けの「高額療養費制度」が廃止になると勘違いした人も多かったようです。
 
実際のところは「高額医療費負担金」の負担が国から自治体にしましょうということですが、保険加入者が支払う保険料や受けられる医療、「高額療養費制度」への影響も踏まえると、「勘違いなので大丈夫」とは言い切れません。医療費の問題は国民全員の関心事であり、不安を生みやすいテーマでもあるので、制度のしくみを理解し、今後の動向を注視しましょう。
 

出典

全国健康保険協会 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
厚生労働省保健局 高額療養費制度を利用される皆さまへ
財務省 令和4年度 予算執行調査の調査結果の概要(7月公表分)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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