2022年10月から要件が緩和。企業型DC加入者がiDeCoに加入する際の注意点は?
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月17日 8時40分
2022年10月から個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入要件が緩和されました。これにより、iDeCoに加入できるようになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。 本記事では、新たにiDeCoに加入できるようになった方が、加入に際し注意する点について解説します。本記事を読んで、iDeCoの理解を深めておきましょう。
企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和
これまで、企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者は、以下の要件を満たさなければiDeCoに加入することはできませんでした。
●iDeCo加入を認める労使合意に基づく規約の定めがある
●事業主掛金の上限を月額5万5000円から3万5000円に引き下げた企業の従業員(確定給付企業年金にも加入している場合は、上限を月額2万7500円から1万5500円に引き下げ)
2022年10月からは、上記の要件を満たさなくても、企業型DC加入者がiDeCoに加入できるようになりました。ただし、条件があります。それは「企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金との合算管理の仕組みを構築すること」です。
この条件の具体的内容は、以下のとおりです。
●事業主掛金とiDeCoの掛金が各月拠出となっていること
●事業主掛金とiDeCoの掛金が各月の拠出限度額の範囲内となっていること
年単位拠出となっているとiDeCoに加入できない
これまでの制度は、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金を、年単位で拠出するか月単位で拠出するかを選択できました。年単位での拠出を選択している方は、今回の緩和の対象ではないため、iDeCoには加入できません。
年単位の拠出金と月単位の拠出金を管理することで、国民年金基金連合会の事務処理・システム対応が極めて複雑化したという背景があります。
今回の要件緩和の条件が「企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金との合算管理の仕組みを構築すること」となっているのは、この事務処理・システム対応を単純化する狙いがあるといえます。
掛金が拠出限度額を超えるとiDeCoに加入できない
掛金の拠出限度額(企業型DCの事業主掛金額とiDeCoの掛金額の合計額)は、企業型DCのみに加入している場合と、企業型DCとDBなどの他制度に加入している場合で、異なります。
企業型DCのみに加入している場合、拠出限度額は月額5万5000円です。ただし、iDeCoの掛金額は、月額2万円が上限です。
例えば、事業主掛金額が月額2万円であれば、iDeCoの掛金を2万円上乗せして、合計4万円を拠出できます。事業主掛金額が月額4万円の場合は、iDeCoの掛金は1万5000円しか上乗せできず、合計5万5000円を拠出することになります。
企業型DCとDBなどの他制度に加入している場合、拠出限度額は月額2万7500円です。ただし、iDeCoの掛金額は、月額1万2000円が上限です。
例えば、事業主掛金額が月額1万円であれば、iDeCoの掛金を1万2000円上乗せして、合計2万2000円を拠出できます。事業主掛金額が月額2万円の場合は、iDeCoの掛金は7500円しか上乗せできず、合計2万7500円を拠出することになります。
マッチング拠出とiDeCo加入は選択制
企業型DC加入者であっても、マッチング拠出を選択している場合は、iDeCoに加入することができません。マッチング拠出にするかiDeCoに加入するかを選択する必要があります。
マッチング拠出では、個人が負担する拠出金は事業主掛金と同額までとされています。拠出限度額である5万5000円を拠出するとき、マッチング拠出とiDeCo加入では、拠出金の内訳が異なります。
マッチング拠出の場合、事業主掛金2万7500円と個人負担2万7500円で、合計5万5000円となります。
一方、iDeCo加入の場合、事業主掛金3万5000円と個人負担2万円で、合計5万5000円となります。
マッチング拠出とiDeCo加入のどちらを選択すべきかは、以下の点を基準に検討するのがよいでしょう。
●事業主がどれだけ負担してくれるのか
●自分がどれだけ負担できるのか
●その合計額はいくらか
まとめ
2022年10月1日より、iDeCoの加入要件が緩和されました。会社から、iDeCoに加入するかどうかを聞かれている方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、要件緩和の内容と、加入する際の注意点について解説しました。本記事が、iDeCoに加入するかどうか判断する際の一助となれば幸いです。
出典
厚生労働省 2020年の制度改正
厚生労働省 企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和に係る対応について(令和3年8月6日 年企発0806第1号)
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
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