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大学無償化の落とし穴? 「奨学金が返済できなくて困ってしまった」場合、どうすればいい?

ファイナンシャルフィールド / 2022年11月30日 7時30分

大学無償化の落とし穴? 「奨学金が返済できなくて困ってしまった」場合、どうすればいい?

2020年4月から始まった大学無償化制度を利用して進学した方が、同時に貸与型の奨学金を併用している場合、卒業後にその返済が困難となることがあるかもしれません。   奨学金を返済できなくなったときは、どう対応すればいいのでしょうか。

大学無償化制度とは

大学無償化制度は、正式名称を「高等教育の修学支援新制度」といいます。高等教育の修学支援新制度は、大学や専門学校などの入学金および授業料の減免と、返還不要の給付型奨学金の支給という両面から学生を支援する国の制度です。
 
支援の対象者は住民税非課税世帯、または住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生で、進学先で学ぶ意欲がある方となります。
 
参考までに、支援を受けられる世帯の年収の目安や支援額の例は以下のようになっています。
 


 
出典:文部科学省 「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」
 
 

 
出典:文部科学省 「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」
 

大学無償化といっても完全に無料となるわけではない

無償化といわれるものの、実際に大学にかかるすべての費用が無償となるわけではありません。
 
大学無償化制度で減免されるのは入学金や授業料にとどまるため、実習にかかる費用などは通常どおり必要です。また、世帯収入や進学先の学校の種類、通学の形態によって入学金と授業料の支援額の上限のほか、給付型奨学金の支給額が変わります。
 
大学無償化制度を利用すれば、希望する進学先で完全に無償で学べると思っている方にとっては、この点が落とし穴となります。
 
そこで検討されるのが貸与型奨学金の利用です。貸与型には日本学生支援機構の第一種奨学金(無利子)や第二種奨学金(有利子)がありますが、卒業後に返済していくことが原則になります。
 

奨学金が返済できない場合の対処法

貸与型奨学金の返済が始まるのは、貸与が終了した月の翌月から起算して7ヶ月目となりますが、予定どおり返済できない状況になった場合、返済額の減額のほか、返還猶予や免除を受けることができます。
 

減額返還制度

災害や傷病、経済的な理由などで奨学金の返済が難しくなったとき、まず検討したいのが、毎月の返済の負担を減らせる減額返還制度の利用です。
 
給与所得者の場合は年収325万円以下であることが適用の基準となり、1回の申し出で12ヶ月間、返済する金額を当初の2分の1、または3分の1に減額できます。減額の期間は1年ごとの申し出により延長も可能で、最大15回、最長180ヶ月まで適用を受けられます。
 
なお、減額された分は後から払っていくことになりますが、利子を含めた総返済額は減額前と変わりません。
 

返還期限猶予

同じく災害、傷病、経済困難や失業など奨学金の返済が困難な事情が生じた場合、年収300万円以下(給与所得者)を適用の基準として最長で120ヶ月、返還期限の猶予を受けることができます。
 
前述した減額返還制度は月々の返済額を減らすものですが、返還期限猶予は返済を先延ばしすることになり、適用を受けた期間については返済が不要という点に違いがあります。
 

死亡時や心身に障害を負った場合の返還免除

本人の死亡によって奨学金の返済が不可能となったり、精神や身体の障害により労働能力を喪失、または労働に著しい制限があって返済ができなかったりした場合は、未返済分について全額または一部が免除されます。
 
ただし、精神や身体の障害の場合は申し出の内容により、返還免除ではなく猶予の適用となることもあります。
 

奨学金の返済が難しくなった場合は減額返還や返還猶予の申し出を

大学無償化制度による支援を受けても学費のすべてを賄えず、貸与型の奨学金を併用して進学する方もいると思います。そういったケースで卒業後、経済的な事情などにより奨学金の返済が困難な状況になってしまった場合は、毎月の返済額を減額する制度や返済の猶予を受けられる制度を利用できます。
 
貸与型奨学金は返済義務がありますが、どんな状況になっても毎月必ず返し続けなければならないわけではありません。返済が難しくなったときは救済措置の利用について、できるだけ早く日本学生支援機構に相談してください。
 

出典

文部科学省 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度
独立行政法人日本学生支援機構 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)
独立行政法人日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
独立行政法人日本学生支援機構 死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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