人によって受け取れる年金額が違うのはどうして? 主な要因と対処法を解説
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月18日 9時30分
老後生活を安心して過ごすための資金源となる公的年金ですが、実際にどのくらい受け取れるのか不安な人も多いのではないでしょうか。 公的年金は国民年金と厚生年金の2階建て構成になっているため、働き方や給与額によって受け取れる年金が異なります。すべての人が同じ金額の年金を受け取れるわけではない点にあらかじめ注意しておきましょう。 本記事では、受け取れる年金額が違う理由について詳しく解説します。そのほかに「どうすれば受け取れる年金を増やせるの?」という疑問をもつ人に向けて、効果的な対処法をまとめたので参考にしてください。
受け取れる年金が違うのはなぜ? 主な要因をチェック
人によって受け取れる年金額が違う要因となるのが、「働き方による違い」「給与額による違い」「男女の違い」の3点です。この3点について、以下で説明してきます。
【働き方による違い】
公的年金制度は2階建て構造になっていて、1階部分の国民年金は老齢基礎年金とよばれており「日本に住む満20歳から60歳までのすべての人」が加入します。2階部分の厚生年金は会社員や公務員などが加入し、国民年金の受給額に上乗せする形で受け取れます。
パートやアルバイトの方も勤務先の従業員数によって、収入額や労働時間、雇用期間などが条件に該当する場合は社会保険(厚生年金)の加入対象となります。保険料の納付は加入者と雇用主にて折半し、毎月の給料から差し引かれる仕組みです。
そのため、国民年金しか受給できない自営業・フリーランスよりも、厚生年金も受け取れる会社員や公務員の方が将来的な年金受給額が多くなります。
【給与額による違い】
国民年金の保険料は一律ですが、厚生年金の保険料は給与額によって変わります。保険料を多く納付している人ほど、受け取れる年金額も高くなる仕組みです。
【男女の違い】
国民年金や厚生年金の納付期間や保険料の金額に男女差はありませんが、一般的に男性よりも女性のほうが生涯賃金は少ない傾向にあります。最近は働く女性が増えているものの、結婚や出産を機に会社を退職したり、パート勤務にしたりするケースも多いため、受け取れる年金額にも差が出てくるのです。
年金額は増やせるの? 効果的な対処法
年金額は、主に以下の方法で増やすことが可能です。
●繰下げ受給
●60歳以降も厚生年金に加入
●国民年金に任意加入
一方、以下のような人は、上記の対処法をこのあと詳しく紹介するので、対応できる範囲内で取り入れてみてください。
●国民年金しか加入していないから年金を増やせないと考えている
●定年退職後も働く予定がある
●過去に国民年金を納付できなかった時期がある
年金の繰下げ受給
「年金の繰下げ受給」で、老齢基礎年金の受給開始時期を最長75歳まで遅らせれば、受け取れる年金額を増やせます。増減率の計算式は「0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数」です。以下のように、1年繰下げると8.4%、5年で42.0%、10年になると84.0%にまで受給額を増やせます。
・66歳0ヶ月:8.4%
・67歳0ヶ月:16.8%
・68歳0ヶ月:25.2%
・69歳0ヶ月:33.6%
・70歳0ヶ月:42.0%
・71歳0ヶ月:50.4%
・72歳0ヶ月:58.8%
・73歳0ヶ月:67.2%
・74歳0ヶ月:75.6%
・75歳0ヶ月:84.0%
60歳以降も厚生年金に加入
再雇用や再就職などで定年退職後も働けるのなら、厚生年金に少しでも長く加入するのが受給額を増やすのに有効です。厚生年金の受給額は「平均標準報酬の額」「被保険者であった月数」の2点から計算します。そのため、70歳まで企業で働いて厚生年金保険料を納めていれば、将来的に受け取れる年金額に反映される仕組みになっているのです。
国民年金の任意加入制度
事情があって国民年金保険料を納付できなかった期間がある、国民年金に加入していなかった期間がある人は「任意加入制度」を検討してみてください。60~65歳未満の5年間(納付月数480月まで)に国民年金保険料を納付すれば、65歳から受け取れる老齢基礎年金を増やせるからです。また、未納期間がある場合、10年前までなら保険料の追納が可能です。
もらえる年金額の違いを知って増やせる対策を取り入れよう
人生100年ともされる時代なので、生涯にわたって受け取れる公的年金は老後生活を支える強い味方です。実際に受け取れる年金額はどのくらいなのか? 増やすためにはどうすればよいのか? 年金の繰下げ受給をするなら、期間はどのくらいが適しているのだろうか? 定年退職後も働けそうか? などを事前に確認して、余裕ある老後生活を過ごすための資金計画を立ててください。
出典
日本年金機構 老齢年金
厚生労働省 女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会・報告書Ⅱ 女性と年金問題とは?
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 年金の「未納」「未加入」「免除」期間がある 60 歳以上の方へ あなたも国民年金を 増やしませんか?
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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