60代ですが老後資金が不安です。今からでもNISAを始めるべきですか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月15日 7時40分
年金だけでは老後資金が不足するといわれているなか、年金受け取り開始年齢間際から資産形成を始めても遅くないかと考える人もいます。資産形成は早くから取り組むことで、長期運用での運用成果が期待できるという面がありますが、もちろん60代からNISAを始めても遅いことはありません。 今回は、60代からNISAを始めるにあたり、注意しておきたい点や、利用する際のポイントについて解説します。
NISAの特徴(※1)
まず、NISAは年齢の上限を定めていません。そのため、日本に住んでいる20歳以上の人であれば、誰でも利用できます。
iDeCoなどの私的年金制度では、加入できる年齢の上限が定められており、60代で始めることもできますが、制度を利用することで受ける恩恵は少ないでしょう。
■NISAのメリット
NISAには、一般NISAとつみたてNISA、そしてジュニアNISAの3種類がありますが、ジュニアNISAについては2023年で取り扱いが終了になります。したがって、利用するなら一般NISAもしくはつみたてNISAのどちらかです。
NIASのメリットは、年間に決められた購入額までの運用商品に対する利益や配当等が非課税になることです。また、いつでも好きな時に解約することができ、その時に売却益が得られたとしても、非課税で受け取れるというメリットがあります。
一般NISA(※2)の場合は、年間120万円までの非課税枠があり、5年間非課税で運用できます。そして、5年間の非課税期間が終了した後は、ロールオーバーの制度を利用することで、さらにもう5年間非課税で運用できます。もし、保有している運用商品に利益が出ており、さらに利益がでる可能性があるなら、ロールオーバーの制度を利用することをおすすめします。
ただし、ロールオーバー可能な金額に上限はなく、時価が120万円を超過している場合も、そのすべてを翌年の非課税投資枠に移すことができます。慎重に検討しながら利用するようにしましょう。
つみたてNISA(※3)にはロールオーバーの制度はありませんが、年間40万円までの非課税枠が設けられており、最長20年間非課税で運用できます。もちろん。非課税期間内に引き出すこともできます。
2024年から始まる新NISA制度(※1)
これからNISAの利用を考えているなら、2024年から始まる新NISA制度について理解しておく必要があります。
■一般NISA
新しい一般NISAの制度では、年間非課税枠が2階建てになっており、1階部分が20万円、2階部分が102万円の合計122万円です。新NISAになり、年間非課税枠が2万円増えたことになります。ちなみに1階部分の20万円はつみたてNISAと同じ投資信託の購入に限られる点に注意しておきましょう。
つみたてNISAの内容には変更がなく、年間40万円までの非課税枠の中で投資信託を購入し、最大20年間非課税で運用できます。
60代から始めるなら一般NISA? つみたてNISA?
NISAを始めるにあたり、どちらのNISA制度を選ぶべきか悩む人もいるかもしれません。運用に回せるまとまった資金があるなら、一般NISAを選ぶとよいでしょう。まとまった資金が確保できない場合には、つみたてNISAの利用をおすすめします。
どちらのNISA制度利用する場合でも、余剰資金で行うことが大切です。老後資金のうち、3ヶ月~6ヶ月程度の生活資金は現金でもっておき、それ以外の資金をNISAでの運用にあてるようにしましょう。さらに、家の修繕費用などまとまった額の支出が予定されているものがあるなら、その費用を確保しておく必要があります。
運用商品のリスクを理解する
NISAで運用できる商品には、一般NISAの場合株式も該当します。つみたてNISAであれば、投資信託がメインとなりますが、株式投資そして、投資信託はともに元本割れのリスクがあることや、株式の銘柄や投資信託の商品によっては、市場の影響を受けるので、十分なリスクについての理解が必要です。
60代から始めるのであれば、なるべくリスクの少ない安定運用を目指す商品を選ぶことや、リスクの高い商品で運用する際には、リスクの低い商品も合わせて購入するなど、運用成果の変動が大きくならないような工夫を行うようにしましょう。
まとめ
60代からでも余剰資金を利用してNISAを始めることは、老後資金を形成するための1つの手段として有効です。ただし、どのような商品で運用するのか、また余剰資金はどのくらいあるのかによって、選ぶ運用方法も異なります。
2024年から新NISAの制度が始まることも踏まえ、自分にあった運用方法を選んで資産形成に取り組みましょう。
出典
(※1)金融庁 NISAとは?
(※2)金融庁 一般NISAとは
(※3)金融庁 つみたてNISA
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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