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「平均年収」はこの10年少しずつ上昇! でも物価や税金を踏まえるとどうなる?

ファイナンシャルフィールド / 2022年11月28日 22時40分

「平均年収」はこの10年少しずつ上昇! でも物価や税金を踏まえるとどうなる?

国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、令和3年の日本の1年を通じて勤務した給与所得者の平均年収は443万円です。10年前の平成23年は409万円だったので、日本の平均年収はこの10年で増加しているといえます。   このように、平均年収だけに注目すると日本は少しずつ豊かになっているように見えますが、ここには物価の上昇や税金の負担が考慮されていません。   では、物価や税金を踏まえた場合、日本の生活の実態はどのように見えてくるのでしょうか。検証してみます。

物価は高くなっている? 消費者物価指数の動向

バブル崩壊以降、日本で長期のデフレ状態に突入し、長く物価が上昇しない状態が続きました。物価が下がれば賃金も上がらないため、長期のデフレは日本経済が低迷する原因ともいわれてきました。
 
しかし、足元の物価は上昇傾向の局面にあります。総務省統計局が公表した「消費者物価指数」によれば、令和2年(2020年)の物価を「100」とした場合、10年前の平成22年(2010年)は「94.8」です。
 
つまり、平成22年以降の10年で、日本の物価は5ポイントほど上昇していることになります。また、令和4年(2022年)は物価がさらに上昇しており、令和4年8月9月の消費者物価指数は前年同月比3.0%も上昇しています。食品やエネルギーの多くを輸入に頼る日本において、物価は国際情勢の影響を大きく受けるため、今後の国際情勢によっては物価の上昇傾向がさらに続くかもしれません。
 

税金も上昇! 家計負担は増大している

令和4年(2022年)現在、日本の消費税は10%です。10年前の平成24年(2012年)は、まだ消費税は5%に過ぎませんでした。つまり、この10年で税金が単純に5%も上がっていることになります。
 
日本の消費税には軽減税率が適用され、一部の食品などは10%ではなく8%の税率で計算されます。とはいえ、それでも10年前と比べて税金が3%上乗せされており、物価の上昇と相まって家計の負担は増大しているといわなければなりません。
 

生活が苦しい人の割合は変わっていない?

厚生労働省が実施する「国民生活基礎調査」では、国民の生活意識を調査したデータが公表されています。令和3年(2021年)の調査によれば、生活が「大変苦しい」と答えた世帯は全体の23.3%です。5年前の平成28年(2016年)の同じ調査で「大変苦しい」と答えた割合は23.4%でした。平均年収が上がっているにもかかわらず、生活が大変苦しいと答える世帯の割合この5年間はほぼ変わっていません。
 
つまり、税金や物価の上昇などの影響によって、収入は上がっていても生活の実態はほとんど変わっていないということです。もちろん、物価の上昇に伴って賃金が押し上げられれば問題ありませんが、現状では物価や税金の上昇に賃金が追いついていないという側面が見受けられます。
 
特に令和4年の物価上昇率をみると、今後はさらに物価が上がっていくと予想されます。また、増税や社会保障費の増額などもあり得るため、それらの増額に賃金の上昇がどこまで伴うかが鍵を握るといえそうです。
 

日本の平均年収は上がっているが、物価や税金の上昇に賃金が追いついていない

日本の平均年収は、少しずつではありますが上昇しています。しかし、税金や物価の上昇を考慮に入れた場合、平均年収が上がった恩恵をほとんど得られていないことも事実です。特に物価は国際情勢の影響を大きく受けます。国内だけでは対処できない部分があり、今後も物価が上昇し続ければ、家計の負担も増大してしまうかもしれません。
 
現状では物価や税金の上昇に賃金が追いついていないので、今後に備えて家計をうまくやり繰りしていく必要があるでしょう。
 

出典

国税庁 令和3年分民間給与実態統計調査調査結果報告
総務省統計局 消費者物価指数年表2021年(令和3年)平均消費者物価指数の動向
総務省 報道資料 2020年基準消費者物価指数 全国2022年(令和4年)10月分
厚生労働省 2021年国民生活基礎調査の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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