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円安で国産木造住宅は建てやすくなった?

ファイナンシャルフィールド / 2022年11月30日 3時10分

円安で国産木造住宅は建てやすくなった?

2022年10月20日の為替市場において、円相場は1ドル=150円台の円安水準に下落しました。1990年8月以来32年ぶりの1ドル=150円であることから、歴史的な円安進行であることが理解できます。円安によって発生するのは輸入品の高騰です。食料品や燃料はもちろん、住宅建築用の輸入木材価格も上昇した結果、外国産木造住宅価格も上昇傾向にあります。   では、国産木造住宅は建てやすくなっているのか。国産木材価格の動向から検証します。

木材価格を上昇させた要因は円安だけではない?

外国産木材価格上昇の要因は円安だけではありません。歴史的な円安の前に発生したウッドショックや、ロシアのウクライナ侵攻による木材不足も要因のひとつです。
 

・外国産木材に頼る日本

林野庁によると、2021年(令和3年)の日本の木材自給率は41.1%(前年比0.7%減)でした。国内生産量は12年連続で増加していますが、それでも6割近くの木材を外国産に頼っていることになります。
 

・外国産木材価格上昇の要因とは何か?

外国産丸太の価格は2022年4月から上昇傾向を続けており、10月も前月比1.5%の増加です。主な要因としては、歴史的な円安に加えてウッドショックが挙げられます。
 
ウッドショックというのは世界的な木材の供給不足のことで、コロナ禍からの景気回復による米国の住宅着工数の増加、世界的なコンテナ不足による物流の停滞、中国における木材需要の高まりなどが主な原因です。
 
また、円安とウッドショックに加えて、ロシアからの木材輸出の減少も影響しています。世界全体の木材輸出量の2割(2020年)がロシア産のため、その影響は決して小さなものではありません。このような複数の要因によって、2021年1月には1立方メートル当たり7万円弱だった外国産合板の輸入価格は、2022年9月に11万円弱(前年同期比58%増)にまで上昇しています。
 

国産木材の価格も上昇している?

ウッドショックによって外国産木材の輸入量が減少したことで、国産木材への代替需要が増加しました。その結果、国産木材の価格も上昇傾向にあります。
 

・国産木材の価格動向

コロナ禍による需要の減少によって、2020年4月から6月にかけてヒノキやスギの価格は大きく低下します。その後、10月から11月にかけて前年と同程度かそれ以上に回復し、ウッドショックが世界的に拡大した2021年になると徐々に上昇。その傾向は2022年になっても継続中で、同年3月直近のスギの原木価格は前年同期比18%増、ヒノキの原木価格が前年同期比46%増となっています。
 

・円安で国産木造住宅は建てやすくなったのか?

国産木材は外国産に比べて以前から割高でした。ところが、円安、ウッドショック、ロシアからの輸入減によって、外国産木材の価格は上昇傾向を継続中です。「それなら国産木造住宅を建てよう」と思う人もいるかもしれません。ただし、上記のように国産木材価格も上昇中のため、必ずしも円安によって国産木造住宅が建てやすくなったとはいえないのが現状のようです。
 

国産木造住宅の価格には今後も注視が必要

2022年の外国産丸太や合板の価格は上昇傾向が続いています。外国産木材価格に関しては円安進行以前から、ウッドショックと呼ばれる世界的な木材不足によって高騰していました。
 
そこに、円安やロシアによるウクライナ侵攻が追い打ちをかけるという状況になっています。一方の国産木材価格は、コロナ禍でいったん低下したものの回復後は徐々に上昇を続け、その傾向は2022年になっても継続中です。そのため、国産木造住宅は必ずしも建てやすくなっていませんが、情勢は不透明なため今後の動向を注視する必要があります。
 

出典

林野庁 木材輸入の状況について(2022年9月実績)

林野庁 木材需給動向について(全国)

林野庁 「令和3年木材需給表」の公表について

林野庁 森林・林業・木材産業の現状と課題

林野庁 世界における木材貿易の流れ

農林水産省 木材流通統計調査 木材価格(令和4年6月)

経済産業省 どうなったウッドショック 価格の高止まりが需要を抑制?

一般財団法人日本木材総合情報センター 木材価格・需給統計資料

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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