配偶者が亡くなったら「年金の受取額」は減ってしまう? いざという時のためにすべきことを確認しよう
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月16日 22時50分
老後の暮らしを金銭面で支える「年金」。夫婦世帯の場合は、老後の家計の収支を考える場合、夫婦の年金を合算してライフプランを立てていることでしょう。 ここで考えるべきリスクの1つは、夫または妻が早くに亡くなってしまったとき。この場合、受け取れる年金の金額はどうなってしまうのでしょうか。年金が減る場合は、年金や預貯金など、どのように準備しておけばよいのでしょうか。
配偶者が亡くなると年金がもらえなくなる
結論から述べると、年金を受給している人が亡くなった場合、年金を受け取る権利も失うので、亡くなった日の属する月を最後に、年金は受け取れなくなります。
ただし、厚生年金に加入していた夫に生計を維持されていた配偶者は遺族厚生年金として、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3を受給でき、65歳以降も老齢基礎年金と同時に受給できます。また、厚生年金に加入していた妻に生計を維持されていた夫であれば、遺族基礎年金(子がいる場合)と遺族厚生年金(妻の死亡時55歳以上である場合)を受給できるケースがあります。
一方で、国民年金に加入していた自営業者や農業・漁業従事者などの人は、遺族厚生年金がないため、配偶者を亡くしてしまった場合は、老齢基礎年金だけが主な収入源となります。2022年4月時点で、満額受給できる場合でも年78万円弱と、支出の全てを賄うには厳しい金額といえるでしょう。
万が一に備えて、まずは家計の収支を把握する
配偶者に万が一があったとき、年金の受給金額は減ってしまいます。年金の減額に備えて、どのように不足する生活費を捻出するのか、事前に想定しておくことが大切です。具体的には、「支出を減らすこと」「保険に加入すること」2つの方法が考えられます。
まずは家計の収支を把握することが大切です。さらに支出を、住居費・食費・通信費・光熱費など、費目ごとに分類してみましょう。すると、減額された後の年金でどの費目の出費を賄えるのか、不足するのかが明確になります。
家計全体の収支を計算して「いくら不足する」と分かっても危機感は生まれません。実際のモノやサービスにまで落とし込むことが大切です。不足する費目が分かれば、不足する金額を貯められるよう、貯蓄や投資で資産の増加を図ったり、不要な支出を減らしたりと、具体的な対策を検討できるようになります。
家計の収支を把握した上で、次は支出の削減を検討しましょう。毎月決まった金額が出ていく固定費の削減が、特に効果的です。
通信費や光熱費など、契約する事業者を変更するだけで完了するような手間がかからない費目から検討を始めます。効果を実感できれば、住居費や交通費など、他の支出改善に取り組むモチベーションにつながります。
考えられる対策、2つ目は保険への加入です。ここでも収支の把握、および不足する費用を知ることが大切になります。
年齢が高くなってから保険に加入すると、掛け金が高額になりがちです。配偶者が亡くなったあと、不足する可能性がある金額を知り、必要十分な保険金額の契約を行うことが重要です。
加えて、毎月の掛け金が高額な終身タイプでなく、割安な掛け捨てタイプを選択することも大切です。終身タイプは貯蓄の機能も持つことから選ばれがちですが、資金の拘束リスクがあります。「使いたいけど解約すると元本割れになる……」こんな状況に陥らないようにしましょう。
老後に発生するリスクを考え備えよう
配偶者が早くに亡くなってしまうと、配偶者の分の年金が受給できなくなり、家計全体としての収入が減ってしまいます。そのような状況になったとき、焦らずに対処するためには対策を採っておくことが大切です。
そもそも一定程度の貯蓄があれば、年金額が減ってしまってもお金の心配をすることなく暮らしていけます。年金の不足が心配な場合、まずは家計の収支を把握すること、支出のスリム化を図ることも重視しましょう。
出典
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
執筆者:木元泰徳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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