要介護認定を受けたら市区町村に「障害者控除対象者認定書」の申請をしよう
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月15日 23時0分
所得控除の1つに「障害者控除」があります。身体障害者手帳等を持っていなくとも、65歳以上で要介護認定を受けた人は、障害者控除の対象になる可能性があります。
障害者控除
納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族(扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族にも適用)が税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これにより、所得税や住民税が軽減されます。
障害者:27万円
特別障害者:40万円
同居特別障害者(*):75万円
障害者:26万円
特別障害者:30万円
同居特別障害者(*):53万円
(*)同居特別障害者とは、特別障害者である生計を一にする配偶者、もしくは扶養親族で、納税者自身や配偶者、そしてその納税者と生計を一にしている親族のいずれかとの同居を常況としている人をいいます。
障害者控除対象者認定書
国税庁のホームページでは、障害者控除の対象となるのは、(1)~(8)の8つの項目のうちいずれかに当たる人とされています。その1つを以下に抜粋します。
「精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が(1)、(2)または(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人。
このうち特別障害者に準ずるものとして市町村長、特別区区長や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者になります」
(出典:国税庁 No.1160 障害者控除/対象者または対象物 障害者控除の対象となる人の範囲(5)より抜粋)
つまり、市区町村の認定基準により障害者に準ずるとして認定された場合、市区町村の福祉課に申請して「障害者控除対象者認定書」の交付を受けられれば「障害者控除」の対象になります。
要介護認定は必ずしも「障害者控除」を受ける条件ではありませんが、多くの市区町村では要介護認定を条件にしています。ただし、要介護認定を受けていても障害者控除対象者認定されない場合もあります。
逆に、要介護認定は受けていなくても市区町村長から障害者控除対象者認定をされる場合もあります。
「障害者控除対象者認定書」の交付を受けられる人の条件は、市区町村によって異なりますので調べてみましょう。なお、障害者控除対象者認定書は、障害者控除にのみ適用を受けるものであり、障害者としてのサービスが受けられるものではありません。
介護費用の節約
住民税非課税世帯の場合、介護保険にはさまざまな優遇があります。なお、課税者と非課税者の2人世帯の場合、課税世帯になります。世帯分離を検討してみてはいかがでしょうか。
さて、「障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下の方」は住民税非課税になります。給与収入に換算すると約204.4万円以下、年金収入に換算すると245万円以下であれば住民税非課税です。
「障害者控除対象者認定書」の交付を受けることで、住民税課税世帯から住民税非課税世帯となれば、介護保険料、介護サービスの利用負担額、高額サービス費の自己負担額、介護保険施設を利用した場合の食費・居住費の負担などが軽減される場合があります。なお、国民健康保険や後期医療保険でも高額療養費の自己負担額などが軽減される場合もあります。
まとめ
障害者手帳がなくても「障害者控除」を受けられることを知らない方は少なくありません。65歳以上で要介護認定を受けた方は、市区町村に「障害者控除対象者認定書」の申請も忘れずにしましょう。忘れていた方は、最大5年前までさかのぼって申請できます。確定申告のやり直し(更正)を行えば、まとまった還付金を受け取ることが可能です。
確定申告の更正については、お住まいの地区を管轄する税務署に問い合わせてください。まずは、市区町村のホームページで「障害者控除対象者認定書」について調べてみましょう。
出典
国税庁 No.1160 障害者控除
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
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