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固定残業代とは何? 残業代請求に必要な基礎知識

ファイナンシャルフィールド / 2022年12月8日 1時20分

固定残業代とは何? 残業代請求に必要な基礎知識

自分の勤め先が固定残業制を採用しているけれど、詳細なルールは知らないという人も多いのではないでしょうか。求人票などで固定残業代に関する記述を見て、どのようなものか疑問を抱いた人もいるでしょう。   固定残業代とは、あらかじめ想定した残業時間分の残業代が、毎月定額で支給されるものです。   本記事では固定残業制、固定残業代の概要や支給額計算時、求人を出す際などのルールをまとめました。制度について正しく理解し、残業代の請求などに役立ててください。

固定残業制(定額残業制・みなし割増賃金制)とは

固定残業制は定額残業制やみなし割増賃金制ともいい、法定外時間外労働に対する割増賃金を、あらかじめ定額の手当として支給したり、基本給の一部に一定額を含めたりする制度です。
 
法律で決められた方法で計算した割増賃金以上の金額が固定残業代として支払われていれば、固定残業制は違法ではありません。
 
しかし、固定残業代が基本給に含まれているような場合には、割増賃金相当部分がほかの賃金部分と明確に区別されている必要があります。定額の手当などで支給されている場合は、当該手当が固定残業代であることが就業規則などに明記されていることが必要です。
 

実際の残業代と固定残業代に差がある場合の考え方

「残業○時間分として○円」という形で固定残業代があらかじめ取り決められていたとしても、実際に働くなかで実際の労働時間が取り決めよりも多い月、少ない月は出てきます。このような場合の考え方は、実残業時間が固定残業時間を上回る場合と下回る場合で異なるため注意が必要です。
 
それぞれのケースの考え方を以下で見てみましょう。
 

実際の残業代が固定残業代よりも多い場合

固定残業代が決まっていると残業時間数にかかわらず一定額しか残業代をもらえないと勘違いしがちですが、実際はそうではありません。実際の労働時間が固定残業時間よりも多かった場合、会社は法律に定められた割増率にしたがって実労働時間から残業代を計算し、固定残業代との差額を賃金に上乗せして支給する必要があります。
 
例えば、1時間あたりの賃金が2000円の人が、毎月20時間分、割増率25%の固定残業代として5万円を支給されているとします。この人がある月に30時間の残業をした場合、次の金額を差額の残業代として支給しなければなりません。
 
2000円×(30時間-20時間)×125%=2万5000円
 

実際の残業代が固定残業代よりも少ない場合

実際の残業代が固定残業代より少ないときは、あらかじめ決められた固定残業代の金額が支給される決まりです。例えば、毎月20時間分の固定残業代5万円が手当として支給されている人の場合、残業時間が0時間であったとしても5万円満額の固定残業代が支給されます。
 
なお、実際の残業手当と固定残業代に過不足があった場合に、翌月以降に繰り越して相殺するといった取り扱いもできないことになっています。
    

固定残業代は求人や採用時に明示する義務がある

固定残業代については、求人を出す際や採用の段階から表示方法のルールが設けられています。「若者雇用促進法」にもとづく指針で定められた、募集要項や求人票に明示するべき内容は次の3点です。

・固定残業代を除く基本給の額
・固定残業代のもとになる労働時間数と金額の計算方法
・固定残業時間を超過する時間外労働、 休日労働、深夜労働があった場合に割増賃金を追加支給する旨

もしも固定残業制をうたう求人にこれらの内容が記載されていない場合、その会社に採用されたとしても適正な残業代が支払われずトラブルになる危険性が否定できません。求人に応募する際には表示内容によく目を通し、内容に抜けや漏れがない企業を選択することをおすすめします。
 

固定残業代のルールを理解して不備があれば相談や請求をしよう

固定残業制はあらかじめ想定した時間分の残業代が、固定残業代として毎月定額で支給される方式です。固定残業代を超える残業があった月には差額が上乗せして支給され、反対に残業が少なくても固定残業代が満額支給されるため、適正に運用されていれば労働者に有利な制度といえます。
 
固定残業代のルールを正しく理解し、勤務先に不備がある場合には労働基準監督署などの専門機関に相談するなどの対処を取りましょう。
 

出典

厚生労働省 しっかり学ぼう!働くときの基礎知識 働く方へ 時間外・休日労働と割増賃金
厚生労働省 若者の募集・採用等を行う際は若者雇用促進法に基づく指針を確認してください
公益法人全国求人情報協会 固定残業制の明示
厚生労働省 固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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