「年金支給額」は物価上昇に追いつけてる?この10年間を確認してみた!
ファイナンシャルフィールド / 2022年12月4日 22時40分
![「年金支給額」は物価上昇に追いつけてる?この10年間を確認してみた!](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_173075_0-small.jpg)
年金は老後の生活を支える資金源のひとつです。中には、退職後に年金だけで暮らしている人もいるでしょう。 ただ、少子高齢化が進み、年金を取り巻く状況は決して明るいとはいえません。また、年金を安定的に受け取れていても、物価の上昇が続けば年金だけでは家計が回らなくなってしまうかもしれません。 では、ここ10年で年金支給額と物価上昇の関係はどのように変化しているのでしょうか。詳しく確認してみましょう。
年金は増えていない? 年金支給額の推移
厚生労働省が2021年12月に発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和2年度における国民年金受給権者の平均年金月額は5万6252円です。10年前の平成22年度が5万4529円だったことを考えると、国民年金の平均年金月額はこの10年で微増しているといえます。
一方、厚生年金の受給権者平均年金月額は、同じ令和2年度で14万4366円です。しかし、10年前の平成22年度は15万34円であり、厚生年金に関してはこの10年でむしろ支給額が減っていることになります。
少子高齢化が進めば、年金保険料を納める現役世代が減る一方、年金を受け取る高齢世代が増えるため、必然的に年金を取り巻く状況は厳しいものになります。この先も少子高齢化は進行していくことが予想されるため、年金支給額の推移は予断を許さない状況だといえるでしょう。
物価は上昇している!年金との関係は?
この10年間で、年金支給額は微増、あるいは減少している一方、日本の物価に関してはどのように推移しているのでしょうか。
国際通貨基金(IMF)が算出した消費者物価指数の推移によれば、2010年(平成22年)の消費者物価指数が「94.825」であるのに対して、10年後の2020年(令和2年)の同指数は「99.994」です。つまり、この10年間で日本の物価は5ポイントほど上昇しているということです。
また、IMFの資料では、2022年(令和4年)以降の予想数値も公表されています。それによれば、2023年(令和5年)は「103.16」、2025年(令和7年)は「105.273」、2027年(令和9年)には「107.314」まで物価が変動すると予測されています。
年金支給額は10年でほぼ横ばいか、むしろ減少しているので、現状でも年金は物価の上昇に追いついていません。しかも、将来的に物価が予想値のとおり上昇したとすれば、ますます年金だけではやり繰りできない時代に突入するかもしれません。
年金支給額の減少と物価の上昇に備える必要性
このまま年金支給額が減り、かつ物価の上昇が続けば、老後の生活を年金だけで乗り切ることは難しくなるかもしれません。もちろん、支給額自体は微増または減少傾向で、金額にそこまで大きな変化はないかもしれません。また、これから先も年金は老後の生活を支える重要な資金源であることに変わりはないでしょう。
ただ、国民年金や厚生年金といった公的年金だけに頼るのではなく、個人的にもなるべく早い段階から積み立てなどをしておく必要があるでしょう。また、これから先の物価上昇に備えて、貯蓄ではなく投資によって老後の資金を増やすことを考えていく必要もあるかもしれません。
年金は物価上昇に追いついていない! 年金制度に頼らない老後設計を
年金支給額と物価上昇の関係は、いわば負の相関関係のような形を示しつつあります。すなわち、年金が減っていく一方で物価は上昇しており、将来的には年金と物価の差はますます大きくなっていくかもしれません。特に少子高齢化の影響で、公的年金は制度そのものが揺らいでいるといえます。
将来の物価上昇に備えるためにも、なるべく早い段階から対策を打っておきたいところでしょう。
出典
厚生労働省 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 平成24年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
IMF World Economic Outlook Database
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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