高齢者の認知症で255兆円が凍結の危機! 発症までに行うべき 3つの対策
ファイナンシャルフィールド / 2022年11月22日 6時20分
高齢社会の影響により、認知症を発症する人が年々増えてきているといわれています。 三井住友信託銀行が2022年に行った「認知症高齢者の保有資産」調査によると、認知症の高齢者が保有する資産額は、2020年時点で、金融資産およそ175兆円、不動産(住宅と土地の合計額)が80兆円、併せて255兆円にのぼることが分かりました。 これらは今後も増加していくと推測され、2040年には、認知症の発症により自由に動かすことが難しくなる、いわゆる「凍結資産」は、およそ1.4倍の349兆円に膨らむといわれています。 資産が凍結してしまうと、家族・親戚間でのトラブルを招きますし、日本経済にお金が流れず、経済の停滞を招く要因になります。 本記事では、金銭管理能力が低下する前に行うべき対策を3つ紹介します。これらの対策は制度が複雑なものが多いので、本格的に利用する場合は、専門家に相談しながら進めていきましょう。
成年後見制度
成年後見制度とは、認知症や精神障害、知的障害などが原因で、財産管理や身上保護が難しい人を支援する制度で、2つに分けられます。
(1)法定後見制度
すでに判断力が不十分になっている場合に、家庭裁判所が程度(補助、保佐、後見)に応じて支援する範囲を決める。
(2)任意後見制度
将来判断力が低下するのを見据えて、あらかじめ本人が選んだ人と契約し、支援を受ける
万が一の事前対策として、任意後見制度は有効な選択肢になるかもしれません。法定後見制度も、本人の判断力が低下した場合でも、程度に応じ支援が受けられます。
このように、成年後見制度は資産凍結を防ぐためには有効な選択肢になりえます。
家族信託
家族信託とは、自分で財産を管理できなくなったときのために、信頼できる家族に財産を管理・処分できる権限を与える方法です。
認知症を発症する前に家族に管理を託したい場合、選択肢の1つになります。
生前贈与と相続時精算課税制度
生前贈与は、存命時からほかの個人へ、財産を無償で渡すことです。
贈与は課税されますが、財産を渡された人は暦年で110万円まで基礎控除を受けられます。資産が大きい場合は、複数年にわたって行うと有効です。
家族以外の人も贈与の対象になりますので、家族構成による対策が取れます。
また、60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫へ生前贈与する場合に利用できる「相続時精算課税制度」では、2500万円まで特別控除を受けられます(ただし先ほど紹介した110万円の基礎控除は受けられません)。
専門家に相談しつつ、万が一に備え適切な対応を
高齢や認知症による万が一の資産凍結に対する対策を、3つほど紹介しました。
資産凍結は相続時などにトラブルを引き起こす可能性があり、日本経済の停滞を招く一因となるものです。
高齢社会の影響により、このようなトラブルは、今後より身近になってくるかもしれません。
繰り返しになりますが今回紹介した制度は複雑です。弁護士や司法書士など専門家に相談しつつ、ご自身、ご家族や親戚の状況に合わせて、対策を取れるように行動していくとよいでしょう。
出典
三井住友信託銀行株式会社 膨らむ認知症高齢者の保有資産
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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