1年目は高校無償化対象だったのに、2年目は対象外。理由は「妻が年収103万円を超えたから」一体どういうこと?
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月20日 3時30分
「子どもが目標としていた私立高校に入学することになったけど、授業料が高いのが難点」という場合、国からの支援金を受けられる場合があります。 しかし、1年目は国からの支援金が下り、授業料負担がゼロになったとしても、子どもの部活動や研修旅行などにもお金がかかるため、妻がアルバイトの時間を増やし、年収が103万円を超えると支援金はもらえなくなる場合があります。本記事ではその理由について解説します。
高校無償化制度が受けられる世帯年収
高校無償化とは高校に通う子どもの授業料負担を軽減するために国が実施している政策で、正式には「高等学校等就学支援金制度」と呼びます。支援金は子どもが通う高校が国公立か、私立かを問わず支給されますが、支援金が得られるかどうかは家族の経済状況にかかっています。
なお、この経済状況は単純に世帯収入ではなく、下記の計算式を用いて判定する点に注意が必要です。このような特殊な計算式を用いるのは世帯構成(特に子どもの数)を考慮するためです。
保護者等の課税標準額(課税所得額)x 6% -市町村民税の調整控除額
上の計算式によって求められる額が15万4500円以上、30万4200円未満(年収の目安は910万円未満)の場合、年11万8800円の支援金が給付され、公立高校の授業料は実質無償化されます。他方、子どもが私立高校に通う場合は、上の計算式による額が15万4500円未満(年収目安は590万円未満)であれば、授業料は実質無償になります。
なお、かっこ内で挙げた年収は目安で、授業料支援が受けられるかどうかは世帯構成や子どもの両親が共働きかどうかに左右される点に注意してください。
つまり、納税者には基礎控除、扶養控除、特定扶養控除、配偶者控除、社会保険料控除、医療費控除など、さまざまな控除が認められ、それらを実際の収入から差し引いた課税標準額(課税所得額)が授業料支援を受けられるかどうかを決定する要素となります。
特に、扶養控除や特定扶養控除の対象となる子どもや祖父母などは複数名であってもよいため、その数が多いと控除額は大きくなる一方で、課税所得額は少なくなります。その結果、前掲の計算式で算出される値が30万4200円未満になれば、私立学校の授業料を実質無償にすることも可能です。
配偶者控除
父母の一方の年収が103万円以下(配偶者の給与所得控除後であれば年収48万円以下)の場合には配偶者控除が認められます。例えば、母親が専業主婦の場合、納税者である父親には配偶者控除が認められ、課税所得額を少なくすることが可能です。
その結果、前掲の計算式で求める額が30万4200円未満となれば、子どもの授業料は実質無償になります。しかし、翌年の母親の年収が103万円を超え、配偶者控除が認められなくなると、授業料支援の対象から外れる場合があります。
市町村民税の調整控除額
なお、前掲の計算式にある「市町村民税の調整控除額」とは住民税が増えすぎないようにするための調整額です。所得金額が200万円を超える人の場合はほとんどが2500円と少額になるため、国による授業料支援に大きな影響を及ぼしません。
授業料支援は保護者の課税所得額によって決定される
高校の授業料無償化という国の支援が受けられるかどうかは高家族の世帯年収ではなく、扶養控除、配偶者控除、社会保険料控除といったさまざまな控除を行った後に算定される課税所得額をベースにして判断します。
そのため、母親が専業主婦で、父親に配偶者控除が認められるときは、国の支援を受けることができるものの、配偶者控除が認められなくなると、国の支援が受けられなくなるといったことも生じます。
なお、ベースになるのは父母どちらかの課税所得額ではなく、2人の課税所得額です。そのため、母親の課税所得額が増えても、父親の課税所得額が減る場合は、支援を受けられる場合があります。また、授業料支援は各都道府県も実施しており、その支援額は国の支援額にプラスして支給されるため、それで国の支援額の減少を補うこともできるでしょう。
出典
文部科学省 高校生等への修学支援
国税庁 No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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