年金受給者の「死亡届」を提出せずに受け取り続けたら「懲役刑」ってホント? 必要な手続きをご紹介!
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月16日 2時40分
年金受給者が亡くなった後には所定の手続きを行わなければ、引き続き年金が支払われます。 ただし、年金が継続的に支払われたとしても年金受給者が亡くなった時点で年金受給資格は喪失しているため、そのままにしておくと「不正受給」とみなされ処罰されることがあります。 不正受給にならないためにも対応を理解し、できるだけ速やかに年金受給者が亡くなった際の手続きを行わなければなりません。 本記事では、年金受給者が亡くなった際の対応について紹介します。
年金受給者が亡くなったら年金事務所に必要書類を提出する
年金受給者が亡くなったら、年金事務所に必要書類を提出しなければいけません。そのためにはまず、「年金受給者死亡の届け出」が必要です。年金事務所にとっても、年金受給者が本当に亡くなったという事実を確認する必要があるため、その事実を「証明できる書類の提出」が求められます。
亡くなった事実を確認できる書類としては、「戸籍抄本(こせきしょうほん)」や「死亡診断書のコピー」などが挙げられ、市町村窓口で戸籍抄本の発行が可能です。ほかにも添付書類として亡くなった年金受給者の「年金証書」が必要とされていますが、年金証書がない場合でも申請はできます。
必要書類が準備できたら受給権者死亡届(報告書)の記入をしなければなりません。具体的な書き方や用紙のフォーマットは日本年金機構から確認できます。
なお、日本年金機構に「マイナンバー」が収録されていれば、一連の受給権者死亡届(報告書)の省略が可能です。内容や書類に問題がなければ年金事務所が受け取り、年金支給を停止する手続きをしてくれます。
年金受給者が亡くなっても未支給年金は受け取れる
年金受給者が亡くなっても「未支給年金」は受け取ることができます。「未支給年金」とは亡くなった際にまだ受け取っていなかった年金が対象です。また、亡くなった月までの老齢基礎年金や老齢厚生年金など各種年金は受給資格があるため、亡くなった後に振り込まれていた年金のうち、亡くなった月の年金は「未支給年金」として扱われます。
未支給年金は亡くなった年金受給者と生計を同じくしていた遺族が受け取る権利を持っており、配偶者・子・父母・孫などが対象です。注意点としては、受け取れるのは亡くなった月までの年金になっているため、亡くなった月以降の年金は受給資格がありません。
ほかにも、未支給年金を遺族が受給した場合は「一時所得」となるため、一時所得の合計金額が50万円を超えるケースでは「確定申告」が必要になります。「確定申告の必要があるがやり方がわからない」という場合は、税務署に相談して具体的な書類作成方法を確認しましょう。
年金受給者が亡くなっても届け出しないとどうなる?
年金受給者が亡くなっても年金事務所に申請をしていないと、継続的に年金が支払われますが、これは年金受給資格がない状態での受給です。年金受給資格がない状態での受給は、刑法の「詐欺罪」にあたります。詐欺罪は法定刑に「罰金」がなく、「10年以下の懲役」と定められていて、とても重い罪といえます。
故意かどうかにかかわらず、不正受給は最悪の場合、「詐欺罪」に問われ懲役刑を受けるおそれがあります。国民年金法111条は、不正な手段で給付を受けた者は「3年以下の懲役または百万円以下の罰金に処する」と定めていますが、同条で「刑法に正条があるときは、刑法による」と記されているため、詐欺罪(刑法246条)が優先されることになっています。
処罰を受けないためにも年金受給者が亡くなった際の手続きは速やかに済ませましょう。
まとめ
年金受給者が亡くなった際は、年金事務所に速やかに添付書類と受給権者死亡届(報告書)を提出して、年金の不正受給にならないように注意をしましょう。また、未支給年金に関しては生計を同じくしていた遺族が受け取る権利を持っています。
年金受給者が亡くなっているにもかかわらず、届け出を怠ると、最悪の場合は刑事罰を受けることがあります。最悪のケースへの発展を防ぐためにも法要などで忙しくとも、各種手続きが済んでいるか確認しましょう。
出典
日本年金機構 年金を受けている方がなくなったとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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