おひとり様の入院から亡くなるまでの準備はどうしたらいいの? お金はどのくらいかかるの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月18日 22時40分
慣れてしまった気楽なおひとり様生活でも、「自分の身に何かあったときには誰が手続きなどを引き受けてくれるのだろうか」と、ふと不安を感じたことがある人も多いのではないでしょうか。 不測の事態に備えて、あらかじめ手続きなどを委任する人を決めておくと安心です。 本記事では、入院から亡くなるまでに備えて準備しておきたいことや、かかる費用など、おひとり様の「万が一」への備えに役立つ情報をまとめました。
おひとり様が入院から亡くなるまでに備えておきたいこと
頼れる親族がいない人が入院し、そのまま病院で死を迎えるケースでは、次のようなことが問題になることがあります。
・入院費用の連帯保証人を頼む人がいない
・緊急時の連絡先がない
・本人の意識がない場合などに代理で医療行為に同意できる人がいない
・亡くなったときに身柄の引き受けてくれる人がいない
このような問題を未然に防ぐためにできる準備は、「身元保証人・身元引受人を決めておく」こと、「死後の手続きを託す人を決めておく」ことの2つです。
身元保証人・身元引受人を決めておく
入院費用の連帯保証人などを引き受けてくれる、身元保証人・身元引受人を決めておくと安心です。身元保証人・身元引受人の役割の範囲は、医療機関によっても異なりますが、おおよそ次のようなものです。
・入院費用の連帯保証
・緊急時の連絡先
・医療行為への同意
・退院・亡くなったときの引き受け
友人や知人に頼める場合は、事前にお願いしておくとよいでしょう。お金が関わることを頼みづらいなど、頼る人がいない場合には有料ですが、身元保証サービスの専門業者の利用が選択肢になります。
死後の手続きを託す人を決めておく
自分の死後に必要な火葬や埋葬、役所関係の手続きなどを託す人も、決めておく必要があります。友人や知人に頼む場合は、頼みたい手続きをリストアップするなどして、抜けや漏れがないように話し合っておきましょう。
また、口約束だけではなく「死後事務委任契約」の様式を整えて、委任者に死後の諸手続きを託しておく方法もあります。死後事務委任契約では、友人や知人のほか、弁護士・司法書士・行政書士などに手続きを委任することも可能です。
死後事務委任契約では、主に次のような手続きをあらかじめ委任しておけます。
・死亡届の提出
・火葬許可証の申請手続き
・関係者への連絡
・葬儀・火葬・埋葬に関する手続き
・入院費用の清算
・公的医療保険の資格喪失手続き
・勤務先の退職手続き
・各種サービスの解約
・納税
・遺産・生命保険の手続き
また、身元保証サービスの業者では、死後の手続きまで総合的にサポートしている場合もあります。
引き取り手を決めないまま亡くなると遺体や財産はどうなる?
おひとり様が入院先で亡くなり遺体の引受先が決まっていない場合、死亡地の市町村が遺体を引き取って火葬・埋葬を行います。
このとき、火葬・埋葬の費用は亡くなった人が遺した現金から充当されますが、不足した場合は相続人、扶養義務者の順に請求が行くことになります。また、相続人、扶養義務者から費用を回収できない場合は、遺産のうち物品を売却して費用に充てる決まりです。
火葬・埋葬費用に充てた残りの遺産に関しては、自治体が相続人の調査を行ったうえで、相続人に受け取る意思があれば相続人に引き渡されます。相続人が判明しない場合や相続人が受け取りを拒否した場合には、遺産の金額によって自治体が管理、清算します。
おひとり様の入院から亡くなるまでにかかる費用の目安
ここでは、50代・年収400万円の会社員が20日間入院して亡くなったと仮定して、亡くなるまでにかかる入院費用について計算してみましょう。
高額療養費制度の限度額適用認定証を利用して入院した場合、入院保険外負担分を除く入院費用1ヶ月あたりの自己負担限度額は、次の式で求められます。
自己負担限度額=8万100円+(保険適用される診察費用の10割-26万7000円)×1%
亡くなるまでの診察費用(10割)が200万円かかった場合の自己負担額は、8万100円+(200万円-26万7000円)×1%=9万7430円です(月をまたがない場合)。
仮に入院保険外負担分である差額ベッド代が1日あたり1万円、食事代が1日あたり1500円かかった場合、20日間の合計額は23万円です。そのためこのケースでは、およそ33万円の入院費用が発生する計算となります。ここに日用品の費用などを加えると、40万円前後の費用が必要となるでしょう。
専門業者の身元保証サービスを利用する場合は、サービスの料金も必要です。金額は業者やサービスの範囲にもよりますが、50万~150万円ほどかかるケースもみられます。
いざというときに備えて手続きの委任先を決めておこう
一人で生活している人が重い病気などにかかると、入院時の身元保証や亡くなった後の手続きを誰に頼るかで悩むケースが少なくありません。そのため、万が一の場合に備えて、あらかじめ身元保証人や死後事務の委託先を決めておくと安心です。
身元保証人や死後の手続きは友人や知人に頼むこともできますが、専門業者などに有料で依頼する方法もあります。
入院費用や身元保証サービスの利用料などを含めて費用がいくらかかるかなども事前に把握しておき、いざというときに備えておきましょう。
出典
厚生労働省 身寄りのない方が亡くなられた場合の遺留金等の取扱いの手引
全国健康保険協会 協会けんぽ 医療費が高額になりそうなとき(限度額適用認定)
全国健康保険協会 協会けんぽ 入院時食事療養費
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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